2018年9月18日 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会で、大阪都構想の経済効果「1兆円」の嘉悦学園報告書に批判集中

 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会が9月18日開かれ、大阪市が学校法人嘉悦学園に業務委託した「大都市制度の経済効果」について質問が集中。報告書では、大阪市を廃止して四つの特別区に分割する「大阪都構想」は10年間で最大1兆円を超える「効果」があるとされており、野党議員からは「ありえない仮定を設定して効果額を膨らませた無茶苦茶な分析」と厳しい批判が相次ぎました。大阪都構想について協議する法定協議会で「大阪維新の会」の市議から経済効果算出の提案があり民間業者に委託したという経緯ですが、現実とかけ離れた内容に「法定協議会にすべきでない」との意見も多く出ました。以下、議論の内容を抜粋で掲載します。

<自民党>
前田和彦議員 経済効果ってそもそも、仮定の置き方とか前提の置き方が本当に正しいかあるいは間違っているかによって、全く異なる数字が出てくるんです。だから、仮定、前提が正しいか、行政としてきっちりチェックをしなければならないのは当然です。今回、1000万円使って事業を委託して、これが最終的に報告書として出てきてるんですけれども、仕様書、契約書に基づいて行政はチェックしないといけません。局(行政)としてはどんな観点から報告書の履行確認をやっているのか、仮定の置き方とか内容について、論理的な矛盾があったりとか、前提がおかしくないか、検査しているのかお伺いします。
副首都推進局 橋本志津子課長(企画担当) 報告書につきましては、副首都推進局において仕様書に沿って履行されているか検等を行い、内容を確認したうえで引き渡しを受けたものです。算定は事業者の専門性に基づき、学術的なアプローチとしてオーソドックスな手法で実施されていると考えております。
前田議員 仮定の置き方や内容に論理的矛盾について確認したか、どうか全く回答がないんですけども。仕様書には「仮定の置き方などにおいて論理的に説明できるよう十分検討する」ってことが書かれてあります。仮定とか前提とか論理的矛盾がないかちゃんとチェックしてますか?
副首都推進局 阪田洋部長(副首都企画推進担当) 仮定の置き方や具体的な効果額算出手順につきまして、仕様書に沿った合理的なものであることを確認し、できるだけ報告書が分かりやすいようにしたところです。そのうえで今回の調査は、事業者の専門性を活用するという趣旨ですので学術的な判断につきましては合理性を確認のうえ、事業者の専門的知見に基づくとしたところでございます。
前田議員 ちゃんとチェックをしたということでいいですね? いくつか確認をさせていただきたいんですけれども、今回の報告書は全般的に一つ前提が置かれています。東京と大阪を比べて、大阪は東京に比べて遅れを取っている。遅れを取っているこの差は、いわゆる制度の差、つまり大阪都構想になるかどうか、その差なんだというのが大きな前提としてこの報告書にあります。その報告書の大前提が本当にそうなのかということが、私が見る限りこの報告書には記載されていない。つまり、経済効果を出すにしても、いろんな要素があると思います。例えば東京と大阪の差は当然、東京が首都であるということも違うでしょう。だけれども、組織とか大都市制度の枠組みが違うだけで東京に追い着くのかどうか。そこの原因、要因は本来、報告書では分析が必要だと思います。もともとの前提が合っているのかどうか分からなければ、この報告書の数字が成り立たなくなります。確認しますけれども、報告書の3ページには「1人当たりのGRP(県内総生産)は東京を100とした場合、1970年代後半の大阪はすでに70弱であった。直近の2015年の大阪は東京の半分、50強になっている。この格差を作り出した要素としては、民間投資及びその蓄積の差も指摘できる」と書いています。これら東京に遅れを取った要因についてまず、報告書でどのように分析されているか確認します。
副首都推進局 橋本課長 報告書の同じ3ページでは「1人当たりGRPの格差を作り出した要素として、大阪と東京の社会資本の蓄積や民間固定資本形成の水準の差異を示したうえで、東京では1960年代から特別区域を越えた鉄道ネットワークの整備などの社会資本の蓄積を官官連携及び官民連携を通じて実現し、それが民間投資の呼び込みに一定の効果を果たし、経済力の拡大を実現してきたと考えられる。これに対して大阪は1960年代はもとより、その後の府市の連携不足に代表される官官連携・官民連携不足の傾向が続き、大阪市内を中心とする地下鉄網の整備などは前進したものの、社会資本整備が東京に比べ遅れてきた面があることは否定しがたいところである」と分析されております。
前田議員 簡単に言うと社会資本整備の遅れは、官官連携や官民連携、これが大阪は不足してるんだと、だから遅れたんだと記載されています。その前提がそもそも合っているのか報告書では分析されていないんです。書いてないんです。この前提の是非、根拠が示されていないと判断できないわけですけれども、報告書ってそこを分析したうえで経済効果を試算するのが通常ではないのですか。もう一度、聞きます。具体的に分析された記載はありますか?
副首都推進局 橋本課長 報告書の3ページには具体的な記述はありませんが、具体的な効果分析の章の61ページでは「東京は広域事務(都)と基礎自治事務(市町村、特別区)が仕分けられている。鉄道や都市高速道路など広域に資する社会資本整備については、都が一元的に実施し、生活道路など地域生活に密着した社会資本整備については、基礎自治体がその必要性を判断しながら実施することができている。一方これまでの大阪では、広域的な社会資本整備を大阪府と大阪市がそれぞれ実施してきたがゆえに、効果的に行われていない可能性がある。また、地域に密着した社会資本整備に関しては、大阪市が基礎自治体として大きすぎるがゆえに、効果的に行われていない可能性がある」と記載されております。
前田議員 だから「効果的に行われていない」というふうに言う理由が分析されてますかと聞いてるんです。ようは書いてないんです。つまり社会資本の整備が官官連携、官民連携の不足が原因だと位置づけてるんですけど、それが本当にそうなのか、あるいは別の理由がもっとあるんじゃないかってことが全く分析されてないんですよ。普通に考えてみてください。例えばこの大阪が仮に大阪都構想になった場合、いきなり都市の集積が始まりますか? 始まるわけないじゃないですか。東京がこれまで経済が発展した大きな要因の一つとして例えば首都であることが大きいでしょう、政治の中枢であってそこに企業も集まって来る、都市の集積が生まれてくる、その要因はゼロでは絶対ないはずなんです。都市の制度の枠組みを変えれば東京と同じなるっていうこの前提がそもそもおかしいんじゃないか。(若干省略)
 よくよく考えてみたら大阪市の方も副首都ビジョンを作ってるじゃないですか。副首都を目指すんだって言ってるじゃないですか。副首都を目指そうという背景には、私、副首都ビジョンを読みましたけれども、東京が首都であることによって一極集中が生じたと、その是正が必要なんだと、大阪として副首都と位置付けて国の機関の拠点の移転、東京に民間投資が集中したと、こういうことを踏まえて大阪市も副首都を目指すって言ってるんでしょ。つまり、これって首都であることによって(東京の発展に)寄与した度合いがあることを前提に大阪市考えてるじゃないですか。だけどこの報告書を見ると、そうじゃない立場に立ってこの報告書が作られてるんです。非常におかしいなと思います。報告書では東京都の社会資本整備の蓄積について、東京都が首都であることがどの程度寄与されているか記載してますかね? もう一つ、東京と大阪の社会資本整備の差について、官官連携、官民連携不足の要因がどの程度の割合で負の影響を与えたかについて記載されていますか?
副首都推進局 橋本課長 具体的な割合への言及はございませんが、先ほどもお答えしましたようにマクロ計量経済モデルによる経済効果の61ページで、都区制度の東京と比較して「これまでの大阪では広域的な社会資本整備を大阪府と大阪市それぞれが実施してきたがゆえに、効果的に行われていない可能性がある。また地域に密着した社会資本整備に関しては、大阪市が基礎自治体として大きすぎるがゆえに効果的に行われていない可能性がある」との基本認識を示したうえで、以降の具体的な限界生産力の設定に関する69ページでは「東京は首都機能を有していることから限界生産力が高いとも考えられる」としてその効果を一定考慮したケースも設定するなど複数のパターンでの分析がなされております。
前田議員 ちなみに言っておきますけれども、マクロ計量経済分析の中でMax1兆数千億円って出てるじゃないですか、これって私がさきほど申し上げた東京が首都であることは全く考慮されていない数字です。しかも都市の制度が改革された効果がすべてだという前提に立って初めて1兆円が効果として示されてるんです。無茶苦茶なんですよ、正直。そんな前提がこの報告書に記載されてあるわけですけれども、本当にチェックしたかと言いたいです。東京が首都であることの要因は報告書には分析されてないんです。そもそもこれ、いいのかなと思うんです。一応、特別区素案に基づいて経済効果を出せってふうになってるわけですよね? これ素案に基づいていますか? 仕様書でちゃんとチェックしていますか? 改めて確認しますけれども、副首都推進局として一番重要な前提の部分、事業者に原因分析を行わせてますか? 確認していますか?
副首都推進局 阪田部長 繰り返しになりますけれども、具体的な記述はないんですけども、マクロ計量経済モデルの経済効果の61ページで都区制度の東京と比較してこれまでの大阪では広域的な社会資本整備を大阪府と大阪市がそれぞれ実施したゆえに効果的に行われていなかった可能性があるとか、69ページで首都機能を有していることから限界生産力が高いとも考えられるとしてその効果を一定考慮した複数パターンでの分析がなされているということです。
前田議員 全然回答になってないです。これ、分析されてないんです。だから、いわゆる大阪都構想になった場合の経済効果が、全体の経済効果の中のどの程度寄与するかが書かれていないので、つまり東京が首都であることを除いた額、今、1兆円って出てますけどね、少なくともこの額についてはそれが考慮されてないんです。何パターンもあるとおっしゃいましたけど、何パターンもあるうちのMaxがそれを考慮していないパターンです。こんな状態では法定協議会で議論するほどの資料でもないような気がします。もっとこれ、事業者にちゃんと聞いて確認しないといけないんじゃないんですかね。
 具体的に聞いていきたいんですけど、「限界生産力」って数字を使ってマクロ計量経済モデルを分析されてるんです。限界生産力って何かというと、生産量を1単位投入すれば生産量がどれだけ増えるか。分かりやすく言うと、労働者を1人追加的に雇った時に生産物が追加的にどれだけ増えるか、そういうことを示しているものですけども、東京については限界生産力って0.4という数字を出しています。大阪は現状0.2だと説明されています。この0.4と0.2のこの差が、なぜか分かりませんけれども、大阪は特別区設置の広域行政の一元化(大阪市の廃止・分割)で0.4が一気に実現できると書かれてあります。その前提でマクロ計量経済分析では、1兆506億円の経済効果が算出されると書いてあるんです。この前提、滅茶苦茶な気がするんですね。大阪都構想になると東京の限界生産力0.4がいきなり実現できるとここに書いてあるんです。つまり仮定だったとしても、現実的にこの仮定をそもそも置いちゃっていいのかってことを、行政がちゃんと検証しないといけないと思います。
 さらに言うと、報告書の中のある部分にはこの事業者も「東京都は広域行政が一元化されている一方で、首都機能を有していることから限界生産力が大きいとも考えられる」と書いてあるんです。そんなことを認識しながら、東京が首都機能を有していることを全部捨てて、枠組み変えるだけで100%の寄与度で東京の限界生産力を実現できる仮定を置いて、1兆506億円という数字を出している。報告書の中に論理矛盾が生じているんです。これは、はっきり言ってこの仮定自体が根拠を欠いているとしか思えません。局としてどんな確認をしているのか、局の見解をお伺いします。
副首都推進局 阪田部長 報告書では1997年度から2015年度までの中長期のデータから、民間資本、社会資本、労働力からなる生産関数をもとに、大阪と東京における限界生産力を実証的に推計しております。そのうえで大都市制度による効率的な社会資本整備、質の向上により広域行政の一元化がなされている東京都との限界生産力の差が解消されることによって期待される効果額を算出しております。今回の経済効果算出の前提や仮定の設定については、受託者の専門的知見に基づき大阪と東京の比較から一定の根拠を持って行われています。財政効率化による追加的な公的資本形成、社会資本整備の限界生産力の設置については、複数のケースで幅を持って設定されており、今回の設定が合理性を欠くといったものではないと理解しております。
前田議員 現実的には考え難い論理的矛盾が生じているとしか思えないんですけど。首都でない大阪が広域行政の一元化を実現するだけで、首都である東京と同じ限界生産力が得られるって前提でさきほど申し上げた数字が設定されてるんですけど、これあり得るんですか? 局長、見解をお伺いしたいと思います。
副首都推進局 手向健二局長 まず、制度を変えるだけで東京に追い着くのかということですが、やはり大阪においては二重行政の問題があるというのは過去からだいぶ繰り返し言われておりますし、それによって例えば鉄道でありますとか、阪神高速道路の環状道路の整備が進まなかった等の指摘が過去にされております。そういう意味では広域の意思決定が東京都と違って一元化できてないことで、社会資本整備が有効に決定できていなかったんではないかという問題意識は一定、地方財政、経済分野の専門家であれば、そういう状況をとらえて東京都に比べて社会資本整備がGRPに及ぼす影響について東京都ほどの数値、0.4と0.2という差をもたらした要因の一つにはなっているんじゃないかという問題意識があったということは極めて自然なことであると思います。
 それと、その差を埋める場合につきまして、何もその、追加的公共投資の部分を必ず東京並みの0.4に引き上げるということではなしに、そこは幅を持って0.3~0.4、現状大阪は0.2ですけども、広域行政を一元化することで社会資本整備を今以上に有効に意思決定できることによって、限界生産力を引き上げる可能性があるということを報告書では提起されていると思います。その幅が0.3がいいのか、0.4がいいのかという問題はありますけれども、今回の報告書では幅を持って示されたということで、事業者の知見を持って報告された内容であると理解しています。
前田議員 要はね、その0.4って100%なんですよ。先ほど局長、要因の一つだっておっしゃいましたね。要因の一つだったら100%なんて取り得ないんです。要因がこれだけなんですって言ったら、0.4の限界生産力は仮定として置けるかもしれません。だけど、局長、要因の一つっておっしゃいましたよね。他にも要因があるわけです。他にも要因があるのに、他に要因がないことを前提に0.4という仮定を置いていること自体、論理的におかしいんです。別に複数のパターンあっても全然問題ありません。でもその複数のパターンの中に現実的に無理な仮定を置いたら、おかしな数字が出て来るじゃないですか。0.3だっていいんですよ。だけど0.4って100%、その枠組みだけが全てかなと。現実的にそうじゃないし、大阪市もその立場では当然ない。要素の一つなんだということであればこれは無理だと思います。
 今回(報告書の中で)いろんな資料が示されています。資料の中に自由度調整済み決定係数という値がありますけれども、一般的になじみのない言葉だと思います。いわゆる散文図(縦軸、横軸にデータをプロットしたもの)の中で、散文図っていうのはこの点々(が散らばっている)の中から一定の信頼性を見出して推定式を導き出してくるんですが、その信頼度を表す係数が自由度調整済み決定係数です。一般的にどれぐらいの値を指すと言われているのかお答えいただけますか。
副首都推進局 橋本課長 自由度調整済み決定係数は普遍的に使われている当てはまりの尺度である決定係数を自由度修正したもので、決定係数については一般論として、1に近いほど推定回帰式が標本データに当てはまっており、0に近いほど当てはまっていないとされています。
前田議員 回答によれば、1に近いほど当てはまってて、0に近いほど当てはまっていないということです。今回、財政効率化効果を出す時に、病院あるいは大学の統合によって効率効果が生まれるという根拠になっているデータがまさにこれなんです。この散文図なんです(報告書26ページ、29ページ)。この散文図、何か相関関係が見えます? どんな感じの推定式になるか分かりますか?
副首都推進局 阪田部長 なかなか、その、ですね……形から関係性は難しいですけど、まあ幅を持って見る必要はあるんですけど、例えば病床数(報告書26ページの散文図)ですね、対象病床数(対数病床数?)が増えれば増えるほどですね、1病床あたりの月額の人件費の上限は下がっていると、それから、ばらつきが結構あるんですけども……(若干省略)。決定係数は小さくなっているわけですけど、人件費が抑制される可能性は示唆されてるんではないかと認識しています。
前田議員 この(報告書の)病院統合のところで、自由度調整済み決定係数というのがあるんです(報告書27ページ)。相関関係から導く推定式が本当に信頼度があるかどうかを示してるんですけども、Maxは1です。0に近いほど信頼度がないんです。これ見ますとね、adjR^2って書いてあるんですけど、0.017しか信頼度がないんです。大学統合では(報告書30ページ)0.012と0.055。つまり相関関係がほとんど見られないようなそういうものを根拠に効率化効果を出してるんですね。僕はこの係数自体が分からなかったんで、大学の教授に聞いてみました。そしたら「だいたいうちの大学は0.6以下だったら使えません」って言ってました。0.0いくらってのはまず根拠としてあり得ないんだとおっしゃってました。(報告書は)それを根拠に財政効率化効果を出してんですけど、あり得るんですか? 本当に法定協議会で議論するような資料なんですか? そこが私は全く理解ができないです。
 次の質問に移らせていただきます。マクロ計量経済効果の分析と財政効率化効果の分析をやってるんですけど、マクロ計量経済の方で(経済効果が)1兆円出て、同じく財政効率化効果の方でも1兆円出ている。それぞれ二つが1兆円出ているんですけど、もう一つの方(財政効率化効果)もね、これこんな仮定が置けますかって仮定を置いているんです。毎年、毎年、1000億円を財政から削減して、そこから500億円を導き出して投資をして生み出そうっていうのが書かれているんです。そもそも1000億円削減することって実現可能なのかお伺いしたい。例えば生活保護受給って大都市制度うんぬんかんぬんによって、額は変わらないです。公債費も変わりません。人件費は3000億円ぐらいあるんですけれども、良く考えてみたら特別区素案に書いてます通り(大阪市が廃止されて特別区になれば)公務員は330人増えるんです。増員が必要なんだから、特別区素案の中では人件費の削減は現実的に困難だと書いています。特別区の行政施策経費っては2840億円ありますが、これは(大阪都構想が実現した場合の)庁舎の建設とかシステム構築費とか入ってるんですけども、そもそも特別区素案では4区B案では初期投資がさらに560億円増えるし、運営費は毎年、毎年40億円必要と書いてありますから、削減は特別区素案ベースでいくと現実的には困難です。大阪市の独自の事業、例えば敬老パス75億円、幼児教育無償化57億円、こども医療費助成制度90億円、塾代助成26億円。これ全部止めるとするじゃないですか、それでも230億円が限界なんです。もし削減してしまったら行政サービス維持ができないわけですから、その立場が取れないわけです。つまり1000億円って現実的に取り得ない数字が入ってるんです。それで(経済効果は)1兆円って言ってるんです。10年間続くんで1兆円だと。ちょっと待ってくれと。その前提は誰かチェックしたのかってことです。これ物理的に可能なんですか?
副首都推進局 阪田部長 報告書ではそういう項目を上げて分析しているわけではございません。先行研究をベースとして最適基礎自治体を導く関数を用いてオーソドックスな手法で算定しています。制度導入によって理論的に生み出される可能性のある数字が示されたというふうに認識しております。いつからいつの10年というものではなく、制度移行後、一定の期間が経過すれば選挙で選ばれた首長、議員の下でそれぞれの地域の実情に応じたサービスを提供する観点から生み出される可能性がある数字が、学術的にオーソドックスなアプローチで示されているということです。
前田議員 学術的にオーソドックス? オーソドックスなのはいいですけど、現実的に不可能なものが載っていれば事業者に対して「これ大丈夫か」って聞かないといけないし、それが検証者としての唯一の役割でしょう。でもその部局がそんなこと言っているようじゃ、この報告書の前提とか内容が理論的に矛盾していないかとか、「この報告書をちゃんとチェックしてますか」って聞いたのはそのためなんですよ。これだけおかしなことが出てきてますけども、事業者にヒアリングしてますかって。でもさっきの回答です。この報告書、本当にマズイんじゃないかと思っています。根拠がない、前提がおかしい、論理的に矛盾しているものがこの報告書じゃないのか。だからこそ、これを市民の方に示していくのかどうか、きっちり議論していかなくてはならないし、再検討が必要だと思います。

福田武洋議員 この嘉悦学園の報告書はそもそも特別区素案との整合性が取られているのか、法定協議会の議論になりうるのかというところで質疑をさせていただきます。仕様書では「特別区素案、総合区素案をもとに制度導入による大阪の経済効果を定量的に推計、整理する」となっております。嘉悦学園が制度を正確に理解したうえで報告書を提出しているのか全く疑わしいと思います。
 まず総合区についてですが、総合区は特別職である総合区長の権限を拡充するなどして、住民に一番身近な区役所単位でさまざまな事業を決定して推進していけるように、権限を下ろしていくという都市内分権の話であります。総合区素案では今の24区を8区に合区して総合区に移行することになっていますが、それぞれに地域自治区を設置をして合区をしてもこれまで同様の窓口サービスを提供しようということが書かれてあります。そのためには現在と同規模の職員数が必要とされています。そのような中でいったいどこに「財政効率化効果」や経済活性化をもたらす要素があるのか。総合区の導入によってどのような効果の発現があるのか具体的に示していただきたいと思います。
副首都推進局 橋本課長 総合区の財政効率化効果では具体的な削減手法ではなく、先行研究をベースに行政区のデータより総合区における1人当たりの歳出額の理論値と実績値との差額を効果額として推計したものです。制度移行後、一定の期間が経過すれば生み出される可能性のある数字が学術的にオーソドックスなアプローチにより示されたと考えております。
福田議員 嘉悦学園がどのように算定したかという算定の仕方を確認しているんじゃないんです。なぜその算定方法を採用することとしたのかを聞いています。(24行政区を8区に合区して)総合区になってもこれまでと同様の窓口サービスをしますよという中で、具体的にこの財政効率化効果というのがどのように発現するのか、具体的にお答えいただけますか。
副首都推進局 橋本課長 検査においては、仮定の置き方や具体的な効果額算出の計算手順等については仕様書に沿った合理的なものであることを確認し、できるだけ報告書が分かりやすくなるように修正させてきたところであります。そのうえで今回の調査は、事業者の専門性を活用する趣旨であるため学術的判断についてはその合理性を確認のうえ、事業者の専門的知見に基づくこととしたところでございます。
福田議員 さっきからそういう答弁が続くんですけど、総合区になれば制度導入によってどのような効果が発現するかは、市民にとっては大きな影響を及ぼす事項であります。ですから我々は、根拠のない数字が出される恐れがありますのでこの調査には反対しました。嘉悦学園の理論をどのように考えるのか、局として責任を持って答えていただきたい。今のお答えでは、局自らが市民にきっちり説明しなければならないという責任感が感じられません。続いてお聞きしますが、報告書で示された総合区の制度導入に伴う財政効率化効果、この算定の仕方でいきますと、今の24行政区を八つの行政区に合区した場合も同様に効果が生じるのではないですか? 報告書は「総合区の制度導入による効果」ですが、行政区を合区した場合に生じる効果とどのような違いがあるものとして効果算定をされているのか答えていただけますか。
副首都推進局 橋本課長 行政区における財政効率化効果の算出については今回の委託の範疇には含まれておりません。
福田議員 結局ね、嘉悦学園の理論では八つの総合区に合区した場合と、行政区を八つに合区した場合と全く同じ効果額になるはずなんです。しかも総合区素案では8区に合区するけれども(今の24行政区に)地域自治区を設置して同様の窓口サービスを提供するとされておりますので、嘉悦学園の理論による財政効率化効果額は実際にはそんなに簡単には生まれないはずなんです。つまり報告書で示された総合区の財政効率化効果は、制度導入に伴う効果額ではないということです。なおかつ実現可能性の根拠もないと申し上げておきます。
 次に調査結果報告書では「特別区」にした場合、毎年1000億円もの財政効率化効果があると示されております。市長が「実現可能な数字だと思う」と発言されたことに対して、どのように発現するのか具体的に示すよう指摘したところ、「選挙で選ばれた特別区長が生み出せるかもしれない数字である」ということがありました。特別区設置に伴う行政コストがかかる中で住民サービスの水準は維持するとされているにもかかわらず、「歳出削減が見込める」という調査報告は全く信頼できないと思います。特別区素案で300人増える職員体制や庁舎整備、システム構築に伴うランニングコストが示されておりますが、特別区素案に基づいて経済効果を算定するというのであれば、せめて特別区素案で示されているコストの増額分を減じて算定するように局として事業者に指導は行わなかったんですか?
副首都推進局 橋本課長 今回の報告書では特別区素案をもとに政策効果分析として基礎自治行政の財政効率化効果など3分野の試算や、マクロ計量経済モデルによる経済効果を試算しており、法定協議会等での議論に資するよう特別区設置による経済効果を算出するという業務目的は果たしていると考えております。なお制度導入コストにつきましては、既に特別区素案、総合区素案において提示しております。
福田議員 そういう答えをされるんでね、経済学的手法の種類を聞いているんじゃないんですね。なぜ財政効率化効果額、この行政コストの増額分を減じて算定しなかったのか、嘉悦学園にコストを減じるよう指導しなかったのかと聞いてるんです。特別区の設置には膨大なコストを要することが大きな問題であります。嘉悦学園に指導をしたのか、しなかったのか、答えていただきたいと思います。しなかったのであれば、なぜしなかったのか説明してください。さまざまな経済手法を用いているから業務目的を果たしているというのは何の理屈にもなっていない、あまりにも不誠実な答弁であると思います。
副首都推進局 手向局長 繰り返し答弁してますように、もともと行政で特別区設置の効果あるいは総合区設置の効果を数的に積み上げることができないという中で、法定協議会での議論でプロフェッショナル、専門的知見を有する事業者に外部発注して数字を出していただくということでスタートした調査でございます。特別区素案と総合区素案を題材としておりますけれども、事業者から企画提案があった内容は、統計データを利用して全国の市町村データの中から大阪を特別区、総合区にした場合に生じる数字を示すという方向性が示されてそういうやり方が選定委員会の方でも採択されたという経緯です。やり方については基本的に事業者のノウハウに委ねて提案していただいたものだと考えておりまして、素案の内容の(福田議員の)ご指摘にあった部分でありますとか、細部にわたってそこを具体的に反映するようにといった指示は行っておりません。
福田議員 素案に基づいてやるというのであれば、かかるコストを減じてやらないと数字が1人歩きする懸念があります。そもそも総合区、特別区の素案は財政効率化効果額が示されておりません。府市が調査依頼した報告書には総合区で最大70億円(1年間)、特別区では約1000億円(同)の財政効率化効果額が生み出されるとあります。しかし、素案において示された職員体制が300人増えること、庁舎整備やシステム構築のランニングにかかるコスト、つまり制度導入に伴ってかかる行政運営コストが全く無視されております。同じ府市から発信された資料として整合性が取られていない。市民にとっては非常に分かりづらく、何が本当なのかさっぱり分からない状態になってしまっています。要は、経済効果の算定にマイナスに働く要素は素案に記載されていても無視する一方で、経済効果を有利に働かせる要素については素案に記載がないにもかかわらず算定の前提とするなど、恣意的な操作が行われていると指摘せざるをえません。仕様書にうたわれているような特別区素案をもとに作成された報告書ではありません。つまり報告書で示された特別区の財政効率化効果額は、特別区設置に伴うコスト増による歳出の増加を見込まず、歳出削減のみを算定したでたらめな数値であり、それも特別区を設置するから発現するような制度導入に伴う効果額ではないということ、かつ実現可能性の根拠もないと重ねて申し上げておきます。
 次に、二重行政解消による財政効率化効果として大学と病院に限定して算出がなされております。総合区制度と特別区制度では広域機能が一元化されていない場合、理論上求める削減可能額が必ずしも実現可能とは考えにくいとして、知事と市長の方向性が一致している期間と一致していなかった期間に分けるという嘉悦学園の勝手な考え方で、協議事項を峻別の上、実現可能性の比率を算定しています。それによりますと、特別区の実現可能性率が100%、総合区で首長不一致の場合が10.2%、一致の場合が57.7%(報告書35ページ)。先に求めた大学と病院の財政効率化効果額に乗じて特別区と総合区の効果額に差をつけたものであります。この二重行政解消による財政効率化効果額ついては、取得できるデータに制約があるという理由で病院と大学に限定してしまった提案、用いてきた係数も全く信ぴょう性がありませんでした、市民サービスのあり方を無視して効率性だけを論じている点など多くの問題があることを指摘されました。しかしながらとりわけ、知事と市長の方向性が一致さえすれば、というだけで、実現可能性を論じている点は全く理解することができません。このような稚拙な理論に対し行政が1000万円もの税金を使って、かつ十分な検証もなく公表したことに大変驚いています。事業が実現できるかどうかというのは、国の認可、議会の同意、インフラ整備を担う事業者の動向、地元自治体の財政状況、住民との合意形成など様々な要因が絡み合って決まってくるものです。ところが報告書では首長の意向の一致だけで実現可能という考え方に立って、首長の方向性の一致、不一致の期間の実現可能性の率を算定していますが、局としてこのような短絡的な理論をどう評価していますか。
副首都推進局 橋本課長 今回の調査では府市の協議による総合区と、広域機能が一元化された特別区というそれぞれの制度での行政組織としての意思決定に着目した分析が行われているものと考えております。行政組織間の協議合意の成否に絞って公表されている大阪戦略調整会議の資料から実証的に効果額を算定されたものと考えております。
福田議員 嘉悦学園が効果額を導いた算定方法に対する局としての評価を聞いているんです。局として妥当と考えているんですか? そうであれば、事業が実現に至るプロセスを全く理解していない、もしくは住民の意志を軽視しているとしか考えられません。仮に特別区となれば広域一元化したとしても地元の特別区民、特別区長、特別区議会との合意形成が必要な事業もあり、場合によっては今よりも合意形成に時間がかかる可能性もあると思います。もしそのような合意形成が必要でないと言うのであれば、知事の判断だけで強引に意思形成を図ることを想定していることになると思います。局として嘉悦学園に指導しなかったんですか?
副首都推進局 橋本課長 広域機能の一元化で役割分担が整理されたうえでの地元基礎自治体、特別区との協議と、ともに広域機能を担う大阪府と大阪市の協議は、区別して考える必要があり、今回の調査では特別区、総合区それぞれの制度での広域機能を担う行政組織としての意思決定に着目した分析を行ったものと考えております。具体的には府市連携により社会資本整備を進めるためには、まずは府市間の協議が合意に至ることが不可欠でありますが、特別区、総合区と比較として、総合区の場合は現行の協議体制の中で連携を図ることとなり、その協議成立までの迅速性を数値化すべく事業者において公表資料の中から過去の協議実績をもとにして設定をされたものと理解しております。実際の事業推進にあたっては広域機能を一元的に担う大阪府において大阪全体の成長の観点から方針を定めてうえで、基礎自治機能を担う特別区と調整しながら進めていくこととなります。
福田議員 ちょっと、何をおっしゃっているのか分からないんですけど。あまりにも短絡すぎやしませんかってことなんです。特別区になれば地元住民のニーズを汲み取るのは特別区長の仕事ですが、広域一元化された場合の大阪府は住民理解や合意を踏まえずに単独で好き勝手に判断するってことなんですか? (報告書では)特別区は100%の実現率なんですよ。特別区になれば100%事業が実現するとして、効果額を算定しているということなんです。これが妥当であるとするならば、特別区素案に「住民ニーズを汲み取る」と書かれてある部分との整合性が全く取られていない。広域一元化によって特別区民が置き去りにされてしまう将来の姿を示したのと同じであります。
(若干省略)
 特別区で発生する財政効率化効果額を公的固定資本形成に支出することで実質域内総生産が10年間で最大1兆円を超えて生じるという算定でありますけれども、そもそも特別区における公的固定資本形成は主に基礎自治体としての学校や生活道路などの整備であり、民間投資の呼び込みに資するものなんでしょうか?
副首都推進局 阪田部長 公的固定資本形成とは政府や自治体が行う社会資本整備であり、報告書では61ページで生活道路など地域に密着した社会資本整備については基礎的自治体がその必要性を判断しながら実施すると記述されていることから、公的固定資本形成の蓄積がもたらす民間投資の増加については、その内容を特定するといったものではなく、マクロモデルの内生変数として経済資本の統計データをもとにした関数により理論的に導かれております。過去の実績にもとづいて推計されたものと理解しております。
福田議員 よう分からないですね。算定手法を聞いているんじゃないんです。特別区が行う社会資本整備は生活道路や地域生活に密着したものを想定しているようですが、それがどのような民間投資を呼び込むのかっていうのを聞いてるんです。この点は公的資本整備が民間投資を誘発するというマクロ計量経済モデルによる効果額算定のベースであり、結果の妥当性を計るうえで非常に重要なポイントであります。生活道路や地域生活に密着した社会資本整備により10年間で1兆円もの財政効果を生み出せるのかはなはだ疑問であります。事業者(嘉悦学園)の専門性が示されたと認識しているのであれば、局としても具体的にどのような民間投資がなされて、10年間で1兆円もの経済効果が出るのか説明をする責任があるんじゃないですか? 嘉悦学園に確認した内容を答えていただいても、副首都推進局の考えでもいいですから、答えていただけますか?
副首都推進局 阪田部長 えー、副首都推進局におきましては、仕様書に基づき検査を行っています。今回の委託調査は手法も含めて受託者の専門的知見を活用して効果算出を行うという趣旨で実施しており、仮定の置き方、考え方等を含めた調査結果方法についても事業者の専門性に基づく考え方が示されたものと認識しています。
福田議員 結局これも、事業者の専門性ってことで副首都推進局は考えを示せていないんですね。むしろ10年間で1兆円もの経済効果を生み出すような社会資本整備というのは、広域的な鉄道や高速道路などを想定しているんじゃないんですか? 公的資本整備の原資とされる財政効率化効果は、基礎自治体である特別区が生み出す効果であるはずなのに、広域事業に投資されることになるのではと、そういった疑問が浮かびます。だとすれば、報告書のマクロ計量経済モデルにおける経済効果の算定は、基礎自治体と広域との役割分担を徹底する特別区素案の制度設計にはそぐわないことになります。嘉悦学園が特別区素案を全く理解せずに安易なロジックで算出したのか、そもそも特別区素案では特別区の生み出す財源を広域に回すというロジックがあったのか、いずれにしても素案との整合性が取れていないために疑念を呈さざるを得ないです。
 そもそも経済効果とは何であるのか。法定協議会で議論するための参考資料というのであれば、特別区設置に伴う経済効果が示されるものと思いますが、今回、調査委託した経済効果は「政策効果」によるものなのか、それとも「制度導入」による効果なのか明確にする必要があると思います。二重行政の解消による財政効率化効果や、府市連携による社会資本整備の経済効果については、統治機構には関係なく、事業をすれば得られる効果なので「政策効果」ではないんでしょうか。二重行政解消による財政効率化効果で示された大学や病院、また府市連携による社会資本の経済効果で算定された地下鉄中央線の延伸、JR桜島線の延伸、なにわ筋連絡線・新大阪連絡線は、現在の大阪府と大阪市の意志一致、国や事業者の意向、住民との合意形成でも実現可能な事業であり、特別区設置に伴う経済効果とは言えないんではないですか?
副首都推進局 阪田部長 報告書では大都市制度改革により二重行政の解消や社会資本整備など実現できる政策に差が生じ、経済効果にも違いが出てくるということが、実証的に示されているものを理解しています。全体を通じて大都市制度改革により理論的に生み出される可能性のある数字が事業者の専門性に基づいて示されたものと考えております。
福田議員 報告書に掲げられた事業すべて「大阪市のまま」でも実現可能な事業であります。特別区という制度導入、統治機構改革をしなければ実現できない事業など何一つありません。特別区になれば広域行政にかかる権限が知事に一元化されるので、事業が100%かつ調整期間ゼロで実現するという効果額算定しておりますが、あまりにも短絡的であります。(若干省略)。前回、毎年4000億円の効果が出ると市民に誤解を与える誇張した説明を行いましたが、根拠のないものと非難を浴びて、最終的には効果額はゼロに等しいという経緯があったにもかかわらず、同じように今回も根拠のない数字を公表しており、全く反省していないことに驚きを隠し得ません。素案との整合性が取られていないということや、算出方法の仮定の置き方やロジックに疑義があることを示してまいりました。報告書で示された効果額は特別区設置という制度導入によって生じる効果ではないと確信しました。
 改めて最後に申し上げますが、総合区、特別区の財政効率化効果額は、ともに素案に全く基づかない仮定のもとに算出された効果額であり、実現可能性の根拠も皆無です。加えて素案で示したコストを全く考慮していないずさんなものであるということ。次に、二重行政解消による財政効率化効果と、府市連携による社会資本整備の経済効果は、大阪市のままでも発現できる効果で、制度変更、制度導入に伴うものではないということ。最後にマクロ計量経済モデルによる経済効果は、財政効率化効果が発生しなければ生じ得ないものであります。また公的社会資本整備により10年間で1兆円もの民間投資を呼び込むと実現可能性は何ら具体的に実証されておらず、空論に過ぎないということ。そのような報告書を市民に公表している以上、副首都推進局がきっちりと市民に説明する責任があり、報告書で示された効果額が一定信頼のおける数字であることを局が説明を行ったうえで認定しなければなりません。しかしながら、これまでの質疑では専門性のある一事業者が算定をしたということだけを頼りに、理論的に生み出される可能性のある数字が示されたとの一点張りで、示された数字に局として説明責任があるという姿勢を感じることはありませんでした。以上のことから、局が説明することさえできないこのような報告書は一刻も早く取り下げるべきであり、法定協議会の議論に資する資料には値せず、法定協議会で報告する価値さえないと申し上げます。

川嶋広稔議員
 (冒頭部分、若干省略)基礎自治体の合併ではなくて、(大阪都構想のような)こういう分割を前提にした、(自治体を)分割したらどうなるかって先行研究はあるんですか?
副首都推進局 橋本課長 学術的なことは存じませんが、平成の合併の時は統合による財政効率化効果についての先行研究はたくさんあると存じますが、分割についての先行研究があるかについてははっきりと存じてはおりません。
川嶋議員 市町村合併の時の先行研究はしっかりと見られて副首都推進局の皆さんは今回の報告書の検査をされたんですか?
副首都推進局 橋本課長 先行研究としてそのようなものがあるということは選考委員などからも伺っているところでございます。
川嶋議員 先行研究で2013年の地域学研究っていう論文のところで「平成の大合併と歳出削減」っていうタイトルで「規模の経済性と合併後の経過年数に関するパネルデータ分析」っていう論文があって、これ日本地方財政学会でも発表されているらしいです。その中では平成の大合併をした市町村、3000あったのが1700になりましたけれど、そういう市町村のデータを集めて分析をされてるんですけど、この論文の最後のまとめを読むと「これまでの研究ではいわゆるU字型の構造が指摘されてきたが、固定効果推定を用いた結果、逆U字型の構造が確認できた」ってそんな論文もあるんです。そういうのをちゃんと見られましたか?
副首都推進局 橋本課長 今、ご指摘の論文については了知しておりません。
川嶋議員 結局、先行研究は嘉悦学園に任せきりになってるんです。自分たちでもきちっと先行研究を見て嘉悦学園の理論が正しいのかどうか、それも選考委員にまかせっきりなんですよ。きちっと皆さんが検査をして納品を受けたんだったら、その先行研究もどうなのかってところをしっかり見るべきじゃないんですか。だから信用がおけない、こんなもの法定協議会で説明するのに値しないと言わせてもらってるんです。入口からしてそういう状況だということを指摘しておきます。
 特別区の財政効率化効果なんですけれども、1年度あたり1104億円~1140億円が生み出されるということで、そのうち500億円を投資することによって公的な固定資本整備に使うってことなんですけれども、500億円は特別区側で効果が出るんですか、大阪府側で効果が出るんですか?
副首都推進局 橋本課長 直接的には統合(?)により発生する効果かと存じますが………中長期的に見れば大阪府の方にもそういった効果が波及されてくるものかと、えー、考えますが、ただし学術的なことははっきりしたことは申し上げられませんので……。
川嶋議員 ちゃうねん、特別区に分割して小さくしたら1000億円出るって議員の質問にも答えてるでしょ。でもこれ(報告書を)良く読んだら「広域」に行くねん。どんどんどんどん大型のインフラ整備に使うんじゃないの? だから500億円は大阪府に配分されるんちゃうんかなあって。これ特別区素案には書いてない。でもどう考えても、本来、特別区にあるはずの500億円が大阪府に行くんちゃうかって。この報告書の前提なら。そう理解するんですけど、副首都推進局の見解をお伺いします。
副首都推進局 手向局長 特別区を適正規模化することで大阪市の歳出削減するので、数字の算出自身は特別区でされているのですが、一方で広域行政一元化されることによる投資が最適化されるっていうことで、広域の側では今回、数字の算出はされておりませんけれども、広域と特別区で最適な投資をすることによる有効な社会資本整備が進むという概念は変わらないのではないかと。
川嶋議員 そしたら500億円の投資で民間投資が呼び込めるっておかしいんちゃいますの。
副首都推進局 手向局長 社会資本投資がどれだけGRPに寄与するかということで、最適な投資を行えば、大阪の限界生産力0.2が0.3ないし0.4に広がるという話はありましたけれども、当然、基礎自治体側でも道路、公園あるいは学校建設、社会福祉、市街地再開発等さまざまな社会資本整備はございますので、基礎自治体側で最適な投資が行われれば、その分はGRPに反映されると考えています。
川嶋議員 だって大阪を副首都にするって言ってんでしょ? 東京と大阪の限界生産力の差を埋めるんですって言ってんでしょ。埋めるのに生活道路とかで埋まるんですか? てことは明らかに500億円は、大阪府に行くんですよね?
副首都推進局 手向局長 特別区が設置されているということは、広域行政が大阪府に一元化されているということになりますので、広域の方での投資は、鉄道整備だとかネットワーク道路、こういうのは最適な形で実施されている状況であろうかと思います。そういう状況の中で特別区で財政効率化により生み出された効果を特別区としての最適な社会資本整備に投下すれば、当然その分はGRPに貢献する話だと思っております。
川嶋議員 平行線なのでこれ以上言いませんけれども、結局、大阪府に500億円を持って行く理屈ができるんですよ、これで。素案に書いてないことをさっきからいっぱい言うてるじゃないですか。素案にないことを書いている報告書をあげたら、効果額が出るんです。特別区は1000億円効率化するから1000億円なくたって住民サービスは安定しますよ、じゃあ500億円は特別区の皆さんの住民サービスに使います、あとの500億円は広域で使っても全然問題ないですよって言えますよね? だから、こんな特別区素案に基づかない報告書を法定協議会の場で説明することは絶対にやってはいけないと申し上げておきます。
 次に、行政の最適規模の理論のところであるU字型の理論のことを質問させていただきたいんですけども、特別区の財政効率化効果は人口と面積の変化が歳出に与える影響を計算してるんですよね。人口と面積以外の要因は、特別区の財政効率化効果を出す時には考慮はされていないということでいいんですか?
副首都推進局 橋本課長 専門家による選定委員会を経て事業者選定が実施されており、算定手法については適切と考えております。ご指摘のU字カーブを描く歳出関数を用いる理論についても学術的にはオーソドックスな手法と認識しております。具体的な算出方法についてはご指摘の通り、全国の市町村データを用いて人口と1人当たり歳出をベースとする歳出関数を推定し、特別区となった場合の区ごとに示されている人口と面積から1人当たりの歳出額理論値を推計したうえで、理論値に人口を乗じて区ごとの歳出額の理論値を得ており、その合計と現状の大阪市における実績値、政令市事務や大都市特有の事務に起因する歳出を除いたもの、その差額を効果額としております。先行研究をベースにオーソドックスな手法で算定されていることから、制度導入によって理論的に生み出される可能性のある数字が示されたと認識しております。
川嶋議員 人口と面積が与える影響を出してるんですよ。それ以外の要因が歳出効率化効果に影響を与えたらいけないんです。それと、人口とか面積が、その他の歳出に影響を与える要因と相関関係があったらいけないんです。理屈的にはそうなんですけれども、そういう状況が非常に疑われる分析なんです。それを考えた時に、統計学的に言えば内生性の要因にかかわってくるんです。きっちと統計的に分析しようと思ったら、操作(?)変数表とか固定効果モデルっていうものできっちと分析せなあかんので、そういう手法があるんです。今回、そういうことをやってないんですね。本来、みなさん(報告書を)検証する時には、「そういうことやってませんよね」って統計額的な知識をもって言わなアカンのに言えてない。さっき平成の大合併の時の話を「先行研究でありますよ」って言うたけど、これはきちっとそういう内生的要因を排除して計算してはんねん。本来こういう統計やるときはそうあるべきなんですよ。皆さんがそういう分析をせずに、嘉悦学園の報告書を受けるのは信じられないんです。地方自治法の施行令であるように、自分たちでできないなら(検査を)専門家に委託できるんですよ。委託せずに自分たちでやってというのはそれぐらい腹をくくってやってもらわなあきませんねん。報告書のいい加減さと、チェックしない副首都推進局のいい加減さが、この報告書の根本にあると申し上げておきます。
 次に、まだU字理論の話ですけども、先行研究で出てる中井さんという人の研究から来てるんですけども、そもそも統計学的にいくと有意水準とか自由度修正済み決定係数とか、これがそこそこ良くって統計学的には数字の当てはまりがいいんですと言われても、独立変数のところと説明変数、非説明変数の因果関係が証明されたわけでないんですよ。そのことをしっかり検討しなくてはいけないと言っておきます。いくら数字がいいからって、因果関係が成立するかは別ということです。今回の先行研究で出された中井研究は、本来の目的は何だったんですか?
副首都推進局 橋本課長 学術的なことですのではっきりとは覚えておりませんが、基準財政需要額の算定に当たって補正係数の研究において、人口との間に相関関係があるというふうな研究がなされたものではなかったかと承知しております。
川嶋議員 そうなんです。タイトルが「地方交付税の構造変化 市町村を中心にして」ってタイトルなんです。「地方交付税制度は国、地方団体双方の財政運営にとって重要な役割を担うものであり、この制度のあり方を論ずるためには需要額算定の仕組みや配分のメカニズムの数量的な解析を必要とする」ということで全市町村における普通交付税の財政調整の効果について研究しているんです。基礎自治体とかの最適規模を研究してるんじゃないんです。地方交付税制度の中の基準財政需要額の研究をしてるんです。人口1人当たりの基準財政需要額の構造とその最適人口規模の中でもU字の話が出てきてはいるんですけど、この中ではやっぱり最適規模すらも年々移動しますって書いてるんです。1人当たりの歳出金額と人口との相関関係は地方交付税制度による影響が大きいと思うんです。本来は地方交付税制度に影響を受けると思うんです。だからこそ大都市制度の制度的要因の部分とは関係ないと思うんですが、改めて見解を求めます。
副首都推進局 阪田部長 (事業者の)企画提案書では大阪経済低迷の原因として三つの要因を挙げまして、試算する経済効果として特別区設置あるいは総合区設置が与える経済効果について財政効果も包含する形で試算を試みるとされておりまして、報告書で示された経済効果はいずれも制度的要因によるものとして算定されたものと考えております。
川嶋議員 制度的要因って言うけど違うでしょって。本来なら地方交付税制度の影響の方が強いでしょって言ってるんです。そこの部分が全く見解が違うんですけれども、この図6-1-1、図6-1-2(報告書43ページ)ってどう見てもU字に見えないんです。U字だ、U字だと言うけど、これU字に見える人いてるんかなと思います。政令指定都市とか被災地とか外れ値っぽいところにあるじゃないですか。いつもこの特別委員会で問題になるのが、例えば地方法人税の問題がありました。国は東京が不交付団体だから東京からばーんと法人税を取ったろうと思った時に、東京だけやったら特別法になるから住民投票せなあかんから一般法にしようと思ったら、必ず大阪が影響受けるじゃないですか。結局、税収が減るじゃないですか。減るから一生懸命、市政改革もしてるんでしょ。大阪市の場合は職員の給与も大幅にカットされてるじゃないですか。そういった税制の問題で基準財政収入額が下がるから全体の歳出が減ってるんですよね。そういうことをこの委員会で議論してきてるんだから、U字じゃなくてL字だって気が付かないとあかんと思うんですけど、これを見てL字と言うのか、U字と言うのか、見解を求めます。
副首都推進局 阪田部長 一応まあ、報告書の推定結果を見ますと、人口の二乗の係数が正の値を示してるので人口と1人当たりの歳出の関係は二次関数としてU字型を描くんじゃないかなあと理解しています。
川嶋議員 最適規模を求める時のUっていうのは下に突き出ているのがUという理解でしょ。でもこれ(図6-1-1、図6-1-1、報告書43ページ)見たら下に突き出ているUですか? 1人当たりの歳出が一番低いところはどこですかって言ったら、そんな場所どこにありますか? 人口200万人から50万人に下げた時に、この表を見てだいたい(1人当たりの歳出額は)どれぐらい下がるように見えてますか? 歳出額減らへんやん。だからU字じゃなくてL字でなんです。なぜこの報告書が出た時、皆さんU字じゃなくてL字だということを指摘しなかったのが非常に疑問に思います。
 中井研究では政令指定都市をどのように書いてあるのかは読まれましたか? 
副首都推進局 橋本課長 学術的な内容でありまして、この場でお答えすることは難しいと存じます。以前に目を通したかもしれませんがはっきりとは覚えておりません。
川嶋議員 ちゃんと書いてあるんですよ。これはU字になるって研究なんだけど、(歳出が)下がっていく時は地方交付税制度でやってるんです。基準財政需要額の研究だから。最初は減る領域があって、減る領域については「規模の経済性を考慮した段階補正の効果」で下がっていくんです。それでだんだん人口が増えてきたら、都市化の程度によって行政の質及び量または行政機能の差を考慮して、次に普通態容補正が出てきた時に、それが増える要素になるから都市化とともにだんだんと水平に近づいてくるわけです。って書いてあるんです。次に基準財政需要額においては「普通態容補正が段階補正を上回ってくる」と書いてあるんです。都市化の要因が規模の経済性を上回ってきますと。上回ってくるので、都市・行政機能に顕著な差のある指定都市に至ると、低増傾向を示しますって書いてあります。副首都推進局はどうお考えになりますか?
副首都推進局 橋本課長 特別区の財政効率化効果につきましては、全国の市町村のデータから各特別区の歳出の理論値を算出し、その合計と現状の大阪市における実績値との差額を効果額としております。その際、現状の大阪市における実績値については、政令市事務や大都市特有の事務に起因する歳出を算定から外しており政令指定都市としての大阪市の特性に対する考慮がなされていると考えております。
川嶋議員 要は、中井研究で書いているのは、補正係数の態容補正で基準財政需要額の補正があって政令市は(歳出が)高くなるんですよと書いていて、決してこの論文は分割をしたら(歳出が)下がってきますよとはどこにも書いてない。基準財政需要額は大阪市域一体じゃないですか。それを無理矢理(特別区に)分けるから、僕らは基準財政需要額足りへん、足りへんって言ってる。皆さんは「足りる」と言うけど。検証の方法があって、基準財政需要額をちゃんと計算してほしいんです。特別区になった時に。市民サービス、行政サービス維持しますよって項目を全部書いて、その計算で基準財政需要額を作ってくれて、合わせて基準財政収入額を書いてくれて、それが予算として成り立つかどうかを算出したら、この結果が合うのかどうかは簡単に検証できるんです。だから宿題ですがこういう検証をしていただけますか? 
副首都推進局 手向局長 特別区を設置した場合に、東京都で行われているような独自の単価設定のもとになる単価積算の内訳を出すべきじゃないかというのは以前から川嶋先生に要請されているわけですけども、これも何度もお答えしてますけれども、大阪の制度設計に際しましては東京都と違って交付団体がベースということになっておりますので、普通交付税の算定に用いる単価をベースとして使っている仕組みを考えておりますので、東京都のようなああいう独自の単価設定、積算内訳を示すということは考えておりません。ただ、特別区制度移行の際には、交付税をベースにして4区の基準財政需要額を具体的に算定していく必要がありますので、その際には単価積算の内訳を示したうえで各単価を明示して需要額算定を行っていくことにはなると思っております。
川嶋議員 今の理屈で言うと、国の基準値じゃないですか。大阪の特別区の基準を作って下さいと言ってるんです。それを作って検証するべきでしょう? 本当に年間1000億円下がるのかどうか検証しようと思ったら、基準財政需要額を出せるのかどうかせないかん。この報告書を、専門家が、専門家が、専門家がっていうけれども、そういう意味で言うたらきちっと検証しようと思ったらできるんです。逆に言うたら、基準財政需要額を書こうなんて学者はできない。それは公務員の皆さんしか書けない。なぜ皆さんの強味を活かして検証しないのか非常に不思議でなりません。
 (報告書で)統計的に不思議なことがあったんで聞きたいんですけど、総合区の財政効率化効果ってところで(報告書21ページ)、特別区は対数を取って分析しているのに、総合区は対数を取ってないんです。21ページには、「対数系でも推計を行ったが符号条件を満たさないために意味のある結果を得ることができなかった」と。これもおそらく対数を取った時に符号が合わないってことは、そもそものU字(の仮定)がおかしいからではと考えてくれないとあかんのに、考えずにここ(総合区)は対数取らずにやります、特別区は対数を取りますっていうふうになってるんですね。ですんで、これもやっぱり統計学的に言うたら、多重共線性が発生している可能施があるので、ここの部分は検証してほしいと思います。きちっと多重共線性のことも踏まえた分析をお願いしたいと思いますが、いかがですか。見解をお伺いします。
副首都推進局 橋本課長 事業者に確認しましたところ多重共線性につきましては、説明変数同士の間に強い相関がある場合、分散が過大に推定されるため有為ではなくなることが知られておりますが、本分析では1条項の係数も2条項の係数も有為な結果が得られており多重共線による大きな問題は発生しないと聞いております。
川嶋議員 総合区の時は発生したから変えて対数を取らなかったんだけど、特別区では対数を取っていることに対して疑問を感じているから言わしていただいています。ちゃんと検証をするべきだと思うので、ここについてはできないなら専門家に頼んででもしていただかないと、この報告書は考え方の話でも全然違うし、明らかに統計的な話でも信ぴょう性がなかったら、1000万円払ったらあかんという話になってくるんで、そこだけは申し上げておきます。
 大学と病院の話があるんですけど、このことについて有為水準が全然出てないよねっていうのと自由度修正済み決定係数も全然数字出てないよねって中で、ある金額を出してきて「こんだけ効果出ます」って言うんですけど、その推定して出てきた式って信用していいんですか?
副首都推進局 橋本課長 データの制約等から説明変数を追加することができていないため、決定係数が小さくなっていると聞いており、幅を持って見る必要はございますが、人件費抑制の可能性は示唆されているものと認識しております。
(若干省略)
川嶋議員 最後に一つだけ。報告書の70ページに生産誘発効果について書いています。「本来であれば供給型マクロ計量経済モデルと産業連関表との両者が相互に影響を与え合うモデル化が理想である」って書いてあります。そして「しかしながら、井田(先生の2005年の論文)も指摘するように、そのような成功例は特に地域モデルにおいてはほとんど存在しない」って書いてます。先行研究でもそんなことは存在しないと。その後に「疑似的な接続としてマクロ計量経済モデルで得られた付加価値額を産業連関表の産業別最終需要額の比率で按分し、それらが新規需要として各産業に振り分けられると考えられる」って言うて入れてるんです。井田研究で「存在しない」と言っておいてやっちゃってる。先行研究で否定されてることを根拠に推定値をもとにして予測値を出してるんですけど、この信ぴょう性を疑います。統計的に推定して「これが正しい」と言っても幅がある。幅があるのに勝手に「ここだ」と決めてやってきて、次に信じられないような前提を作ってそこに放り込んで作っている。既にモデルで言うても供給型マクロ経済モデルと産業連関表をつなげるのはおかしいよと書いているのにやっている。本当に信頼性のおけない報告書になっている。最後に副首都推進局の見解をお伺いします。
副首都推進局 橋本課長 繰り返しになりますが、専門性の必要なご質問につきましては、正確にお答えすることができないと思いますので、この場ではお答えを差し控えたいと存じます。
川嶋議員 そのように嘉悦学園が書いているから、その文章を読んでおかしいなと思ってくれないと、そのような検査をして納品を受けたというのが非常に信じられないので、何度も言いますが、我々はこの報告書を法定協議会に説明することは一切認めません。以上です。

<公明党>
杉田忠裕議員 7月11日に経済効果に関する報告書が公表されました。私自身も会派としても勉強を重ねてきました。大きな問題点があります。まずこの報告書は、特別区素案や総合区素案に基づいていない。データのとり方や各種仮定の置き方、あるいは分析の方法が非常に恣意的で、特別区の効果額が総合区に比べて相当高く算出されているということです。また特別区素案では現行住民サービスの維持を約束し、職員増や庁舎整備等にかかるコストを算定しながら、(嘉悦学園の報告書で)年間1000億円の財政効果、効率化効果が発生することは現実的でないと思います。報告書の算定のもととなる抽出したデータ、仮定、分析が仕様書にある特別区素案、総合区素案の内容を踏まえていない。経済効果の算定が恣意的であり、抽出したデータや仮定の置き方によっては、効果額はいくらでも変動していく。当委員会や法定協議会の議論の参考になるものではないという観点から質疑します。
 仕様書においては総合区素案、特別区素案をもとに経済効果を算定することとしていますが、どのような考えからそれぞれの素案をもとに経済効果を算定することとしたのかお聞きします。
副首都推進局 橋本課長 今回の調査は、法定協議会等において大都市制度の効果を定量的に示すべきとの議論を受けて、法定協議会や議会等での議論に資することを目的に、算定手法も含めて事業者の専門的知見を活用して効果算出を行うという趣旨で調査委託したものであり、それぞれの素案をもとに新たな大都市制度導入による広域機能の強化や基礎自治機能の充実に関する経済効果を数値化することとしたものでございます。
杉田議員 副首都推進局として報告書の履行確認を行ったわけですが、それぞれの素案をもとに算定されたと考えているのか、またこの両素案のどの点が反映されていると考えているのかお聞きします。
副首都推進局 橋本課長 総合区制度、特別区制度における基礎自治機能や広域機能の違い、区割りや事務分担などが考慮されており、それぞれの素案をもとに算定が行われていると考えております。
杉田議員 両素案について現在、この委員会や協議会において議論をさまざま行っています。今後の議論によっては、例えば職員数や財政調整制度、一部事務組合など素案の内容が変更された場合、報告書で示されている効果額は変更されるのでしょうか?
副首都推進局 橋本課長 今回の調査報告書では仕様書に基づき素案で示された区割りや人口、面積などをもとに経済効果の推計を行っております。現時点においては改めて調査委託を行う考えはございませんが、今後、素案の内容に大きな変更が生じた場合には、その時点において改めて議論いただくものと考えております。
杉田議員 今の答弁では、素案の区割り、また人口、面積以外の例えば職員体制が変更されても効果額は変わらないと聞こえます。普通に考えると財政効率化効果と職員体制は密接に関連するはずです。職員体制が変更されても効果額は変わらないということは、本報告書は素案をもとにしているとは到底評価できません。
 報告書の18ページの上段に「人口規模が大きくなるにつれて1人当たり歳出規模は低減していく。合区による新たな総合区設置により各区の予算規模は増大するものの、区の人口規模を適正規模に近づけることによって、財政の効率化を図ることが可能であることが示唆される」と記載されております。総合区素案では住民サービスを維持するとともに、現在の行政区の単位で地域自治区または地域自治区事務所を設置するとさんざん議論しました。窓口サービスを維持するとされていますけれども、(報告書は)この素案の内容をどのように踏まえて分析されているのかお聞きします。
副首都推進局 阪田部長 今回の経済効果の調査は両素案をもとに事業者が専門的な知見に基づき算出手法等を検討されたものでございます。基礎自治体の財政効率化効果については先行研究をベースに全国の市町村のデータや行政区のデータから人口、面積による歳出関数を推定し、総合区、特別区における1人当たりの歳出額の理論値と実績値との差額を効果額として推計したものと考えております。地域自治区の設置など個別の事業や施策に着目したものではございませんが、全国の市町村でも様々な形で独自のサービスの展開や住民自治の充実が図られており、それらを含めた分析になっていると考えているところでございます。
杉田議員 大阪市の特色ある市民サービスや素案に記載されている地域自治区また地域自治区事務所の設置などについても考慮されておらず、機械的に算出したものとなっております。素案をもとに作成された報告書とは到底評価できるものではありません。
(自民党の質疑と重なるため若干省略)
 39ページに掲載されている事業ですが、地下鉄中央線延伸、JR桜島線の延伸、なにわ筋線連絡線・新大阪連絡線、これ民間ベースの事業です。府市の合意が事業の成否にどれほどの影響を及ぼすのか計りようがありません。統治機構によって結果が大きく変わる問題ではないと考えますがいかがでしょうか。
副首都推進局 阪田部長 大阪の発展に寄与する鉄道などの広域的な社会資本整備につきましては、今回の場合、民間ベースの事業でございますけれども、大阪府市の合意も事業推進の重要な要素になっていると認識しているところでございます。
杉田議員 全く答えになっておりません。40ページですけれども上記の協議期間の平均を取ると488日であったことから、府市連携による社会資本整備を進めるための協議期間として援用すると記載されています。府市連携に要する協議、調整の期間について社会資本整備においては適当な事例が見当たらなかったため、(40ページの表5-3-1では)過去に二重行政解消を実現した複数の案件をベースに算定しているということです。そもそも協議期間の算定における対象事例の抽出方法がずさんではないか。また加えて総合区の場合、10年間以上協議すらできない状態が続く可能性があると評価する一方、特別区は協議に必要な期間はゼロとしています。あまりにも単純すぎる。特別区になれば即、事業が実現するとして効果額を算定していますけれども、首長の意志の合致だけで事業が進むのではなく、議会の同意など諸々の条件が成就して初めて事業が実現可能となります。また、特別区になれば地元の合意が必要な事業であり、場合よっては今よりも合意形成に時間がかかる場合もございます。こうした要素を加味することなく、単純に効果額を算定することはできないと思います。副首都推進局の見解をお伺いします。
副首都推進局 阪田部長 今回の調査では、府市の協議による総合区と、広域機能が一元化された特別区というそれぞれの制度で行政組織としての意思決定に着目した分析となっています。行政組織間での協議、合意に要する時間に絞って公表されている(府市)統合本部における協議のケースから実証的に効果額を算定されたものと考えております。
杉田議員 仮に特別区になったとしても各特別区長との合意形成が必要であることは言うまでもありません。今は知事と市長と1対1でありますが、四つの特別区になれば4人の公選区長との合意形成が必要となってきます。全員が同じ意見がどうかは分かりません。それを特別区になれば、協議に必要な時間が無くなるような仮定を置いて効果額を算定することは、妥当性を欠いていると言わざるを得ません。
(若干省略)
 仮定によって効果額は何とでも変わるのに、仮定の根拠がない。仮定を置いた理由がきちんと説明できない。仮定次第でころころ変わってしまうような経済効果をあたかもそれが唯一の正しい効果額であるかのように市民に示すのは、あまりにも不誠実であると指摘しておきます。本報告書は総合区素案や特別区素案に基づいていないことが明確になりました。また抽出したデータのやり方や仮定に置き方によってはその効果額はいくらでも変動する要素があり、特別区の効果額が非常に高く算出されており、本報告書は極めて恣意的に作成されていると言われても仕方ない。このような問題点を多く含む報告書について、ただちに撤回するべきであるとそういう思いです。合わせて、大阪市のホームページからただちに削除すべきであること強く申し上げます。

<共産党>
瀬戸一正議員 (嘉悦学園の報告書の)今回、議論されているところの一つのポイントと言いますか、それが間違ってるってことになったら嘉悦レポート全体がガタガタと崩れてしまうと、簡単に言うと親亀こけたら子亀までこけてしまうというものが、いわゆる全国の市町村データから1人当たりの歳出額を出して、それを一定の関数で計算をして導き出されるところの特別区の歳出理論値、そしてそれと大阪市の歳出実績値、この差を財政効果額と言っているけれども、果たしてこの財政効率化効果額が正確なもの、妥当なものなのか、あるいはその理論値の出し方がどうなのか、そこに絞って議論をしていきたいと思います。
嘉悦レポートは1人当たり歳出額と人口を比べる時に、扶助費と公債費を除く1人当たりの歳出の図を掲げております。45ページに「なお歳出総額、扶助費、公債費は総務省『市町村別決算状況調』から入手した。いずれも平成28年度決算額である」と書いてあります。大阪市の平成28年度決算、これは公表されているものでありまして、普通会計の目的別、性質別の歳出内訳及び歳入内訳をまとめたものです。最後の方に公債費ってのが出てきます2659億円、扶助費が5416億円。48ページに大阪市の実績値から公債費から扶助費の合計を引くという項目があります。ここに合計金額が8076億円という数字が出てきまして、さきほどの二つの数字を合わせるとぴったりこの数字になります。大阪市の平成28年度の決算数値を嘉悦学園は確かに使っていると言えます。歳出内訳を見ますと、港湾費145億円、住宅費366億円、大学費145億円、高校費141億円、幼稚園費45億円、こんな数字が出てまいります。そこでお聞きしますが、歳出関数を推定する仮定で、全国の市町村のデータから公債費及び扶助費を除いているけれども、この港湾、住宅、大学、高等学校、幼稚園にかかる歳出は、除くとした公債費、扶助費には含まれていないのではありませんか?
副首都推進局 橋本課長 港湾、住宅、大学、高等学校、幼稚園などにかかる歳出は、ここで除かれる公債費、扶助費には含まれません。
瀬戸議員 今のご答弁を踏まえたうえでお聞きします。では公債費、扶助費を除いて一般の市町村、一般市でも結構ですけれども、それと大阪市などを整理してですね、これを比べたら当然、政令市の1人当たりの歳出額が大きくなると思いますがいかがですか。合わせて、大きくなるとそのことを持って政令市が一般市に比べて非効率になっていると言えるのかどうか、お答えください。
副首都推進局 橋本課長 調査報告書では先行研究により人口と1人当たり歳出の関係を図に表すとU字の関係になることが知られているとしており、その考え方に基づいて全国の市町村データから導き出した人口1人当たり歳出に関する歳出関数をもとに、特別区素案における4区B案の人口や面積を用いて算定されたものであります。先行研究をベースに歳出関数を用いるオーソドックスな手法で算定されたものと考えております。
瀬戸議員 今の答弁ですね、びっくりと言いますか、空いた口がふさがりません。私はね、一般市は港湾等々やってないでしょ、と、政令市はやってますよね、そうすると1人当たりの歳出額を比べたらどっちが大きくなるんですかと聞いたんです。当然ですね、政令市の方が大きくなると答弁されるのが普通です。ところがそうは言わないで、質問とは全く関係のない嘉悦レポートのくだりを読み上げております。港湾や大学など持っていない小さな市町村と比べて、1人当たりの歳出額はどっちが大きいですかというのは、小学生でも分かる。それをこんな場所で聞いても、敢えて答弁をしないというそこに実はミソがあります。
 もう一つ聞きました。その歳出額の違いは、政令市の方が大きいんだけれどもそれは、非効率であるかないか、違いますよね。いわゆる事務事業が違うし、その金額が違うからこその差が出るわけであって、非効率ということにはなりません。ところがそんな簡単なことをなぜ課長は認めないのかと言えば、それを認めてしまうと公債費と扶助費を除いた歳出額ではどちらが効率的なのかという基準では比べられなくなるからです。人口と1人当たりの歳出額って図表に載せるべき数字ではないんです。そいうことであれば、理論値を引き出す際に政令市を含め全国の市町村データを用いるのは不適切と言わざるを得ないと思いますがいかがですか?
副首都推進局 橋本課長 特別区の財政効率化効果につきましては、全国の市町村のデータをもとに規模と歳出の関係を表す関数を推定し、特別区にした場合の各区の人口、面積を当てはめることで各区の歳出の理論値を算出し、その合計と現状の大阪市における実績値との差額を効果額としております。全国の市町村においても様々な独自サービスの展開が図られており、できるだけ多くのデータに基づき分析するのが調査手法として適切との考えから広く全市町村のデータを用いて行ったものと理解しております。現状の大阪市における実績値においては、政令市事務や大都市特有の事務に起因する歳出を効果額の算定から外しており、特別区で想定されている事務が中核市並みであることを考慮した算定が行われております。
瀬戸議員 今の答弁も私の聞いたことに全く答えておりません。私はその理論値を出すのが適切ではないのかと聞いたのですけれども。本来は事務量が全く違うものを一つの関数式に放り込んで人口最適規模を出すと、こういうやり方が本当に適切なのかと聞いたのに、全くお答えがないと思います。理論値、理論値と言うけれどもそれは、不適切な理論値だということよりむしろ、嘉悦学園が作り出した空想的な理論値だと。もっと言えば、大阪市を廃止して人口の少ない特別区にしたら歳出を抑えられると、こういう言わば政策的意図を持って無理矢理、実績値よりも小さい特別区歳出額になるようなものを持って来た。極めて意図的な数値だと、政策的、政治的なものだと指摘しておきます。
 副首都推進局として嘉悦レポートの妥当性、実現可能性をどう見ているのかお聞きします。
副首都推進局 橋本課長 先行研究をベースに人口規模と1人当たり歳出の関係を表す関数を用いるオーソドックスな手法で算定されていることから、制度導入によって理論的に生み出される可能性のある数字が示されたものと認識しております。
瀬戸議員 それを副首都推進局として妥当だと考えているのか、実現可能性があると考えているのか、もう一度ご答弁ください。
副首都推進局 阪田部長 繰り返しになるんですけれども、特別区の財政効率化効果額については全国の市町村データから導き出された人口、1人当たりの歳出に関する歳出関数をもとに特別区素案における4区B案の人口や面積を用いて算定されたものです。先行研究をベースに歳出関数を用いる手法で算定されていることから、制度導入によって理論的に生み出される可能性のある数字が示されたものと認識しているところでございます。いつからいつの10年というものではないですが、制度移行後、一定の期間が経過すれば選挙で選ばれた首長、議員のもとでそれぞれの地域の実情に応じたサービスを提供する観点から、生み出される可能性のある数字が学術的にオーソドックスなアプローチにより示されたと考えております。
瀬戸議員 何べん繰り返しても理論的に示されたとは言うんだけれども、副首都推進局自ら「妥当だ」とは決して言わないんですね、言えないんです。実現性があるという判断も示さない。だからそんなものを正式に市民に公表するのか、そんなものを法定協議会にかけるのかという議論になるわけです。何を指して副首都推進局は嘉悦学園の手法が学術的にオーソドックスなアプローチだと言うとか、何を持ってオーソドックスだと判断しているのか? もう一つは、長期的には効果額(歳出額?)の削減を目指すということなのか。一定の期間が経過すればうんぬん、と。
副首都推進局 阪田部長 具体的な先行研究として本報告書では、大阪経済法科大学教授の中井英雄氏の「現代財政負担の数量分析」が参考文献として上げられております。他にも林正義・東京大教授、吉村弘・北九州市立大教授などの研究があり、選定委員の方からもオーソドックスな手法である旨をお聞きしています。効果額の方ですが、繰り返しになりますけれど、いつからいつまでというものではなく、制度移行後、一定の期間が経過すれば選挙で選ばれた首長、議員もとで生み出される可能性のある数字が学術的にオーソドックスなアプローチにより示されたと考えております。
瀬戸議員 今の部長の答弁ですけど、半分は当たってるかもしれないけど、半分は当たってない。一般市町村に限って1人当たり歳出額はU字カーブになっているかもしれない。だから最適規模の自治体を求めることができるんですね。いわゆる平成の大合併の時にたくさん用いられて、先ほどの名前の上げられた研究者の皆さんもその時に活躍されたと思いますが、そのような論に立つ研究者、学者がたくさんいるのは私も聞いています。その点ではオーソドックスかもしれない。半分当たっていないというのは、そのU字カーブの中に人口規模が大きくて、権限、事務量の違う政令市などの大都市を入れるというやり方は、オーソドックスではありません。オーソドックスどころか嘉悦学園だけがやった、独善的にやった、空想的にやった、こういうものではないか。多くの研究者の方がそういう声も出ております。また、総務省もU字カーブを見る時について言えば、せいぜい人口30万とか50万あたりで見るべきであって、これを政令市や大都市を見る時に一緒くたに見てはなりませんよということをどこかで言っているはずです。そういうやり方なのに、部長の答弁は嘉悦学園のやり方全体をオーソドックスだと言いましたけれど、もし副首都推進局がそういうふうに言い張るのであれば、副首都推進局は嘉悦レポートの片棒を担ぐものだと言わなければなりません。
 では、どないして1兆1000億円を効率化できると副首都推進局は見ているのか、この点をお答えください。
副首都推進局 阪田部長 個別の施策や事業の積み上げではなく、先行研究をベースにしたオーソドックスな手法で全国の市町村データをもとに素案の区割りに基づいて人口や面積を用いて理論的に生み出される可能性のある数字を実証的に示したものと認識しています。
瀬戸議員 結局、確としたお答えは全く出てまいりません。そんなものを理論値と称する、あるいは専門家が計算したらこうなったと市民に示すのは、あまりにも無責任ではないかと思います。こういうものがまかり通るならば、市民に大阪都構想への間違ったイメージ、幻想を与えることになります。トランプ大統領顔負けのフェイクニュースを大阪市が先頭に立ってばらまいているようなもんだと思います。そんなことがまかり通ったら民主主義が成り立たなくなる。民主主義とは事実に基づいた情報を市民に示して、市民に判断を求めるものであります。大阪市が先頭に立って、事実に基づかないような研究論文をもとに財政が削減できる、経済効果が生まれる、このようなことを言って回るのは民主主義にとって危ういやり方だと申し上げます。