2017年9月5日 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会で、副首都推進局作成の「総合区素案」について質疑。

 9月5日、大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会が開かれ、副首都推進局が作成した「総合区素案」について大阪維新の会と自由民主党の議員の質疑がありました。総合区素案は現在の24行政区を8総合区に合区する案です。総合区制度の導入に合区は必要ないのに合区が前提になっている理由を北野妙子議員(自民党)が追及しました。総合区素案については内容があまりにも中途半端なことから、地方行政の専門家からも「吉村洋文・大阪市長は総合区案をわざとイマイチなものにして、市民が『総合区より特別区を導入する大阪都構想の方がいいね』と思うように誘導する気ではないか」との意見が出ています。北野議員は「総合区を特別区の噛ませ犬にしている」と指摘しました。
 以下、質疑を掲載しています。

北野妙子議員(自民党) これまでたくさんの「区割り案」が行政から示されてきました。いったいどれだけあるんだろうと。まず、特別区では前回の法定協議会では5区(に区割り)と7区(に区割り)の案に、それぞれ北区と中央区の分解案と合体案がありました。今回、(区割りが)4区案と6区案があって、それぞれ旧4区案、旧6区案と、(東淀川区と福島区の区割りが変わる)新4区案、新6区案があります。
 総合区についてですが、区割りの区数が5区、8区、11区、事務レベルがABCの3段階あります。これどの時期のどの案だと副首都推進局でもぱっと見て即答できる人はいないのでは? 市民の皆さんからしてみればもう思考停止の状態に陥っていると申し上げたいです。いろいろいろいろ区割りが出て来て、思考停止に陥っていることは非常に問題だと考えています。区割りとは直接、市民生活に響くものです。この(総合区素案の)8区案ですけれども、これが決め打ちして出てきた総合区素案です。この人口規模の適正性であるとか、あるいは(1総合区の人口を)30万人を基礎としたその判断の理由をおたずねします。
小林真澄課長(制度企画担当) 総合区案の8区案の適正規模ということですが、地域の実情に応じた行政サービスをより住民に身近な区役所で実現するという総合区の意義を踏まえまして、局から総合区に事務を移管し、その執行体制を総合区に整備することとしております。総合区の区の数につきましては、区における事務の拡充に伴うコストや、行政の効率性を確保する一方で、住民の身近な所で区政を充実するといったことを総合的に考慮し、また将来推計人口規模を30万人規模とし、8区という案を示したところでございます。
北野議員 適正規模の妥当性と言うか、エビデンスが聞きたかったんですよ。なぜ30万人したのか分からないんです。要は(大阪市人口の)270万人の将来推計を出して、8つに分割すると30万人になるということで、結局、数字合わせだということを言いたいんです。30万人という検証は全く不十分であったと指摘させていただきます。総合区にするためには(今の24行政区を)8区に合区しないとできないんですか? 8区に合区しないといけないという誤解を市民に与える合区ありきの印象操作だと思います。合区をしないと総合区はできませんか? また、総合区は一部の地域に設置することはできるのでしょうか?
小林課長 地方自治法上、現在の区を合区して総合区を設置することも、合区せずに総合区を設置することも可能でございます。また総合区は指定都市の一部の区域に設置することも、全域に設置することも可能でございます。昨年度開催した総合区の概案にかかる意見募集説明会におきましても同じ内容を説明しています。
北野議員 我々の会派の24区総合区案は市長に一蹴されました。総合区を市域全体で設置するのではなく、一部の区で試行的に設置するのは可能なはずです。この効果を検証して次のステップに行くこともできますよね。いきなり合区を(大阪市域に)全部におっかぶせていくのではなくて、現行24区のままで、まず総合区というものがどういう制度なのかということをきちんと検証をしながら、試行実施をしてしっかり足元を固めながら進んでいくことが必要だと考えています。こういうことを言うと、自民党さんが24区を崩したくないのは自分の議員の身分を守りたいためだとよく言われるんですが、そういう意味で合区に反対しているわけじゃないんです。私たちがそういうことを言われるのであれば、選挙区合区という手法もあるわけですから、そういうことも積極的に議論していく姿勢であることを申し添えておきます。
 続きまして、お配りしたのは、行政区審議会の答申書というものです。昭和47年に出された「大阪市行政区再編成に関する答申」ということで、行政区の人口規模については地域社会のまとまりであるとか、コミュニティの活動の便、区役所の事務量からみて、1区の人口規模は15万人程度が適当であるということが書かれています。つまり、適正規模、人口規模を言う場合は、きちんと諮問、答申という手続きを踏んでいるんです。こういう丁寧さは行政に必須です。合区を前提として総合区を進めるのであれば、この行政区審議会のような合区を検討する機関を設置すべきと考えていますが、市長の見解をおうかがいます。
吉村洋文市長 今、進めている大都市制度の議論と、この昭和46年当時(審議会への諮問の時期)の審議会が置かれた経緯、趣旨、内容は全く違います。何をするための審議会かと言えば、行政区間の人口のアンバランスの是正、当時の区役所事務を前提として人口が何人ぐらいならいいのかという検討、行政サービスの均整です。今回、私が提案しているのは、この大阪という大都市の制度はどうあるべきかという議論です。東京一極集中が進んでいますけれども、大阪で東西二極の一極を担う大都市を目指していきたい、そのための大都市制度はどうあるべきなのかというのが発想の原点です。そのために必要な大都市制度はどうあるべきかということの進め方として、これは正解があるわけじゃないですから、選挙で選ばれた政治家の議論の中で大きな方向性と判断を示していくべきだと思っています。その中で手続きとしては、(総合区案の)概案として事務レベルで5区、8区、11区という三つの(合区の)案を策定して去年1年間、住民の皆さんに説明会をやりました。市会でも議論してきました。大都市制度がどうあるべきかという観点から、政治の場でしっかり議論して進めていきたい。単なる市政改革ではなく、大阪が担うべき役割をきっちり見極めた上で、大都市制度はどうあるべきかということについての議論を進めていくべきだと思います。ちなみに昭和46年の審議会は合区の方針もなされていますが、一つも合区は実現できていません。大都市制度ですから政治家が力強く方向性を示していく必要があると思うし、そうしないと制度というのは変わらないと思います。
北野議員 合区には至りませんでしたが、分区の方はこの答申に従ってきっちりと行われたことを申し添えておきます。このような丁寧さが必要だと申し上げたかったのです。さてですね、我が党は総合区の問題は基本的にこの大阪市が前提で、内部組織の区の住民自治の問題やまた分権のあり方の問題であって、基本的に市政改革マターであると考えています。(若干省略)。市政改革という観点を踏まえて総合区素案が作成されたものなのかどうか、市長お願いします。
吉村市長 市政改革というのは不断の努力を続けていかなくてはなりませんし、今もしております。仮に総合区になったとしても市政改革の観点での努力は必要になります。委員(北野議員)の質問を聞いていて思ったのですが、総合区がどうあるべきかという出発的の思想が大分違うなと。委員は市政改革の延長上に総合区があるという認識ですが、私は総合区はあくまで手段であって、「大阪の大都市制度はどうあるべきか」というのがまず出発的にあります。大阪市長1人で広域と細かな基礎自治のこともやっていますが、将来を考えた時、事務の役割分担をしっかりしていく必要があると思います。住民の皆さんに近い所はできるだけ住民の皆さんに近い所で決定できるようにする必要があって、局(市本庁)中心の体制から区中心の体制に変わっていかなければいけない。今は中之島ですべてやっていますけれども、できるだけ総合区に権限分配して分権化していくような、基礎自治的な仕事はできるだけ総合区制度を使って分権化していくということは必要だと思います。総合区の場合はそういう形になると思いますが、大阪の大都市制度がどうあるべきかということが出発的になっていますので、市政改革マターで制度設計をすべきではないと思っています。
北野議員 今回、示されました総合区素案ですが、行政区と総合区を比較している点は正しいので評価しておきたいと思います。前回、特別区の説明の時はあまりにもひどかったです。自治体としての特別区というものと比較すべきは政令市の大阪市であったはずなのに、行政区と比べていらっしゃいましたよね? そのことを言っておきたいのですが、次に出て来るべき「特別区素案」というものの中身を考えると、特別区と比較されるべきは政令市大阪市であると考えております。自治体という正しいベースできっちりと比較するべきものを見定めたうえで比較していただいて資料を出してほしい、いかがでしょうか?
吉村市長 資料作成ですが、総合区もそうですし、特別区はこれからですけど、それぞれの案についてしっかりしたものを作っていく考えです。委員が最初におっしゃったのはいろんなバリエーションがあってわけが分からんということですが、そのバリエーションについて議会の中でしっかり議論して、最終的にはそれぞれ1案ずつ確定的な案ができるようにするのが大事だと思っています。住民の皆さんに正しい判断をしてもらうために、できるだけ分かりやすい、正確な資料を作成するのが当然だと思います。
北野議員 そうですね、(市民に)正しい判断をしていただくためには、正しい材料が必要でございます。とんでもない資料が行政からまさか出されるとは市民は思っていないわけですから、この点はお願いをしておきたいと思います。
 続きまして、総合区案のスケジュールについてお伺いします。これまで知事、市長は来年の秋に住民投票を何がなんでも実施するという発信をしてきました。5月23日の財政総務委員会で我が会派の川嶋委員(自民党・川嶋広稔議員)の方から法定協議会で総合区について議論する根拠について質された際に、市長はこういうふうにおっしゃっています。「特別区設置協定書を作っていく手続きの中で、もう一つの案の総合区についてしっかりと特別区と比較検討する。比較検討することでより良いものが作られていくんじゃないかというふうに認識している」とおっしゃいました。もう一つは8月29日に開催された法定協議会後の記者の取材に対しまして、市長が「大阪都構想で住民投票をやると主張していますが、住民投票前に何も議決しないのは違うと思う。住民投票で否決されたら総合区、可決されたら特別区、ということが分かるそんな基本設計を住民投票の前に議会で議決したい」という旨の発言をされています。つまり、総合区の基本方針を議決したうえで、特別区設置の住民投票を実施して、否決されれば総合区制度が選択されたというふうに考えて、総合区の条例案を上程するというスケジュールを示された。この進め方はおかしいと思うんです。総合区の基本方針を議決した後、(特別区設置の)住民投票が行われるということですよね。そうなってくると、住民投票の結果によっては議会の議決が全く無意味なものになってしまう場合もあるわけです。総合区を導入するという議会の議決はいったい何だったのかというふうな疑問を抱かざるを得ないわけです。こうした疑問を抱かざるを得ないような矛盾を内在した今回の進め方はすごく問題だと考えています。結局、特別区の住民投票が目的であって、その目的を達成するために一旦、「総合区の基本方針議決」という見せ方をしているだけであって、総合区をまるで「噛ませ犬」としているとしか評価せざるを得ません。噛ませ犬以外にぴったりする表現がありません。もし市長が何がなんでも平成30年秋に(特別区設置の)住民投票するというスケジュールではなくて、お互いが納得いくまで徹底的に時間をかけてこの総合区議論をするという姿勢なら別ですが、これまでの質疑、維新の会の皆さんの議論も聞いてまいりましたし市長自身のご答弁も分かりましたが、総合区と特別区を比較検討することによってそれぞれのいい所、悪い所を出し合って良いものを作り上げていくという姿勢は全然見えません。むしろ、総合区の悪い所を指摘する、そのことによって特別区制度をより良いものに見せかけようとしているんじゃないかと思わざるを得ません。どうでしょうか市長、この(総合区の)基本方針案を(特別区設置の)住民投票前に議会で議決することの真意をお伺いします。
吉村市長 私が申し上げたのは、基本的な考え方ですけれども、特別区、僕は特別区論者ですけれども、特別区はベストな案を作る。そしてもう一つの大都市制度である総合区についても行政としてベストなものを作る。最後は住民の皆さんに判断していただきたいとうのが、僕が随分前から言っている考え方なんです。来年の秋に住民投票をしたいというのも随分前から言っています。総合区の素案は今、議論をしているし、特別区の素案ができた段階で当然、比較の議論が進んでいくし、比較して詰めていってより良いものを作っていけばいいというところに嘘偽りはありません。最後の判断権者である市民にみなさんにベストなものを準備するというのが僕の仕事だと思っています。
 そのうえで、当然、僕は(特別区設置の)住民投票を実現したいとずっとやってきて、一方で議会の多数としては総合区がいいんじゃないかというのが今の動きだと思います。その中で僕が説明したのは、それを実現するための手続きの進め方です。大都市法が総合区か特別区かという二者択一の住民投票ができればそれがベストなんですが、法はそういう建て付けになっていない。特別区を導入するかしないかという法の建て付けになっているので、それを前提に考えないといけない。やり方として何パターンかあると思います。まずは、総合区の完全な議決をやったうえで、(特別区設置の)住民投票をするという考え方。これをすると、団体意志として自己矛盾をきたしているとも考えています。要は「総合区でいこう」というのを大阪市議会で判断しながら、一方でそれと矛盾する特別区の住民投票をするというのは、矛盾する二つの意志が存在するんじゃないかと、だから先に総合区を完全に議決するというのはちょっと違うじゃないかというのが今の段階での僕の帰結点です。では逆に、特別区の住民投票をやって、その前に何の議決もせずに(住民投票で)否決されたとしたら総合区を導入するというやり方もあるかと思いますが、でもこれは「本当に住民投票で否決された時に総合区を導入するの?」と、その1年後に市長選、知事選がやって来るので「また大阪都構想に挑戦させてくださいってまさか言い出さないよね?」って、いわゆる総合区を導入するという担保が全くないという形になると思います。じゃあどういう手段があるかと言うと、(特別区設置の)住民投票の前に基本議決というのをやっておく、基本議決というのは中身として「(特別区設置の)住民投票はするけれども、それで可決されたら特別区に行くし、否決されたら総合区」だということを前提とする基本議決であれば団体意志としても矛盾しないし、住民の皆さんの判断を尊重してそれに従うと、そして(住民投票で)可決されたら特別区だし、否決されたら総合区に行くということも担保できるし、それが一番適切なやり方なんじゃないかというふうに思っています。それ以外の他意はありません。
北野議員 もっともらしいことをおっしゃっていますが、市長は「特別区」を目指していらっしゃるんでしょう? それだったら、意に反した総合区のことをこの場でいろいろ揉んだり、法定協議会でも必要な範囲において(総合区の)議論をするということまでやってらっしゃるわけで、手が込み過ぎていると言いますか、ストレートでないと言いますか、市民にとってやり方が分かりにく過ぎます。来年の(特別区設置の)住民投票でまで総合区案を持ったまま特別区案をブラッシュアップしていくとおっしゃっていますし、(特別区設置の)住民投票で否決されたら総合区、可決されたら特別区という手法に持って行くことが回りくど過ぎて、政治家だったら堂々と真正面から(特別区で)行きはったらいいのにと強く感じます。                                                                             以上