2018年1月16日 大阪都構想の第6回法定協議会が開催。副首都推進局作成の特別区素案について討議が本格化

 1月16日、大阪府庁で第6回「大都市制度(特別区設置)協議会」(法定協議会)が開かれました。冒頭、副首都推進局から総合区制度の財政シミュレーションについて説明がありました。その後の討論では、本来の法定協議会のテーマである特別区制度(大阪都構想)についての質疑が大半を占めました。吉村洋文・大阪市長は、2015年5月の住民投票で否決された大阪都構想を「バージョンアップする」との前提で復活させて進めていますが、今回、提示されている特別区素案が果たしてバージョンアップした案と言えるものなのかどうかも焦点となりました。
 大阪維新の会、自民党、共産党の議員の質疑を抜粋で掲載しています。

<大阪維新の会>

辻淳子大阪市議 なぜ特別区を作るかと言えば、これは府市統合が主たる目的だと考えています。広域行政を府市統合で一元化することで大きな発展をしていく、そして同時に身近な基礎自治体となる特別区を作る。このことによる利点は多くあるのですが、行政組織の話ですので一般市民の皆さんには理解がしにくいです。それで市民の皆さんに分かりやすいように経済効果を数値として表してほしいと以前、私から提案させていただきました。先週の大阪市における大都市・税財政制度特別委員会においても質疑が行われたところですが、できるだけ早く検討を進めていただきたいと考えております。副首都推進局における検討状況について改めてお聞かせください。
副首都推進局 川口祐司課長(企画担当) 新たな大都市制度の経済効果の算出にあたりましては、経済学などの専門的な知見、ノウハウを有する民間事業者へ業務委託を行う方向で検討を進めております。また委託内容としましては、効果のとらえ方や試算の手法により算出結果が異なる可能性があることから、複数の手法で算出する必要があると考えています。このため、特別区素案を基にして複数の算出手法を用いて、広域機能の一元化、及び基礎自治機能の充実に関する経済効果の算出を求める方向で検討しているところです。さらに、新たな大都市制度の一つとして検討を進めております総合区制度についても同様に総合区素案を基に複数の算出方法により経済効果の算出を求める方向で考えております。事業者の選定にあたりましては、経済学に関する高度な専門知識や大阪、関西の経済状況にかかる幅広い知見を要することから、公募型プロポーザル方式を採用することとし、先週1月12日より事業者選定に向けた公募を開始したところです。今後、関係局と補正予算案の上程に向けて調整を行いまして、議会のご承認をいただいたうえで、最も優秀な提案を行った事業者と業務委託契約を締結することとしたいと考えております。
辻市議 知事が会見で「府市がバラバラで拒否し合っている時、どれほどの損失があったのか一度調べてみたい」とおっしゃっていました。淀川左岸線のミッシングリング、なにわ筋線などこれまでは府市連携が取れず長い間進まなかった課題が今動き出しました。また、うめきたについても大阪市だけで検討を進めていた前の状況では、今のようないい形にはなり得なかったと思います。広域一元化にかかる逸失効果、府市統合の効果、これを算出することは重要だと考えております。副首都推進局では経済効果の算出にあたって、具体的にどう考えているのかお聞かせください。
川口課長 総合区、特別区の各素案を基に経済効果の算出を行いますけれども、その具体的な算出手法は、事業者から提案を求めることとしたいと存じます。経済効果の算出にあたりましては、かつてインフラ整備などにおいて府市の連携不足があったという知事、大阪市長の指摘もございますことから、こうした点も含めて様々な観点から広域一元化の効果について検討していただきたいと考えております。

河崎大樹府議 前回の質疑で他会派の皆さんから指摘された点を幾つか確認しながら、特別区、総合区の違い、できるだけ本質的な部分を質疑していきたいと思っています。前回、「政令市の権限を放棄して中核市に移行した市はなかった」という公明党の八重樫議員(府議)のご指摘がありました。この点、大阪市をそのまま中核市にしようという議論をしているわけではなくて、大都市制度のあり方として決して政令市がベストということではなくて、それぞれの都市にふさわしいものがある。特別区という選択もできるようにしようと、それこそ国会の方で超党派の議員立法で大都市地域特別区設置法が制定されたわけでございます。大阪では同じく政令市である横浜、名古屋、京都、神戸などとは異なる状況がありまして、特別区制度導入の議論はなされております。そこで改めて、なぜ大阪が特別区の検討をしているのか、大阪固有の都市の特徴、課題についての認識、いわば議論の出発点のところをまずお尋ねします。
副首都推進局 榎下朋浩課長(制度企画担当) 大阪におきましては、狭隘な区域の中心に大阪市が存在するという地理的な特徴があり、大阪市を中心に都市が発展してきたところでございます。人口や事業所といった都市の集積が大阪市域を越えてほぼ区域全体に広がる中で、かつて大阪市は市域内、大阪府は市域外という役割分担が固定化し、府と市がそれぞれの考え方に基づいて広域行政に取り組んだ結果、相乗効果を発揮できず大阪の強みを十分生かせなかったと認識しております。また基礎自治の面でも大阪市は270万という人口を抱え、カバーするサービスも幅広いため、個々の住民との距離が遠くなる傾向があるとの課題も認識しております。現在では知事と市長、各部局間の協議、連携が進み、戦略の一本化や二重行政の解消が一定進んでおりますけれども、これを安定的なものとするため、広域機能を大阪府に一元化し、住民に身近な公選区長、区議会による基礎自治機能の充実を図ることができる仕組みとして特別区制度の検討を進めているところでございます。
河崎府議 狭隘な区域の中心にうんぬんのくだりは何十回も何百回も聞いて、あえて聞かせてもらいましたけど、人口とか事業所とか広域インフラもそうですけれども、都市の集積が大阪市域をはるかに越えて区域全体に広がっているという中での広域行政機能の一本化の話ですから、都市の集積がおおよそ市域内に収まっている他の政令市や、地理的にも府県としっかり棲み分けできているような都市と、大阪とは全く異なるという状況ですね。大阪と似ていると言えるのはまさにかつての東京市だと思います。東京市、現東京23区のエリアは当時でもはるかに越える都市の集積があって、権限とか予算規模も同じぐらい東京府、東京市とそれぞれバラバラだった。単に仲が悪いとかそういうことではなくて構造的問題ですね。しかも東京府と東京市を一本化した方がいいという議論がそれまで何十年と続けられていて、1943年、戦時中という特殊事情もあってやっと実現したという経緯があります。話を戻すと、特別区設置法、しかも今の東京都のものをそのままということではなくて、大阪の事情にも対応できるよりバージョンアップされた特別区制度というものを大阪に導入すべきかどうかという議論なんですね。政令市を中核市に格下げするとかそういう次元の話ではなくて、これは本質的な地方自治のあり方そのものの話です。その地方に合った制度をどのように取り入れていくかという議論です。これからの委員会討論の機会があると聞いていますので、しっかりと骨太な議論をしていきたいと思います。
 前回の質疑で公明党の山田議員(大阪市議)から「広域行政を大阪府に一元化しても大阪府は財政状況が厳しいので、今後事業化が本格化するビッグプロジェクトを担える保証はない」と発言がございました。この点ですね、財政調整の仕組みと関連する話ですので事務局からこの点についてお伺いします。
副首都推進局 芦原武司課長(財政調整担当) 財政調整制度は現行の大阪市の税、地方交付税等の財源を特別区と大阪府へ配分するものでありまして、その配分割合は現在大阪市が行っている事務の事務分担案に応じまして、特別区、府の所要一般財源額を積み上げることで定めることとしてございます。大阪府は一元化された広域機能を発揮して大阪の成長、発展に向けた取り組みを進めまして、その果実や制度的に配分される財源をマネジメントすることによって、広域自治体としての役割を果たしていくことが基本と考えております。なお、特別区素案でお示ししております財政調整制度の設計におきましては、財政調整財源の配分割合について特別区設置の日までの地方財政制度の動向などを踏まえて、必要に応じて知事と大阪市長で調整すること、特別区設置後においては大阪府・特別区協議会で配分割合を毎年度検証し必要に応じて協議することとしております。今後、事業が新たに具体化することなどによって必要が生じた場合におきましては、こうした枠組みの中で調整、協議されるものと考えております。
河崎府議 大阪府の財政が悪いからどうこうという話は、私も前職は大阪市会議員でしたので、よく耳にさせていただきました。他会派のみなさんも委員会とか議会でやっきになって大阪府の財政がどうだこうだと、本当にもう不毛な議論です。先ほどの答弁にもありましたけど、要は仕事見合いでお金をつけるって話だけですから。大阪市で担っていた広域的な仕事を大阪府に一元化してその財源を財政調整で移すだけの話です。その調整方法、今回の(特別区)素案にも新たに手当てしているところ、前回と違ったところ幾つかあるんですが、要は今よりもよっぽどお金の使われ方がオープンになるということです。

<自民党>

花谷充愉府議 総合区の住民説明会では多くの市民から「今の24区のままでいい」という意見があったと聞いております。その方々に、「現状と特別区」そして「現状と総合区」の財政状況の比較をしていただくべきと考えました。なので、現状のままの財政推計を同じ条件で作成をと前回お願いしたのですが、(大阪)市として作成するつもりはないという答弁でしたので、やむなく(自分で)試算をしてみました。総合区の財政シミュレーションを基に試算したものです。

※花谷府議の「平成48年度における財政活用可能額の試算」
◆大阪市24区が残った場合(現状)  ケース1 2275億円 ケース2 4144億円
◆総合区素案           ケース1 2198億円  ケース2 4067億円
◆特別区素案(大阪都構想)
      ・4区A案      ケース1 1110億円  ケース2 2611億円
      ・4区B案      ケース1 1006億円  ケース2 2507億円
      ・6区C案      ケース1 147億円  ケース2 1648億円
      ・6区D案      ケース1 58億円   ケース2 1560億円

 総合区の財政シミュレーションの算定方式を見れば、大阪市の財政に関する将来推計を基に改革効果額の未反映分、組織体制の影響額、さらに総合区設置コストを加味することとされています。これらの項目のうち大阪市の財政に関する将来推計にかかる数値はどのような考え方で算定されているのでしょうか。そしてまた、総合区が設置される場合と設置されない場合、つまり「現状のまま」で算定の考え方は異なってくるんでしょうか。
芦原課長 財政に関する将来推計の算定方法につきましては、大阪市の今後の財政収支概算、いわゆる「粗い試算」の平成29年2月版の数値を使用し、平成39年度以降の数値につきましては市の粗い試算で推計しない期間になりますことから、歳入、歳出ともに基本的に同額で横置きをしつつ、あべの再開発事業など財務リスク分の各年度の増減見込みを個別に反映させたところでございます。また大阪市の財政に関する将来推計を見込む際、税と一般財源の歳入、とりわけ地方交付税等については国予算、地方財政計画が毎年大きな議論になっている現状に鑑みまして、二つのケースを想定したところでございます。総合区が設置される場合とされない場合の考え方ついては、大阪市の財政に関する将来推計は市の粗い試算の数値を使用して算定しているものでございまして、双方でその算定の考え方が異なるというものではございません。
花谷府議 異ならないということでした。改革効果額についてお尋ねいたします。第5回の法定協で特別区の財政シミュレーションに関して質問した際、改革効果額は現在の大阪市のままでも出てくる効果額だということを確認させていただきました。では今回の総合区の財政シミュレーションに盛り込まれている改革効果額についても、総合区の設置にかかわらず現在のままでも出てくる効果ではないでしょうか。
副首都推進局 橋本浩典課長(事業再編担当) 改革効果額につきましては、平成23年12月の大阪府市統合本部設置以降に取り組んできた改革により見込まれる効果を算定したものであり、必ずしも特別区制度や総合区制度への移行を前提として見込まれるものではないところです。なお、総合区の財政シミュレーションの中では、府市連携にかかる改革を今後とも継続的に進めていくためには、これまで通り大阪府大阪市間の協議、調整により広域行政にかかる方針を統一する必要がある旨を記載したところであります。
花谷府議 総合区の財政シミュレーションに盛り込まれております改革効果額についても、総合区の設置にかかわらず現在のままでも出てくる効果額だと確認をさせていただきました。次に組織体制の影響額についてお尋ねいたします。総合区素案では、総合区の組織体制については概ね現行の職員総数の範囲内で再生整備を行うとされています。総合区の財政シミュレーションに盛り込まれている組織体制の影響額とは何ですか。また総合区が設置されない場合でも発生する影響額ではないでしょうか。
副首都推進局 世古口隆志課長(組織体制担当) 組織体制の影響額は大阪市の財政に関する将来推計に未反映の技能労務職の退職不補充による影響額を年次別に試算した額であり、粗い試算において平成38年度までは技能労務職の退職不補充による人件費削減が織り込まれているため、平成39年度以降につきまして算定しているものでございます。ご指摘の通り、現在の大阪市の方針である技能労務職退職不補充の影響額は総合区が設置されない場合でも発生するものでございます。
花谷府議 これも現行のままでも同じだということが分かりました。次に総合区の設置コストについてお尋ねをいたします。これは総合区設置に伴うイニシャルコストやランニングコストであり、総合区を設置しない場合、そもそもこのようなコストはかからないと考えておりますが、間違いないでしょうか。
副首都推進局 黒田一人課長(戦略調整担当) 総合区素案では総合区設置に伴い発生するコストとして、一定の前提条件を設定し試算したものでございます。素案で試算したイニシャルコスト、ランニングコストは総合区を設置しない場合には発生いたしません。
花谷府議 これまでの答弁によりますと、総合区の財政シミュレーションから設置コストを除けば、現状での財政推計を試算できるということになります。このような考え方に基づきまして、総合区の財政シミュレーションをベースに現在の大阪市の財政推計を計算し、平成48年度の財源活用可能額を試算すると、お配りした資料の通りになると思いますが間違っていませんか。
芦原課長 この「大都市制度(特別区設置)協議会」(法定協議会)でございますが、新たな大都市制度としての特別区及び総合区の制度設計についてご協議をいただく場でございます。そのことから、大阪市の24行政区のままで一定の条件を置いて財政推計を行ってはというその考え方でございますけれども、このことについて事務局としてはお答えいたしかねます。
花谷府議 今4回ほどやりとりをさせていただいたうえで、全部確認をした結果なんで、間違っていませんかと尋ねているんですが、いかがですか。
芦原課長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、大阪市の24行政区のままでの一定の条件を置いての財政推計の考え方については事務局としてお答えいたしかねます。
花谷府議 非常に残念です。実は既にですね「花谷さん、どんな質問しますか」ということで「こんな質問します。どんな答えになりますか」「こういう答えになります」「じゃあ、次の質問はこうしますね」というやり取りを(事前に)ちょっとさせていただきました。最終、今の質問に対する答弁はこのように返ってきてます。「現状24行政区の制度のままでの大阪市の財政推計については、(大阪)市の財政局が今後の財政収支概算いわゆる『粗い試算』の平成29年2月版として公表しているが、委員(花谷府議)がお示しになったように総合区の財政シミュレーションをベースに平成48年度までの数値を計算するということであれば、(花谷府議作成の)資料のような結果が得られるものと考える」。今日の(午後)1時までこう答弁すると言っていたのに、今のような答弁になるのは考えられません。直前までの答弁を基にまとめをさしていただきますと、前回と今回の協議の結果、特別区を設置しなくても現在のままでも改革の効果を同じように生み出せることができるにもかかわらず、特別区の設置には莫大なコストが必要となり、本来、大阪の成長に費やすべき財源を浪費するだけで何らメリットがないことが明らかになりました。
 大阪の成長を大阪市民は求めています。特別区案より2500億円以上も多く大阪の成長に投資できるんです。このことを市民に広く伝えるべき資料だと思います。きっちり役所が試算をしてください。そもそも特別区の議論は既に住民投票で決着済みの話で不毛な議論は今です。早々に特別区の(法定)協議会は止めた方がいいと思います。副首都推進局が示した合区を前提とした総合区案についても、今の24区のままでいいとの意見が根強くて、住民の理解は十分浸透しているとは言えません。なので、大阪市を存続させながらどのように住民サービスの充実や住民自治の拡充を図るのか、もっと熟議をしていただく必要があります。今の大阪市を存続させ、政令市ならではの高度できめ細やかな住民サービスを充実させていくことが重要な視点です。しかし、そのような議論は総合区の議論を含め、法定協議会の場ではなくて、大阪市会でじっくりと腰を据えて議論をしていただく事項であることを指摘しておきます。

川嶋広稔大阪市議 特別区素案は前回の住民投票で既に否決されております。(今回の特別区素案も)本質的な部分では(前回と)何も変わっておりません。これはバージョンアップではないということも指摘させていただいて、我々としては前回の住民投票で否決されている以上、新たに住民投票にかけるような内容のものではないと申し上げたいと思います。そのうえで、「住民サービスの水準の維持」という視点について質問をさせていただきます。まず、特別区素案では「高度できめ細やかな住民サービスを低下させないよう特別区及び大阪府は適正に事務を引き継ぐ。大阪市が実施してきた特色ある住民サービスについては、地域の状況や住民ニーズも踏まえながら内容や水準を維持するよう努めるものとする」と記載されております。素案で示された職員体制や財源は、前回、住民投票で否決されたものと基本的には何ら変わらず、記載通りに市民サービスを維持することができるのか疑問であります。特別区になって初めて大阪市が実施してきた市民サービスが受けられないことが判明したということが起きないように検証はしておくべきと思っています。特に職員体制ですが、総合区素案の職員数に用いておられる集約率とか分散率、これを特別区素案では適応していない。現在の大阪市と同水準の行政サービスを提供するという観点からすれば、同様の集約率や分散率を用いて職員数を算定する方がしごく当然のように思われますけれども、そういう検証も行っていないというのは、職員数を抑制したいがために結論ありきの算定を行ったと思わざるを得ません。サービス水準を維持すると(特別区)素案で約束する以上、特別区が行うとされるすべての行政サービスを実施することを前提に、部門別の事務分担及び業務量を積算の上、部門別の組織体制や人員配置について、例えば、先ほどの集約率や分散率を用いた検証なども含めて様々な多角的な方向から検証するべきではないかと考えます。そのような検証もなく市民サービスを維持できるとは言えないと思っておりますがいかがですか。
世古口課長 特別区の職員数の算定にあたりましては、特別区の担う権限が中核市並みを基本とすることから、大都市圏にあり人口規模や人口密度が高い近隣中核市を参考に、自治体の職員総数と人口との間の高い相関関係を前提として、中核市モデル職員数を算定しこれをベースに生活保護などの本市の特性を踏まえた要素や、児童相談所などの近隣中核市では実施していない事務を加味したものでございます。こうして算定された特別区の合計職員数は本市の現員数を上回るものとなり、また特別区の職員総数を本市の組織別現員数の構成割合で按分して配分することで、本市の特性を反映したものとなっていることから、現在の本市のサービス、事務を維持できると組織体制であると考えております。
川嶋市議 サービス水準を維持できる組織体制であると考えているとおっしゃられるんですけれども、単なる机上での職員体制、職員数の総計であって具体に検証されたものではありません。特別区になって住民サービスの維持が可能かどうか示したものではないということを指摘させていただきます。次に財源についてお伺いします。(特別区)素案で示された特別区と大阪府の所要一般財源には、特別区を設置するためのもろもろのコスト、庁舎建設、システム整備、職員増などが全く考慮されていないことが分かりました。特に特別区設置に伴って職員が現状より上回るとの答弁がありましたけれども、4区案の場合は210人、6区案の場合は800人の採用増が必要とされているんですが、特別区の人員増にかかる経費が所要一般財源額に加味されていない。人件費は経常的な経費で必ず発生します。特別区の財政に大きな負担を及ぼすものです。それにもかかわらず、特別区の所要一般財源には組み入れず、財政調整基金で賄うことを前提とするような制度設計になっており、極めて問題があると指摘をせざるを得ません。財政調整基金は本来、不況による税収減であったり、突発的な財務リスク等のために積み立てられているものであります。経常的経費を補うためのものではありません。特別区設置コストのために基金を減少させるのは特別区の財政を棄損することになるのではないでしょうか。大阪市が現在行っている敬老パス、幼児教育費の無償化、子供医療費助成、などの独自サービスは特別区になっても維持するとされておりますけれども、特別区の財源確保が十分されていない制度設計の中で、こうした独自サービスが継続される制度的な担保は何なのか、また特別区設置後も維持されるかのような答弁をされておりますが、裏を返せばいつまで継続するということを保証しているのかお伺いします。
副首都推進局 楠見雅信課長(財政調整担当) 財政シミュレーションでは平成29年2月に公表された大阪市の「粗い試算」に反映されていない改革効果額、組織体制の影響額、特別区設置に伴うコストを加味してお示ししたところでございます。現行のサービス水準を前提とした市の粗い試算をベースに財政シミュレーションを試算した結果、6区案のケース1を除きまして財政調整基金などの財源活用可能額の範囲内で対応可能となっております。なお、特別区素案におけます制度設計では大阪市が現在実施しております住民サービスを適切に提供できますよう財源を確保する仕組みとしております。特別区設置後どのように住民サービスを実施していくかにつきましては、新たな特別区長、区議会の下で判断されることになりますが、その際には協定書作成にかかる経過を踏まえまして適正に対応されるものと考えております。
川嶋市議 特別区の行政サービスのあり方は特別区長まかせで結局は制度的な担保はないということであります。また、平成38年度時点の大阪市の粗い試算の数値を、平成39年度から平成48年度まで単に横置きしただけのずさんな財政シミュレーションを根拠にサービス水準を維持できるとするのは無責任極まりないと指摘させていただきます。
 次に、現在、府市協調で様々な大規模事業、例えばうめきた、淀川左岸線やなにわ筋線など、その他にも万博、IRの招致に向けた取り組みがされておりますけれども、これらの事業にかかる経費は今後、大きく膨らみ、財政負担に与える影響は大きくなります。それにもかかわらず、これらの事業にかかわる費用負担について全く議論がされておりません。大阪市が現在、これらの事業にかかわる負担をしているのは、政令指定都市として広域機能を担う観点から負担しているものであり、特別区になれば基礎自治行政のみを担うことになるのですから、特別区が負担すべき理由は全くありません。特別区になった場合、これらの事業にかかわる財政負担は当然、起債の償還負担も含めて広域事業を担う大阪府が全額負担するものと考えますがいかがでしょうか。
楠見課長 特別区素案では、広域と基礎の役割を徹底することといたしまして、特別区と大阪府それぞれの事務を適切に担えるよう事務分担に応じて財政調整財源を配分することとしております。起債の償還負担につきましては、特別区設置前に発行した大阪市債、いわゆる既発債は大阪府に一元化して承継し、特別区72%、大阪府28%の負担割合により償還することとし、その償還財源は財政調整により保証することとしております。特別区設置後に発行した地方債は、各特別区長及び府知事のマネジメントの下、財政調整財源及び自主財源で償還することを基本としております。また特別区素案の財政調整制度の設計では、財政調整財源の配分割合は特別区設置の日までの地方財政制度の動向などを踏まえて、必要に応じて知事と市長で調整すること、特別区設置後においては大阪府・特別区協議会で配分割合を毎年度検証し必要に応じて協議することとしております。今後、事業が新たに具体化することなどによって必要が生じた場合は、こうした枠組みの中で調整、協議されるものと考えております。
川嶋市議 今後膨らんでいく広域事業の負担について、広域事業を担う大阪府が全額を負担するという回答は得られませんでした。結局、財政調整財源の中で負担するとなると、今後膨らんでいく大規模事業に関して負担が増えていけば、実質的には特別区の負担が増えることになります。特別区において住民サービスに配分される財源が現状より少なくなることは容易に考えられます。財政調整財源の配分割合は「必要に応じて知事と市長で調整する」というのは、前回と同様、特別区設置までに知事と市長の調整というブラックボックスの中で特別区の貴重な財源が決まってしまうとのことであります。前回と全く同じ内容であり、何のバージョンアップもされていないということを改めて確認しました。

<共産党>

山中智子大阪市議 前回は、政令市である大阪市を廃止することはこれほどの地方自治の破壊はないし、時代の逆行だという議論をさせていただきました。同時に皆さん方が何とおっしゃろうが広域機能の一元化と広域インフラの整備には因果関係はないとも申し上げさせていただきました。今日は特別区について「そもそも論」から議論させていただきます。この都区制度ですね、東京23区固有の制度として地方自治法にうたわれているわけですけれども、戦後、いくつかの制度改革が行われて今の制度にほぼ固まったのは昭和49年、1974年ということです。この間、特別区の間では自治権拡充運動に始まり、都区制度の廃止論にまで行きつくという一貫した運動が続けられてきました。昭和61年、1986年には世田谷区では世田谷市実現を目指す区民の集いというものが開かれたり、ものすごい署名運動が23区で行われたり、あるいは平成13年に千代田区議会では千代田市を目指す決議が上がったりもするわけです。このように長年にわたって都区制度を廃止して普通の市、いわゆる一般市になりたいという運動が休みなく続けられているわけです。こういう特別区の思いについて副首都推進局はどうお考えでしょうか。
榎下課長 東京におけます都区制度に関する検討ということでございます。例えば平成17年12月16日に、特別区長会から財団法人特別区協議会に対しまして制度改革後の特別区のあり方についての調査研究の依頼がなされたことがございました。この際に平成19年12月に提言書が取りまとめられておりますけれども、都と区の制度廃止と基礎自治体連合の構想という提言が取りまとめられておりますけれども、その中にも都区制度の改編に関する提言がなされているといったことは存じ上げております。ただ東京における制度の検討ということでございますので、我々事務局といたしましては評価する立場にないと考えております。
山中市議 評価する立場にないということですが、私は関心を持って参考になさるべきだと思います。要するに特別区は財源においても権限においても一般市に満たないというか、一般市に劣るということだと思います。(東京の)特別区はそういう思いを持ち続けている。先ほど少しご答弁で触れられましたけれども、特別区から委嘱を受けた特別区制度調査会が2007年に出された第二次報告がありますけれども、その中でこういうふうに書かれています。東京大都市地域にも人口減少、高齢社会が到来する時代になって、基礎自治体優先の原則に立って、行財政体系を強化する分権改革をさらに進める必要があるとしたうえで、特別区が名実ともに住民に最も身近な政府となるためには、都と区の制度から離脱すること、そして都が法的に留保している、持ち続けているということですね、市の事務のすべてを特別区改め東京〇〇市が担う必要がある、とこういうふうにされています。申し上げるまでもありませんけれども、特別区は市町村の基幹税目である固定資産税や法人市民税などが都税とされているうえ、基礎自治体としてのすべての事務を処理することのできないまさに半人前の自治体に過ぎないということです。ですから東京〇〇市、普通の市になることは文字通りの一人前の自治体になるということに他ならないと思いますが、いかがでしょうか。
榎下課長 平成12年におけます都区制度改革で法律上、特別区を基礎的な地方公共団体と位置付けられました。ただ人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保を図る観点から、都が一体的に処理する必要があると認められる市町村事務につきましては引き続き都が処理することとされているところでございます。東京における都区協議会におきまして都区のあり方検討委員会が設置され、都と区の間で事務配分でありますとか特別区の区域のあり方等について検討がされていることについては存じ上げております。
山中市議 都と特別区が協議を続けていることを申し上げているのではなくて、特別区の切実な思いについて申し上げているわけです。特別区の側は明確に都区制度の廃止、一般市になって半人前から一人前の自治体になりたいと、こういうことについてです。大阪の制度設計でも中核市並みとかおっしゃいますけれども、財源は大半、府に持って行かれて34%まで減らされるわけですよね。市町村事務である消防も下水も担うことはできません。これも半人前に変わりがないということです。であるのに、なぜ大阪はそんなものをやるんですかと申し上げたいわけですし、(東京の)特別区の中から、特別区の側からもそういう声がたくさん上がっていて、枚挙にいとまがないということです。例えば東京大学名誉教授の大森彌(わたる)氏はこういうふうにおっしゃってます。「私自身は都区を廃止すべきだと言っているわけ。23区は東京都から独立したらどうかと提案しています。東京都制廃止論です。30年かかって少なくとも特別区側はやっとその方向を目指そうとしているのです。それなのに何をお考えになったか知らないけれども、廃止しようとしたものを大阪はこれから作るとおっしゃっている。これはもう時代錯誤だと思います」。こういうふうに言われています。あるいは、2012年に(大都市地域における)特別区設置法が成立した時に都政新報っていう東京の地域の新聞が、特別区設置法を特別区長がどう見るかという声を特集しているんですけれども、例えば「自治権拡充運動や基礎自治体優先に逆行するのでは」「行政の無駄が生じると思わざるを得ない」「(大阪は)地方交付税をもらいながらどうやって財政運営を行えるのか」というこういう声を紹介した後で、都政新報は「毎年、財政調整の交渉をする中で、なぜ敢えて特別区を目指すのか不思議で仕方がないのだろう」とまとめているわけです。特別区のことを日本中で一番良くご存じの特別区長の皆さんのこれが声だということです。それでも東京はまだ財源が豊かで、地方交付税の不交付団体です。ところが大阪はここずっと交付団体。(大阪市を廃止して)特別区(になって)も当然ながら全体としては交付団体です。ところがここで奇怪なのは、特別区については臨時財政対策債の起債は可能だが、肝心の地方交付税は入らない。特別区の分まで府に入る仕組みになっているということで、こんなおかしな話はないと思います。だいたい臨時財政対策債というものは、地方交付税の不足分を地方(自治体)が起債して、その元利償還は交付税措置されるというものですよね。地方交付税の一環じゃないですか。しかし、地方(自治体)の借金であることに変わりはないというもともとおかしな制度なわけですけども、それを、こちらはいいけどあちらはだめという制度はつまるところ制度的な欠陥というべきではないでしょうか。
楠見課長 今回の制度設計において、市町村算定分の臨時財政対策債につきましては他の市町村と同様、特別区が発行することとしており、総務省令におきましても特別区の臨時財政対策債の発行可能額は全特別区の区域を一つの市とみなして市町村分として算定したうえで、その額を総務大臣が特別区ごとに按分して定めることとされております。地方交付税につきましては、都の特例であります合算算定方式が適応されるため特別区における臨時財政対策債の償還財源につきましても府に算定されることになりますが、その全額を特別区財政調整交付金に加算することで、臨時財政対策債の償還にかかる特別区の財源が確保される制度設計としております。こうした特別区素案の制度設計につきまして現在、総務省と協議中でありますが、前回の(特別区設置)協定書策定時も同様の制度設計により総務省と協議を行っておりまして、それを前提としました協定書を総務大臣に報告したところ「特段の意見なし」との回答がなされたところでございます。
山中市議 総務省令は承知していますが、ちゃんと考えたら地方交付税の一環である臨時財政対策債の起債はいいけども地方交付税そのものは特別区に入れないっておかしいんじゃないですか、欠陥じゃないんですかと申し上げているわけです。ともかくこういう欠陥だらけの、そして東京の特別区の中からはもう時代遅れだと言われている都区制度に縛り付けられざるを得ない、(大阪)都構想もこれもまた大きな矛盾だと思います。今回の素案でも東京のような固定資産税などの普通税3税だけはとても財源が足りないということで、地方交付税などを財政調整財源の中に組み込むことになってるわけですが、今の都区制度の下でこれ勝手にはできないですね。地方自治法の中で調整財源としては固定資産税なども特定されているわけでから、当然ですけれども法律を変えなきゃいけないということになると思いますが、そういうことでよろしいですか。
楠見課長 大阪府、大阪市ともに地方交付税の交付団体であるという大阪の実情を踏まえた制度設計として、市町村算定分の地方交付税相当額を財政調整財源に加え特別区に配分する仕組みとしております。地方自治法では財政調整交付金の財源を普通税3税に限られていることから、広域自治体が条例で定める額を加算できるよう同法などの関係規程の改正が必要だということは特別区素案にお示ししているところであり、現在、当該改正について総務省と協議をしておるところでございます。
山中市議 そうですね、地方自治法や関係条文を変えたうえに、具体的な加算について定めるために府の条例も作る必要があるということです。こういうこと自体、繰り返しになりますけれども制度的欠陥だし、時代遅れの制度だと言わざるを得ないと思います。そのうえ今回の6区だ、4区だという(特別区の)制度設計案を見ますと、ともかく職員増にシステムや庁舎などのイニシャルコスト、ランニングコスト等、莫大な費用がかかります。それに組織体制の整備関連だとかシステム改修関連だとか、庁舎整備は3年から7年を要すると。これとてね、この通りにいかない可能性が高いと思います。まさに気の遠くなるような話です。そのうえ、事務の引継ぎ、財産、債務の継承などの膨大な事務作業が伴いますし、また市民の皆さんにとっても住所変更などの負担もあります。これほど市民にとっても職員にとっても壮大な無駄はないのではないかと言わざるを得ないと思うんですけれどもいかがでしょうか。
榎下課長 大都市制度改革の必要性に関するご質問でございます。大阪が東西2極の1局として日本の成長エンジンの役割を果たす副首都大阪を目指しており、経済の低落傾向や人口減少社会への対応など大阪が抱える課題の解決には、都市機能の充実とそれを支える制度が必要となりますが、現状のままで取り組むには限界があると考えております。制度面の取り組みとして、都市機能の整備を強力に進められる広域機能の強化と地域ニーズに沿った身近なサービスを提供できる基礎自治機能の充実に向けて、現行法制度の下で実現可能な総合区、特別区の両制度について検討を進めており、特別区についても素案を取りまとめたところでございます。制度改革によって大阪がさらに成長し、豊かで強い大阪を実現するという大きな効果のためには一定のコストも必要であることについて、これまで知事、大阪市長が考え方としてお示ししてきたところでありまして、大都市制度改革の必要性を今後も十分説明していきたいと考えております。
山中市議 東西2極の1局とか副首都とか耳にタコですけども、市民の皆さん一番ご理解いただけないのはそこだと思うんですね。こんな制度いじりで豊かで強い大阪が実現できるはずがないと申し上げておきたいと思います。今、「一定のコストが必要」とおっしゃいましたが、そんな一定なんていうような半端なコストじゃないです。何百億という話です。こうして税金も時間も人的エネルギーも使って大騒ぎをしてできる特別区たるや、住民サービスは悪くなりこそすれ良くなることはあり得ないと思います。特に6区案は、財政シミュレーションで見せていただきますと、平成34年度から平成43年度の10年間、C案でいけば年平均53億円収支不足。D案では年平均59億円もの収支不足が生じるということになってます。赤字続きだと。4区案はどうかと言えば、A案の第1区は人口が85万人ということで、政令市のいわゆる50万人よりはるかに大きい。第3区にしても70万9000人、20の政令市の中で一番少ない静岡市の69万9000人よりも1万人多いわけで、あなたたちのおっしゃるニアイズベター、数にこだわるニアイズベターを標榜するには説得力がないと思います。そのうえ、145もの事務を一部事務組合に頼らざるを得ない。どこから考えても特別区への分割は道理がないと言わざるを得ないと思いますがいかがでしょうか。
榎下課長 人口270万の大阪市では市長自らが住民ニーズを把握するなどのきめ細かい対応には限界がございます。特別区制度では現在の大阪市よりも人口規模が小さい基礎自治体が設置され、選挙で選ばれた区長及び区議会の下、より地域の実情や住民ニーズにあった施策を展開することが可能となり、より住民に身近な単位で行政サービスが最適化されると考えております。一部事務組合につきましては、特別区素案において住民に身近な事務を特別区が幅広く担い、原則として各区で事務を実施することとしておりますが、専門性や公平性、効率性の確保が特に必要な一部の事務に限って共同で実施することとしております。こうした点をはじめ特別区素案では、住民に身近な基礎自治の充実、広域機能の一元化、二重行政の解消による都市機能の強化、こういったものを目指した制度案をお示ししているところでございます。
山中市議 いくら区長を公選制にしても、ずっと赤字が続くようなことでどうして住民ニーズに応えられるんですか。サービスの最適化とおっしゃいましたけど、まさに最適化という名前のサービスの切り捨てがオチだというふうに申し上げたいと思います。戦後、市町村合併は数多あります。けれども分割は皆無です。それほどとんでもない途方もないことだということです。とにかく都構想という言葉で言おうが、大阪市廃止、特別区への分割は百害あって一利なしだと申し上げて質疑を終わらせていただきます。