2017年9月6日 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会2日目。総合区素案について質疑。

 9月6日、大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会の2日目です。テーマは5日と同様、大阪市の24行政区を8区に合区する「総合区素案」について。公明党と共産党の議員が質疑を行いました。この中で副首都推進局が総合区素案について住民説明会を実施する予定であると明らかにしました。9月末に総合区素案の広報を発行し、11月上旬から12月末にかけて24区各区で説明会の開催を検討しているとのことです。
 共産党の山中智子議員は、総合区素案が今の24行政区を8区に合区することが前提になっていることや、「副首都を目指すには大都市制度改革が必要」という市側の強引な論理立てについて追及しました。
 以下、詳細を掲載しています。

山中智子議員(共産党) 今回、総合区素案の議論ということですけれども、改めてなぜ今、総合区なのかについて討議したいと思います。総合区素案の表紙にも「副首都大阪にふさわしい大都市制度」ということで謳われています。「副首都大阪を作るうえでそれにふさわしい大都市制度の改革が必要で、それが大阪都構想の特別区であり、もう一つが総合区」という説明なわけですが、この副首都がくせ者だと思うんですね。いかにも副首都ができるかのような印象を与えかねないと思います。しかし、(副首都は)定義も実ははっきりしない、海のものとも山のものとも分からないのが実態です。知事、大阪市長、副首都推進局がボルテージを上げているだけで、できもしないことを前提にして、市民にとって一番大事な大都市制度をうんぬんするというのはおかしいと思うのですが、いかがでしょうか?
橋本志津子課長(企画担当) 大阪の副首都化は大阪自らの成長や豊かな住民生活の実現とともに、我が国全体の課題である東京一極集中の是正に寄与するものと考えています。具体的には、世界的な都市間競争の中、日本全体の成長力を高めるためには、国全体の成長を牽引する国際競争力を持つ拠点都市を複数創出することが必要であること。災害リスクを抱える我が国において東京一極集中は大きなリスク要因であり、東京以外にも日本を支える拠点都市を戦略的に確立することが必要であること。中央集権型システムを打破し、地域の自己決定、自己責任に基づく分権型の仕組みへの転換を先導することが必要である。との考えのもと、この3月に副首都推進本部において副首都推進ビジョンをとりまとめました。ビジョンでは、副首都としてのポテンシャルを有する大阪が、東京とは異なる個性、新たな価値観を持って、世界で存在感を発揮する。東西二極の一極として日本の未来を支え、牽引する成長エンジンの役割を果たすことを目指すこととしております。そのための戦略として、副首都の基盤を支える機能面、制度面の取り組み、副首都としての発展を目指す経済成長面の取り組みを押し進めることとしており、副首都にふさわしい新たな大都市制度の実現はその制度面の取り組みの一つとして位置付けているところでございます。
山中議員 副首都にふさわしい大都市制度の実現……何回聞いても分かりません。皆さんの願望は分かります。願望は分かりますが、実際の副首都の具体的な姿だとか、実現の展望などは何も示せていないと申し上げたいです。副首都が果たすべき役割として首都のバックアップ機能を平時も持つとか。ナンセンスも甚だしいと思います。東京一極集中を是正して、東西二極の一極を担って、日本全体の成長エンジンとなるというなら、まず国が考えることだろうと思いますし、大阪はもちろん成長させていかないといけないと思いますけれども、大阪が自ら二極の一極だって言うのはおこがましいのではないかと思わざるを得ません。人口で見ても、総生産で見ても、神奈川県や愛知県と差が無くなって久しいわけです。人口1人当たりのGDP、大阪は東京、愛知に続いて3番目です。東京がダントツで、1人当たりでみれば愛知も神奈川も兵庫も福岡も北海道も大阪とそう大差はないのが実態です。大阪だけが東西二極の一極なんだって発想が、もはや時代遅れというか、ずれているんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
橋本課長 大阪は東京に次いで政治、行政、経済、金融、都市インフラ等が集積する西日本随一の都市、世界の都市間競争を戦いうる総合的な競争力と豊かな個性を持った都市であり、副首都としてのポテンシャルを十分に有しています。また、都市圏全体で見た場合、大阪都市圏は首都圏に次ぐ人口が集積する世界有数の大都市圏であり、京都や神戸など独自の個性を有する都市と一体的に都市圏を構成していることは、他の都市にない大阪の強みであります。大阪がこうしたポテンシャルを生かして東西二極の一極として日本の未来を支え牽引する成長エンジンの役割を果たすことは、東京一極集中の是正にもつながると考えております。
山中議員 大阪が誇るべき街だとは思いますし異論はありません。東西二極の一極という発想がおかしいと申し上げているんです。東京とは異なる個性、新たな価値観を持って世界で存在感を発揮する、なんておっしゃると、東京のGDP減らしてそれを大阪に持って来ようとしているのかなとか、わけのわからない副首都ビジョンだと思うわけです。(総合区に関する)意見募集説明会を24区でやっていただいた時の意見を集約した資料をずっと見ていたら、「東京一極集中が悪くて二極ならいいというのが分からない」というご意見があって、なるほどなと思いました。やっぱり日本全体の経済成長を図ると考えた場合、東西二極なんていうことではなくて、中部圏、北海道、福岡など九州、地方都市も含めたそれぞれの都市が特色を生かした経済発展をすべきだと思います。国だって地方創生って言ってるじゃないですか。それぞれの地域の再生が課題になっているんです。東西二極の一極を担うなんて言ってるのは大阪だけです。副首都を作ると、そのためには新たな大都市制度の確立が必要というこの前提が間違っていると改めて申し上げておきます。
 では、その副首都ですが、総合区の関係がまたさっぱり分かりません。総合区はあくまでも住民自治を拡充させるための区の一種ですよね。地方自治法改正で新たに導入できるようになった区の一種。この総合区と副首都というものがどうつながるのかさっぱり分かりませんが、どういうことでしょうか。
橋本課長 副首都にふさわしい新たな大都市制度の実現は、副首都の基盤を整える制度面の取り組みの一つとして位置づけており、大阪が副首都として成長を実現し、その果実によって豊かな住民生活を実現していくためには、副首都に必要な都市機能を強力に整備しうる制度への改革や、地域ニーズに沿った身近な行政サービスを展開できる仕組みづくりが不可欠と考えております。現行法上、大都市制度を改革する仕組みとしては、地方自治法に基づく総合区制度と指定都市都道府県調整会議と、特別区設置法に基づく特別区制度があり、現在、両制度について具体的検討を行っているところでございます。
山中議員 副首都と自治拡充の総合区って誰が考えても関係ないです。市民のみなさんだって分からないとおっしゃると思います。虚構に過ぎない副首都を誘い水に、副首都にふさわしい大都市制度改革だと言い、副首都を作るためには都市機能のさらなる拡充が必要だと強調しておられるのですが、その一方で「大阪は東京に次いで都市機能が集積している」と、もう集積しているとおっしゃっているわけです。いったい何が不足していて、何を整備しなくてはならないのでしょうか。
橋本課長 大阪はこれまでも自らの改革により大都市としての機能を向上させてきましたが、副首都に向けて大都市としてのポテンシャルにさらに磨きをかける必要があると考えております。副首都ビジョンにおきましては、副首都の基盤を整える機能面の取り組みとしてハード面では高速道路や鉄道ネットワークの整備などの都市インフラの充実、消防、防災や水道などの基盤的な公共機能の高度化、ソフト面ではビジネスしやすい環境づくりを目指した規制改革や特区による環境整備、研究所や産業支援機関などの産業支援や研究開発の機能体制強化、府立大学と市立大学の統合などの人材育成環境の充実、芸術文化の新たな拠点づくりなどの文化創造、情報発信の基盤形成などに取り組むこととしております。また副首都としての発展のための経済成長面の取り組みとして、産業技術力、資本力、人材力を高めることとし、重点的な取り組みとして世界トップクラスのライフサイエンスクラスターの形成、うめきたやベイエリアなど世界に誇れる都市空間の創造、多様な人材が活躍できるオープンでチャレンジングな環境整備などに取り組むこととしております。
山中議員 大学を統合して何が副首都なんでしょうか。この副首都ってこんなにお金をかけてどうするつもりなのかと言いたい中身だったと思います。ハード面ではつまるところ、淀川左岸線延伸部だとかなにわ筋線ということになりますね。これは副首都の名を借りたゼネコン型の無駄な巨大開発そのものではないかと申し上げたいです。淀川左岸線の延伸部なんて必要ないのに膨大な税金投入ですし、なにわ筋線は梅田から関空間たった5分短縮をするためだけにものすごいお金がかかる新しい地下鉄です。まさに過去の失敗の繰り返しではないですか。90年代の様々な巨大開発とその失敗が本市の財政を圧迫してきたことは市長も繰り返し批判をされてきた通りですけれども、またこんなことを繰り返すんですか。そのうえ、IR、カジノを誘致すると。とんでもない話だと思います。カジノのターゲットは、外国人観光客というよりまさに大阪周辺の一般市民です。これでどうして大阪の経済が良くなるのか、こういうことが成長のエンジンたりうるんでしょうか。
橋本課長 ご指摘の事業につきましては、いずれも大阪が副首都として日本の成長エンジンの役割を担う観点から副首都ビジョンに位置付けたものでございます。淀川左岸線延伸部、なにわ筋線は、副首都に必要な都市機能の一つとして事業化を目指しており、なにわ筋線は関空アクセスの改善にも資するものとして、大阪の成長にとって重要な路線であります。また、万博、IRは都市格の向上やブランド力の発信につながるものであり、いずれも多大な経済効果が見込まれることから、都市の発展を加速させるインパクトとして活用することとしております。
山中議員 IRに経済効果があるとおっしゃっていますけれど、カジノはカジノ業者が儲ければ儲けるほど多くの市民が不幸になるものです。検討が始まっているカジノの規制についても、あんまり規制するな、カジノ業者に儲けさせないといけないって、そういう声が盛んに聞こえてきています。結局、庶民の懐を狙っているわけじゃないですか。こんなことで大阪の経済が良くなるはずはないと思います。ソフト面のいろんな取り組みについてもお話がありましたけれども、結局、みんな供給サイドの対策ばかりですよね。でも今の問題は需要をいかに喚起するかです。需要が伸びないことが、大阪でも日本全体でも問題だということにこそ目を向けなければいけないと思います。内閣府の「世界経済の潮流2017年上半期版」を見ましたけれど、主要国の中で日本の成長は最低水準です。IMFであれOECDであれ、とにかく最低水準。こういう状況の中で景気の回復を考えようと思えば、消費の低迷、とりわけ個人消費の低迷が問題なわけです。この4月から6月期、やっと消費税の増税前に回復したと言われていますけれども、中身を見ると家電などの耐久消費財の買い替えが重なったと。ちょうどエコポンントができた頃に買ったものが買い替えの時期に来ているとかで、長続きはしないだろうとも言われていますし、企業の設備投資も新たな需要に応えるために新たに生産を拡大するのではなくて、維持補修が中心だと言われています。つまるところ、消費が伸びないのが一番問題なわけです。個人消費を増やすためには、働く人の賃金を増やすだとか、公的負担を軽減させるだとか、社会保障を充実させるだとか、無駄な巨大開発やカジノをするなんてとんでもなくて、やはり市民の懐を直接温めるのが一番の経済政策だと申し上げておきます。
 総合区素案に話に戻りますが、市長も再三再四、特別区の住民投票を来年秋に実施したいとおっしゃっているように、(市長の)本音は特別区、大阪都構想にあるということは言うまでもありませんね。加えて、総合区も特別区と同時並行的に進めていこうとしておられます。しかし、住民投票の前に総合区を議決するわけにはいかないと。二段構えにして総合区設置の決議なり基本議決みたいなことをしておいて、住民投票で特別区が否決されれば総合区に移行するということになって、その時点で最終議決を得る、ということをおっしゃってますよね。ややこしいと思いますけれども、だいぶ以前には総合区か特別区かを選ぶ住民投票をするとおっしゃって、それが随分マスコミでも報道されて、今も多くの市民のみなさんがそういう住民投票がされるというふうに理解しておられます。とにかくこんな大事な問題なのに、コロコロ変わって市民を振り回しているというのが現状だと思います。市長たるものこんなにふう市民を混乱させ、困惑させていいはずがないと思います。今や、市民、議会を、愚弄するものだとさえ思いますけれども、市長いったいどういうおつもりなんでしょうか。
吉村洋文市長 市民や議会を愚弄するつもりは毛頭ありません。コロコロ主張が変わって、市民も特別区と総合区の住民投票が行われると理解しているとおっしゃいますけれども、何でそういうふうにおっしゃられるのか良く分かりません。これは一貫して主張している通りですが、僕自身は大阪都構想にもう一度挑戦させてほしいと公約に掲げて市長に当選させてもらいましたから、僕自身は特別区論者です。ではそれをやるためにですね、最終的にどうするのか。制度設計は役所でないとできませんからベストな制度設計をしたうえで、最終的に市長ですべて決められるなら決めますけども、今の法の建て付けは市民の皆さんが最終決定権者です。ですので最終的に市民に判断していただきたいというのが僕の考えです。常に言っている通りです。最後は市民の判断というのが軸にあります。技術的な方法としてどうするのかというので議論をさせてもらっていますが、ぶれない点は市民に最後はご決断いただきたいというのが僕の考え方です。それから市民の皆さんに提案するにあたって、特別区、総合区についてそれぞれベストな案を作りたい。第1党の維新は特別区の推進ですけれども、議会の中で大都市制度の改革として総合区が適切ではないかという意見があるのも事実です。議会が最終決定にはなりますが、議会は組織を持っていませんから「案」を作ることができません。そういった中で、僕自身は議会の意見を尊重して議論を進めて行く中で、組織を動かして総合区としてもベストな案を作っていく、特別区もベストな案を作っていく。そして一番、議員よりも市長よりも上にいるレベルにあるのが市民だと思っていますから、市民のみなさんに最後の判断をいただく。そして、それに従いたいというのが僕のずっと言っている意見で、全く変わっていないし、市民を愚弄しているつもりもありません。メディアがどう報じるかはメディアに報道の自由があるので、どう報道してとは言えませんけれども、僕自身はずっと終始一貫してそう言ってきているところです。
山中議員 メディアじゃありません。市長自身が二者択一の住民投票をするっておっしゃってきたじゃないですか。一番大事な市民の意見を聞くといいながら、その大事な市民の皆さんが、訳が分からなくなるようなことをしておられるわけじゃないですか。特別区をやりたいけれど、議会の中で総合区の方がいいって意見があるので素案をまとめたと。結局、何がなんでも来年秋に住民投票を実施するために、総合区を利用しているだけなのは見え見えです。昨日、維新のパーティーがあって、そこで市長が「総合区とか練って進めてますけども、山の頂上は特別区。いろんな戦略を練りますがそこしか見ていない。カモフラージュする時はありますが、そこは作戦」とおっしゃったということです。言うまでもありませんが、特別区は大阪市を廃止してバラバラの自治体にする統治機構の話、総合区は区の一種です。言葉の響きは似ていても、全く次元が違うものです。住民投票をやりたいという自分たちの都合だけで、次元が違うものを比べる土俵を勝手に無理矢理作って、特別区にするのか8区の総合区にするのかなんてめちゃくちゃだと思います。これだけ膨大な資料を作って、エネルギーと税金を使ってやってる総合区を、カモフラージュだとおっしゃる。これは市民も議会も愚弄するものだと思います。総合区は住民自治拡充のための手法です。市民が何がなんだか分からないような形でやるようなものではありません。今のようなやり方とはきっぱり切り離して、スケジュールだとか、区の数にもこだわらずに、まず、総合区制度とはこういうものですよと、住民自治の拡充につながるものなのかどうか、市民を含めて真摯な議論をやるべきだと思います。市民の皆さんと共に考えていくというプロセスが大事だと思います。(若干省略)住民参加をやるやるとおっしゃったけれども、大事な(案を)作る段階の過程で住民参加を全然保障しないでおいて、何が住民参加だと思うわけです。今のやり方を改めて一旦、イチから総合区制度というものを市民に説明して、市民と向き合って、市民の意見を聞くという時間がかかってもここをやるべきだと思いますがいかがですか。
吉村市長 まず昨日の維新の会のパーティーで、僕がカモフラージュだという言葉を使ったというのは間違いないんですか? 僕がそういう言葉を使っていなかったら謝罪して撤回していただけるんですか? 僕はカモフラージュという言葉は使ってません。もちろん維新の会のパーティーですから、都構想を目指したいというのは言いますよ。僕は政治家ですから当たり前です。そこを脚色して言われることは控えていただきたい。政治家ですから選挙の場であったり、パーティーだとかそういった所で、政治家としての思いを存分に言うことはあります。議会で言ったことを取り上げて非難されるのはいいと思いますが、それぞれここにいるみなさん政治家ですから政治的主張は自由だと思います。しかも僕はカモフラージュという言葉は使ってませんから、そういったことを言われるのはどうかなと。本当に謝罪してくれとは言いませんが、そういう思いです。
山中議員 それは確認させていただいて間違いなら謝罪するのはやぶさかではありません。しかし、オフィシャルな場、この議会以外なら何を言ってもいいということにはならないと申し上げておきます。先ほどの質問にお答えいただけますか。
福岡弘高部長(制度企画担当) 総合区制度の検討にあたっては、平成28年7月に概案として事務レベルごとにきめ細かい行政サービスの提供や行政の効率性の観点から区の規模を検証の上、三つの案を作成、公表し、昨年8月から本年1月まで24区において意見募集説明会を実施し、住民の皆さんより総合区概案に対して意見をいただいてまいりました。また、市会の皆さま方には本年2月の本委員会におきまして、総合区制度の案について総合区が担う事務を一般市並みの事務とすること、区の数については8区とすること、合わせて地域自治区制度、地域協議会を導入することを考え方としてお示しし、ご議論いただいてまいりました。さらに本年3月に総合区の区割り案をお示しし、今般これらに基づく詳細な事務の範囲や職員体制をはじめ、コスト、予算意見具申権、職員の任免権などの総合区長の権限などを盛り込んだ総合区の素案をお示したところでございます。この総合区素案について市会の皆さま方にご議論いただき、大阪市としての取りまとめてまいりたいと考えております。
山中議員 3案だって市民と向き合ったわけじゃなく、合区ありきでやってるわけですよ。あの説明会終わっても「よく分からなかった」という(市民の)意見がすごい多かった。8区(の合区)でやってくださいなんて意見はほとんどなかったと思いますよ。それがいきなり8区という1案だけで総合区素案というものが出されて、一番大事な住民自治の拡充どうあるべきかという議論を吹き飛ばしてしまって、総合区そのものではなく8区バージョンの是非しか議論できなくなっているわけです。職員を増やさないというのが前提なんでしょう、大幅な再編とも言うべき合区で矛盾が膨らんでしまうわけです。これでは市民は総合区と言えば合区しかないと思い込まされて混乱するだけですし、そのうえ、あとひと月も経たないで特別区の素案が4パターンも出て来ると、もうめちゃくちゃなやり方だと思います。
 8区バージョンだけの議論は残念で仕方ないですが、8区バージョンの総合区素案についても具体的にお聞きしたいと思います。この案で本当に市民に身近な施策が前進するんでしょうか。
小林真澄課長(制度企画担当) 総合区の設置にあたっては、局(大阪市本庁)と区役所の役割分担を明確にし、局から区役所へ権限を移管するとともに、区役所の組織体制の充実を図ることとしております。また総合区長には地方自治法上、規定された職員任免権が付与され、それに基づき区長の組織マネジメント力を最大限発揮することとなります。さらに予算具申権に基づき、住民ニーズの区政、市政への反映に努めるなど総合区長が自らの責任において総合的かつ包括的に行政を実施していくこととなります。
山中議員 行政の話ばっかりですよね。人の姿が全然見えてこない。どれだけのことができるのかちゃんと考えないといけないと思います。予算意見具申権が言われていますが、どのぐらいの範囲を言うんでしょうか?
楠見雅信課長(財政調整担当) 総合区長の予算意見具申権の範囲につきましては地方自治法第252条の20の2第10項において、総合区長が執行する事務が対象と規定されております。同じく同条第8項におきまして、主として総合区域内に関する事務で条例で定めるものを総合区長が執行する事務に加えることができるとされております。こうしたことから総合区長が執行する事務に加えまして、総合区域内における住民に密接に関わる各局所管の事務につきましても総合区長が関与、調整する旨を条例に規定いたしますことで、総合区長の予算意見具申権の対象を総合区の事務以外にも広げることができるものと考えています。
山中議員 総合区長が執行する事務、総合区域内に関する事務で条例で定めるものということですけれども、確かにこの制度になれば法的な裏付けはできるということだと思いますが、結局は(総合区長は)意見具申するだけで決めるのは市長であり議会ということになろうかと思います。今、お答えいただいたことは、今だってやろうと思えばできると言うか、当然その程度のことはしてて当たり前だと、実際にはしてはると思うんです。だって行政区にかかわることについて区長の声も聞かないで勝手に予算編成するとか、行政区で実際に事務をすることについて勝手に区長の意見も聞かないで予算編成するなんてありえませんからね。このことでどこまで総合区長の影響が予算及ぶのか、やっぱり分からないと思います。
 今回の総合区素案の事務分担で現行政区にプラスされるものとして、市立保育所の運営だとか生活道路の補修管理、公園の管理などなど挙げられ、地域の実情に応じた特色ある行政サービス、とこれが大きな謳い文句であるわけですけど、一方で当然ながら大阪市全体としての施策の一体性も確保しなくてはならない。この制度設計で特色ある行政サービスがどの程度できるんでしょうか。
小林課長 総合区制度では現在の区で実施している事務に加え、局から総合区に事務を移管することとしており、こうした権限を最大限に発揮できる仕組みを構築していくこととしております。予算意見具申権についてですが、予算成立に先立つ方針策定プロセスからの参画として仮称サマーレビューを設定するなど総合区長と市長、副市長と意見交換する仕組みを制度的に規定するとともに、住民に密接にかかわる各局所管の事務について意見具申の対象とすることを検討しているところです。また、事務分担にあたっては住民に身近な行政サービスは総合区で、市全体の統一性、一体性や高度な専門性が求められる事務は局で実施するなど役割分担を明確化いたします。さらに総合区には住民意見を聞く仕組みとして地域自治区、地域協議会を設けるなど市全体の一体性を確保しつつ住民ニーズを的確に反映し、より地域の実情に応じた特色ある行政サービスの充実を目指していくこととしております。
山中議員 全体に抽象的にどう実際に変わるのかピンと来ないですね。総合区長と市長と副市長が意見交換する仕組みって、今までこれが無かったのにびっくりします。しつこいですが、地域自治区、地域協議会を設けて住民ニーズを反映するとおっしゃいましたが、市民のみなさんが総合区にどういうものを期待するのか(市民と)全然やり取りしないで、職員数を増やしてはいけないというだけで8区にすると勝手に決める姿勢で、住民ニーズの的確な反映なんてできるのかと思います。8区の総合区になったとして、市民にどんなメリットが具体的にあるのか説明いただけますか。
小林課長 総合区素案において、総合区長が市長から民間保育所の設置認可や生活道路の維持管理、市民利用施設の運営などに関して権限移譲を受け、自らの責任において、住民の意見を聞きながら住民の身近なところで総合的かつ包括的に行政を実施することで、地域の実情やニーズに対してより柔軟に対応できるようになるのではないかといったことを示しております。
山中議員 市民利用施設が移管されたとしても、例えばスポーツ施設の利用料を勝手に決めたりできないし、保育料だって勝手に決めたりできません。待機児童の解消が進むかにおっしゃいますが、今、待機児度の解消が進まないのは、局が住民から遠いところにいてのんびりやっているからではなくて、土地が無いだとか、保育士不足で法人さんがなかなか事業の拡張をできないからで、これ総合区に事務が移ったって課題は全然変わらないと思います。
 地域振興、地域活動支援は総合区の事務でもあって、地域自治区の事務にもなってますよね。女性会、老人会、障害者団体、PTA、商店街、いろんな団体はコミュニティを形成している地域自治区での意思形成もいるでしょうけど、施策に反映してもらおうと思ったら総合区のものもいるんではないかと。何もかも二層構造になるんではないかと思います。行政コスト上の問題で8区がギリギリの線だからこういうふうにならざるをえないと思うんです。それでもイニシャルコストが63億円かかります。総合区を否定するわけではないですが、市民的議論を検討すべきだと思います。いずれにしても24区で(総合区を)やるっていうならともかく、8区ありきのこの案は市民にとってメリットというよりデメリットだと思います。住民投票にこぎつけたいがためというよこしまな動機、あるいはスケジュールありきではなく、じっくり市民の皆さんと一緒に市民合意を得ながら議論を進めるべきと思います。

※山中議員と吉村市長のやり取りの中で、前日の維新のパーティーで吉村市長が総合区は「カモフラージュ」と発言したと山中議員が指摘したのに対し、吉村市長は「そんな言葉を使っていなければ謝罪、撤回するのか? カモフラージュという言葉は使っていない」と否定していますが、実際にはカモフラージュと発言しています。委員会の翌日、吉村市長は「謝罪、撤回を求めたのは失礼だった」と山中議員にお詫びしました。否定した理由についてはカモフラージュという言葉を使ったことを「忘れていた」と説明したそうです。