2018年10月17日 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会、大阪都構想の経済効果を試算した嘉悦学園の報告書で引き続き紛糾

 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会が10月17日、開催されました。前回に続き、嘉悦学園に委託した「大阪都構想の経済効果」に関して質問、批判が集中。副首都推進局とのやり取りは相変わらず平行線ですが、この日は吉村洋文市長が答弁に立ち、「効果額の算定がおかしいというなら、報告書を作成した人を呼べばいい。オープンな場で議論するのが大事だ」と述べました。

<大阪維新の会>
辻󠄀淳子議員 前回の委員会では、大都市制度に関する経済効果の調査結果について非常に長時間に及ぶ質疑が行われました。一方で法定協議会では、9月28日に開催された第15回協議会においても、この経済効果は議論どころか取り上げもされず、次回の法定協議会においての取り扱いも未定だとお聞きしております。この間、都市の制度改革について、コストについての大きな数字ばかりが取り上げられてまいりました。しかしですね、二重行政がなくなることによる効果、また府市連携で大阪が成長して生まれる効果などがあるはずです。役所の制度が変わるというこの形は、市民の皆さんに丁寧に説明すればするほど住民の方は分かりにくくなってしまいます。その中で特に特別区というのは、住民投票で決めるものですから、住民の皆さんへの分かりやすい説明が大変重要だと思います。そこで昨年11月の第4回法定協議会で私から「本来の制度改革が目指す効果について数字で分かりやすく示すなど住民の皆さんに正しく伝わるようにする必要があるのではないか」と意見を述べさせていただきまして、これに対して松井知事から「大都市制度の効果を数値化できるかどうかについて関係部局に指示して検討させる」というご発言がありました。それが結果となって、経済効果の調査委託が行われたわけです。この間のこの経過について確認したいと思います。
副首都推進局 橋本志津子課長(企画担当) 第4回法定協議会での議論を受け、その後、市長から副首都推進局に対し大都市制度改革の効果を数値化するための調査委託を検討するよう指示があり、府市の両議会で予算承認をいただき、今回、法定協議会や議会等での議論に資することを目的に、算定手法を含めて事業者の専門的知見を活用して効果算出を行うという趣旨で調査委託を行ったものであります。6月末までの契約期間終了後、検査を経まして7月11日に調査結果にかかる報告書を公表したところでございます。
辻󠄀議員 今回の調査結果ですね、前回の当委員会で他会派からも様々な批判がなされたところであります。しかし副首都推進局としてはこの報告書をどのように評価されているのか改めてお伺いします。
副首都推進局 橋本課長 繰り返しになりますが、今回の調査は法定協議会等において大都市制度の効果を定量的に示すべき、との議論を受けて、法定協議会や議会等での議論に資することを目的に事業者の専門的知見を活用して効果算出を行うという趣旨で調査委託したものであります。調査報告書におきましては、総合区、特別区が導入された場合の経済効果を市町村データ等をもとに推定した歳出関数や、マクロ経済計量モデルの活用など学術的アプローチから算出しております。事業者の専門性に基づき理論的に生み出される可能性のある数字が示されたということと認識しており、今回の調査からは制度改革によって効果が生じるということが実証研究から導かれたものを考えております。
辻󠄀議員 私たちは、少子高齢化が非常なスピードで進んでいくこの大阪の将来を考えた時に、将来にわたっても豊かな街としてこの大阪が継続するために、大阪都構想の実現が必要であると考えております。この特別区の設置についてはコストが試算されている一方で、前回の委員会において高見委員(高見亮市議、維新)が発言されていた通り、最大で1兆1511億円という経済効果が示されたわけで、制度を変えることの意義が経済的な面からも示されたのではないかと考えております。また今回の調査委託は、法定協議会や議会等への議論に資することを目的に行われたものです。市民の判断を助けるためにも、法定協議会においてしっかりと議論を行うことが必要であるというふうに考えます。私たち議員は専門家ではありません。また理事者が作った資料でもありません。法定協議会の場で事業者の方を招致し、直接、批判や疑問点をぶつけるなど、直接たずねることも考えられるのではないでしょうか。この特別委員会において理事者が議員の皆さんから質問を受けられて、即答できない場面も見ました。それは、やはり直接、理事者の皆さんが作った資料でないこともあると考えております。この報告書については既に7月11日、市民の皆さんに公表されているわけです。なのに、まだ法定協議会においても議論が行われていない状況は、市民に対して極めて不誠実だと考えております。また最近の法定協議会を見ていますと、理事者への質疑はもう終了して委員間討論に移るべき状況に入っているというふうに見えます。もう法定協議会の委員の責任として、(特別区設置)協定書に記載すべき区名、議員定数などの議論にも入っていくべきではないでしょうか。最後に改めて申し上げます。府市の両立場から議論し決定をする立場でもある法定協議会において、経済効果の調査結果についてきちんと議論することを強く要望いたします。これに対して市長の考えをお伺いします。
吉村洋文市長 これをなぜ法定協議会で議論しないのか全く分かりません。まさに大都市・税財政(特別区委員会)の場面においても大都市制度の議論をしようということで、この経済の専門家の出した調査結果について議論しているということだと思います。法定協議会においてもまさにこれは、コストの議論をしているわけですから、なんで効果の議論をしないのか意味が分かりません。専門家が出した報告書があるわけですから、これはきっちりと法定協議会において、賛成、反対、それぞれの立場あると思います、それはそれでいいと思います、ただ、そもそも議論をしない、見せないというのは、僕は違うと思います。だからこれは法定協議会の場において、しっかりと、賛否それぞれの立場から議論をしてもらいたいと思います。ただ、法定協議会での議論事項は代表者会議で決まるということになってますんでね、維新会派も含めた代表者会議で議論すべきことを決めているルールなので、そこで僕自身も決めてもらいたいと思いますし、まさにこれまでは「大都市制度と経済効果は関係ないんだ」っていう議論もあったわけですから、「いやそれは違うよ」と報告書に出ているんですからね、「じゃあそれはどうなんだ」と法定協議会で議論すべきだと思います。僕もしたいと思います。あとは代表者会議で決めてもらいたいと思います。
辻󠄀議員 もちろん私も今、法定協議会の委員ではありませんので、外から言うことしかできないんですけれども、是非、この場におきまして、各派の皆さまに前向きに進んでいただくよう要望します。

<自民党>
前田和彦議員 (嘉悦学園の)報告書で出されている経済効果について質疑させていただきます。大きな建付けでいくと、政策効果分析とマクロ計量経済分析の二つあります。前者の方は財政効率化効果が報告書記載の額では1兆1400億円、一方でマクロ計量経済分析による経済効果が1兆506億円。この二つの手法、実は前者の政策効果分析によって出された財政効率化効果額っていうのを、後ろのマクロ計量経済分析についても用いてるんです。この二つのモデルはいずれも(年)1000億円の財政効率化効果が出なければ成り立たないんです。という意味で、1000億円が本当に実現可能なのかどうかがこの報告書の根幹です。
 1000億円については府議会でも議論されていますし、前回の当委員会でも私の方から質疑させていただきました。残念ながら行政方からいただいた答弁は、正直、長い言葉を使いって結局、最終どっちなのか分かっていません。最初に特別区素案から確認させてください。特別区素案では財政的に効率化が図られるって記載がありましたか? 具体的に歳出削減が図られると記載されていますか?
副首都推進局 水野英明課長(制度企画担当) 特別区素案において大阪市が特別区に移行した場合、住民に身近な事務は特別区が実施し、大阪全体の成長、都市の発展、安心・安全にかかわる事務は大阪府が実施することとしております。その制度設計にあたっては、特別区と大阪府がそれぞれにおいて適切に事務が実施できるよう適切な財源配分と大阪の実情に応じた大都市制度としたものであり、特別区が設置された効果を定性的にお示ししたものでございます。
前田議員 私もう一回、(特別区素案を)全部、見てみましたが、要は「効率化が図られる」みたいな所ってないんです。実際に書かれている数字の主なところは、庁舎建設費だったり、システム構築のコストがかかるとか、職員が増大するとか、コストがどんどんかかるよっていうことが当然、示されているわけです。逆に効率化が図られる要素って素案の中には見当たらない。今まで理事者のみなさんが回答している中で、毎年1000億円もの財政効率化効果を本当に生み出せるのかっていう問いかけに対して「理論的に生み出される」ということが繰り返し答弁されています。これが、そもそも理論的に出されるという意味なのか、実際に出るという意味なのか、何度聞いても分からないんですが、もう1回、ご教示いただけますか。
副首都推進局 橋本志津子課長(企画担当) 今回の調査結果は制度移行後、一定の期間が経過すれば、選挙で選ばれた首長、議会の下、地域の実情に応じた行政サービスの最適化が図られ、迅速かつ効率的な行政運営が可能となることにより中長期的に生み出される可能性のある効果が示されたものと認識しています。
前田議員 (議員らに)分かりましたかね? 私、何度聞いても分からないんです。逃げの答弁なんです。つまり、大阪市として出てきている数字の根拠が示せないんです。実現可能性を大阪市側が提示することができないからよく分からない回答を延々と繰り返してるんです。しかも先ほどの答弁でいくと「選ばれた首長、区議会の下、勝手に将来決まりますわ」って回答です。将来の特別区長の裁量いかんによって決まる属人的な、そういうところに影響があるような理論数値じゃないんですか。そうすると、過去、市長は定例記者会見なんかでも「実現できます」と何回も繰り返して言ってらっしゃるんですけれど、そんなこと言い切れるわけないと思います。先ほども理事者は「中長期的に生み出される可能性がある効果が示されたと認識している」って、何を言ってんのか本当に分からないです。
 「一定の期間」っていうのもよく出てきます。それと「中長期的な」って言葉がよく出てきます。これいったいいつ生み出されるのかを確認させてもらいたいんですけど、報告書を見ますと今回の1000億円にからんでなんですけど、報告書の73ページや74ページにグラフを描いて、2021年度から財政効率化効果によって削減された1000億円の中から500億円の投資ができて総生産が上がるっていうグラフがあります。これを前提にするとめちゃくちゃ先に発現するとは読み取れない。理事者の答弁は延々と先に、特別区長が何かいろいろ考えて(効果が)出てきますとしか分からないんですが、報告書の記載を踏まえて答弁いただけますか。
副首都推進局 橋本課長 報告書では、大都市制度の経済効果は財政構造の変化を通じて経済構造の変革を促すことで得られていくと考えれば中長期的に発現することになる、とされ、効果額の発現の具体的な期間は示されておりませんが、10年間の効果額は提示されているところです。マクロ計量経済モデルでは分析の設定上、2021年度からの10年間と仮定して効果額の試算を行っております。
前田議員 効果額の発現の具体的な時期は示されていないということです。これ本当に50年後とか100年後とかの話なんですか? じゃあ何の効果か分からなくなります。「一定の期間が経過」の一定の期間は、大阪市はどう考えているんですか? 数十年後から始まるということなのか、50年後なのか、ここすごく重要です。報告書を見る限り「一定の期間」って、大阪都構想の住民投票があって準備期間とかがあるんでしょう、その数年後に1000億円生み出されるって報告書にしか見えないんです。だけど理事者の答弁聞いていると、何か将来、中長期で見たら特別区長が勝手にいろいろ考えて効果を出してくれるとしか聞こえない。
 もう一つ確認しますが、特別区を設置するだけで財政効率化効果が生まれるのか、特別区長の裁量によるものなのか明確化したいです。仕組みさえ導入してしまえば勝手に生まれますねんと言っているのか、それとも区長の裁量いかんによって変わるということなのか、そこを確認したいです。
副首都推進局 橋本課長 特別区の素案におきましては、特別区設置の意義として広域機能の一元化により司令塔機能を一本化し、二重行政を制度的に解消すること、これと併せて特別区の設置により基礎自治体として住民ニーズに沿った身近なサービスを提供することにあるということを掲げております。今回の調査における特別区設置の財政効率化効果は、基礎自治機能においてはそれぞれの地域の実情に応じた行政サービスの最適化が図られ、迅速かつ効率的、効果的な行政運営が可能になることが、専門性を持った事業者において数値で示されたものと認識しております。素案で示した特別区設置の意義が数値化されたものと考えており、制度導入に伴う経済効果と理解しているところです。
前田議員 どっちか分からないですね。よく分かりません、答弁がね。属人的なことなんですかということと、実際に仕組みを導入しただけで、仕組みっていうのは、この報告書が言っているのは、人口規模をぎゅっとしたらっていう仮定を置いているんです。行政は人口規模を50万人、今回の4区B案は70万人とか80万人の規模ですけども、この規模にすれば何か知らないけど自動的に効率化されるって立場に立っているのか、それとも特別区長が頑張って行革をやって(効果を)出していきますって立場に立っているのか、まったく明確じゃない。だから何を答弁しているのか分からない。きっちりどっちの立場に立っているのか示してもらわないと。局長、どう考えているんですか?
副首都推進局 手向健二局長 先ほど課長が答弁しましたが、特別区が設置されることによりまして、いわゆるニア・イズ・ベターの体制を整えることを通じて住民サービスの最適化が図られることになりますので、特別区が設置されるとそういう環境が整うということで、環境の下で、まあ、あの、報告書では今の大阪市の規模を全国データから導き出した約50万人という最適規模に近づけることによりまして、全国のデータからは効率化が図られると。で、そういう最適規模に近づいた団体で、いわゆる住民に身近なところで施策判断を行っていくことによって、最適な手法の行政判運営を行うことで、えー、財政効率化が図られるようになると、こういうことだろうと思います。そういう意味では、特別区の設置を行うことで生じる効果と考えております。
前田議員 それは特別区長が頑張らなくても出るんですか?
副首都推進局 手向局長 あのー、まあ、いわゆる市長、特別区長もそうですけれども、当然、行政運営をしていく中では、あのー、最適なサービスを最小のコストで提供していくということは、使命になってくるかと思いますので、誰がなってもというよりは、特別区設置後、そういう運営がされていく中で、最適化されていくというふうに考えております。
前田議員 属人的要素があるってことですね。自動的じゃないってことでいいですかね? その辺が局長に丁寧に聞いても、皆さん、どっちか分かりました? 要は本当にはっきりしてもらいたいのは、今回、理論的に専門家が出してきた資料が大阪市として実現可能かってのは別の議論ですからね。専門家が示した資料ってのが理論的に示された、その理論的に示された数字が実現可能かどうかを大阪市がどう判断するのかっていう議論なんです。だから専門家に「実現可能性があるんですか」って聞く、考えるのは大阪市が主体で判断するべきでしょう。大阪市の説明責任ですよね。例えば、市民が電話かけてくるとするじゃないですか。(嘉悦学園の報告書は)公表しちゃってるんですから。「1000億円って報告書に書いてあるけど、大阪市は将来、実現可能なんですか」って(市民が)聞いた時に、さっきの長ったらしい言葉を返すのか、専門家に聞いてくださいって言うのか。大阪市が説明責任を負ってるんですよね。
 特別区設置後、特別区長、区議会はどんな施策を実行すれば、いつどのように財政効率化効果が生じるのかについて、副首都推進局は分析やってますかね。私、前回の質疑で示したものもあったと思いますけれども、どうやったら生み出せるのか? 専門家の理論的なことを言ってるんじゃなくて、市として実現可能性があるというスタンスに立つんだったら、それは分析すべきだし、どうやってるのか回答いただけますか。
副首都推進局 橋本課長 副首都推進局においてそのような分析は行っておりませんが、特別区素案においても現在の大阪市では大半の施策や予算配分について市域全体を見渡して市長が決定しておりますが、特別区を導入することにより、区内の施策全般において、待機児童が多い、高齢化が高いなどといった各区それぞれが置かれている実情やニーズに応じて特別区長自らが迅速に方針を決定し、予算編成、条例提案などを行うことが可能になるとお示ししているところであります。制度導入により区長、区議会が住民に、身近なところで施策を決定するニア・イズ・ベターの実現を通じて住民ニーズに応じたきめ細かいサービスを迅速かつ効率的、効果的に提供する環境が整うため、一定期間経過後、行政運営の最適化による効果が発現されるものと考えております。報告書ではこのニア・イズ・ベターの実現による効果が事業者の専門的知見に基づき、理論的に生み出される可能性のある数字として実証的に示されたと理解しております。
前田議員 副首都推進局、分析すらやってないんですね。実現可能性について説明しないといけないのは(事業者に)発注した大阪市でしょ。専門家にいろいろ聞いて、大阪市としてその内容をどうとらえたのか、それを説明する責任は大阪市にあるんですよね。だけど分析やってないんですか? どうやって市民に説明するんですか。それは完全に行政の怠慢じゃないですか。環境が整ったら勝手に効果が出てくるんですか? そういうことも明確になってないです。
 前回も質問させてもらいましたけどもね、大学の分散図ありましたよね。あれの自由度修正済み決定係数、あのグラフから信頼度が全くないじゃないか、これも行政、チェックしてたんかって言いました。限界生産力も0.4って数字がありますが、大阪都構想になったらすぐに東京の限界生産力が達成できるのか検証してますかって言いました。行政は全部いつも仕様書に基づいてチェックしてますって言うんですけど、やってるって根拠が伝わってこないんです。報告書の仮定の置き方とか、仮定に基づいた理論的数値はいろんな場所で現実と乖離しているところが多分にあるんですけれども、それが正しいのかは検証してますか?
副首都推進局 橋本課長 調査報告書につきましては、仮定の置き方や具体的な効果額算出の計算手順について仕様書に沿って履行されているかの検査を行っております。特別区、総合区の基礎自治機能の財政効率化効果額につきましては、人口と1人当たりの歳出の関係を表す関数を用いて算出しておりますが、こうした手法には先行研究の蓄積があり、本件の公募の際の選考委員からも先行研究に基づくオーソドックスな手法である旨お聞きしております。
前田議員 先般、府議会の方で重要な事実が判明しているんです。報告書の根幹に当たる部分になると思うんですけれども、今回の財政効率化効果の根本的なところって何かと言うと、U字カーブです。U字カーブが特別区に見合う形で大阪市の歳出総額をまず取ります。報告書では6600億円です。そして最適の人口規模を49万人に設定しているから、小さな自治体四つに割って、人口規模を縮小させたら効率化が生まれる、四つ足すと5500億円となってるんです。その差額の1100億円って数字が10年間発生しますよねっていう建付けになってるんです。で、報告書にもこう書いてあります。特別区の歳出額と比較する実績値は特別区で想定されている事務と整合的でなければならない。だから、それに基づいた大阪市の実績値と特別区の効率化されるものとを比べてるんです。だけど、先般の府議会で判明したことは、この大阪市の実績値の中に大阪府に移管するものまで含まれているということでした。これ議会の中で理事者の方も認めているんですけど、病院とか、大学とか、いろんなものが府の方に行くのに、大阪市の実績値の中に全部含まれている。てなると、比較がそもそもおかしくなる。しかもその額は1000億円です。そうするとね、この差額が1000億円だったものが、ゼロになっちゃうわけですよ。そうすると、財政効率化効果、出て来なくなる。これって計算過程はチェックしてますかね? 
副首都推進局 阪田洋部長(副首都企画推進担当) 報告書につきましてはその検査の中で、仮定の置き方や具体的な効果額算出の計算手順等について確認をしたところでございます。特別区の財政効率化効果の算出の手順としては、公債費と扶助費を抜いた全国の市長データからU字の歳出関数を特定いたします。特別区の理論値についてはこの歳出関数を用いて1区から4区それぞれの人口、面積から1人当たりの歳出の理論値を導き出しているところでございます。大阪市の実績値についても公債費と扶助費を除いたうえで、法定協議会の参考資料、事務分担案をもとに大阪市の事務を基礎自治体としての事務、中核市としての事務、政令指定都市としての事務、大都市特有の事務の四つに分類し、中核市並みの事務が想定されている特別区の歳出の理論値と比較するため、政令指定都市および大都市特有の事務を除いて大阪市の実績値を推計しております。財政効率化効果額はこの実績値と理論値の比較から算出されておりますが、全国の市町村で実施される事業、施策をベースに実証的に導き出された理論値と比較するため、実績値との間で事務事業の整合を取られたものと考えており、適切な算出と認識しているところです。
前田議員 先般の府議会では府の方では「確認していません」ということを答えていましたけれど、後付けでそういうこと言ってるだけでしょ。事業者の方に確認したんですか? 部長、もう1回、答えてください。
副首都推進局 阪田部長 確認はしておりません。
前田議員 要はU字カーブが成り立たなければこの効果はゼロになっちゃうんです。さらにこれがすごく疑義があることであれば、府議会の方ではものすごく議論になってますけども、1000億円出なかったら経済効果ゼロですからね。府議会の方では明確な答弁がなかったわけですが、正直、短期で見ようが長期で見ようが、そこの部分ってのを部長は後付けで理由を言ってますけども、明確にどの部分がどうだっていう精査していないと思いますから聞きませんけども、後で説明を聞きたいと思います。
 その次、聞かせてもらいます。先ほど申し上げましたけれども、今回、ずっと理事者の方が答弁している「専門家が理論的に可能」っていうことと、大阪市がそれを受けて実現可能かどうかっていうのを市の立場として判断することは、別の話ですからね。私がずっと聞いているのは、市として「実現可能だ」と考えてますかってずっと聞いているわけですけれども、行政としてこの報告書を保障できますか?
副首都推進局 阪田部長 今回の調査は新たな大都市制度の導入により将来発生すると見込まれる経済効果を算出するにあたり、経済学などの専門的知見が不可欠であることから、公募型プロポーザルにより選定した事業者に委託して実施したものでございます。調査結果で示された経済効果額については行政として保障する性質のものではなく、専門的な知見を有する事業者によって特別区が導入された場合の経済効果として理論的に生み出される数字が示されたと認識しております。
前田議員 保障できないってことを言っちゃってるわけですね。行政としては報告書は保障できませんってスタンスに立っちゃってるわけです。何なんですかね、そうすると。今回、特別区の経済効果を出しているわけですけれども、今まで素案で議論してきた内容は現状の大阪市よりもさらに1500億円ぐらいのコストがかかる、財政効率化が生み出されるなんて数字は特別区素案には出てこない。さらにいろいろ見ていくと一般所要財源ってのがあります。大阪市の一般所要財源は8千数百億円です。特別区になると6千数百億円ぐらいになって2000億円ぐらい下がってしまう。パイが少なくなるんですね。特別区長が頑張って(財政効率化効果を)生み出そうとできるんであれば、現在の大阪市で「できる」というのを示しておかないと、将来の特別区長はもっときつくなるんですよ。
 大阪市の歳出予算って1兆7000億円規模がありますね。その中でどこから1000億円生み出すんだろうって話を前回させてもらいました。扶助費とか公債費とかは報告書の建付けの中で、例えば扶助費とかは生活保護受給とか入ってるわけですけれども、公債費、扶助費ってのは報告書の中でも制度の変更によって変えることができないので除外しますってなってました。だからここからは(削減効果は)出てこない。そして投資的経費ですが、この投資的経費は増やしていくわけですから、投資的経費を削減したら経済効果は生まれないわけですからここから出すこともできません。人件費は素案の中で「増えていく」って話になっているわけですから、少なくとも330名(増員)。人件費を削減することもできないわけです。行政施策経費って、庁舎の建設とかシステムの構築にかかる経費なんかも入っているわけですが、素案では560億円かかる、運営費が毎年40億円かかるって言っているわけですから、ここから1000億円も削減することはできない。別で試算してみましたが、大阪市の独自の事業、これは「サービスを維持する」って特別区素案の前提なので切ることはおかしな話になってしまうんですが、規模感で言うと230億円です。だけど「維持」が前提にあるから削減できない。これは特別区長が、大阪市よりもさらにパイが小さくなる中で、必死になって頑張って1000億円出すぞっていうのはめちゃくちゃ厳しい。ここから出すことは想定できなかったら聞いたわけです。特別区長はそんな厳しい状況に置かれるにもかかわらず、大阪市は「将来的に特別区長が考えることですわ」って切り離すのは本当にどうかしているとしか思えません。この1000億円の行政効率化効果額、住民サービス低下することなく、大阪市の歳出からどんなふうに実現されるのかをお聞きしたいと思います。
副首都推進局 阪田部長 制度導入により区長、区議会が我々に住民に身近なところで施策を決定するニア・イズ・ベターの実現を通じて住民ニーズに応じたきめ細やかなサービスを迅速かつ効率的、効果的に提供する環境が整うため、一定期間経過後、行政運営の最適化による効果が発現されるものと考えております。報告書ではこのニア・イズ・ベターの実現による効果が事業者の専門的知見に基づき理論的に生み出される可能性のある数字として実証的に示されたものと理解しております。
前田議員 あのー、要は毎回、同じ回答が返ってくるんですけどね、これ結局、数字もなにもないんですね。おそらくきっと将来、特別区長が勝手に考えて、適正化が図られていくでしょうってことしか繰り返し言ってないんです。専門的な理論数値は専門家として出しているんですけれども、大阪市として将来の特別区長のことを考えて、特別区が本当にそれが実現可能なのかって考えるのは別だ、そこを聞いているんですけれどもね。
 市長はこの報告書を見て7月12日の記者会見で、記者の方から「行政を預かる立場として、この10年間で1兆円という額に関して実現可能性はどう受け止めていますか」という質問があるわけですけど、「実現は可能だと思います」ということで、これは逆に言うと理論的にどうこうと言うんじゃなくって、行政を預かる立場として、市として実現可能だとおっしゃっています。9月28日の囲み取材でも「1000億円というのは現実性があるんですか?」ということを(記者が)聞いて、その時には「現実性がある。必ずあれは出てくる」とおっしゃっています。ということは、専門家の理論数値が市の立場として実現可能であるという認識に立ってらっしゃると思いますけれど、市長として実現可能という明確な根拠を持っていると思います。先ほど、行政の方は「保障できない」と繰り返し言っています。市長は実現可能性について、ある意味では担保をされていらっしゃると思うんですけれども、根拠、方策なり市長の方で考えていらっしゃることがあれば、お伺いしたいと思います。
吉村市長 僕は実現可能だと思っています。まず委員(前田議員)がごっちゃにされているのは、行政サービスの中身の話と、行政サービスを提供するにあたって組織がいかに最適化であるかがごっちゃになっていると思います。大阪市独自事業の敬老パス、幼児教育無償化、塾代助成などこれは、橋下(徹)市長以前、そして僕に変わりましたけど、それ以前やっていなかった施策じゃないですか。つまり行政サービスっていうのは、財源を生み出す努力をして改革をして実行する。それはあの、常にそういうもんなんです。まさに大阪市の独自事業は、かつての大阪市ではできてこなかったものをやっている。常に行政サービスは予算の中で決めていくものだと思っています。ただその、行政サービスを実行する組織体としてどういったものが一番最適なのか、基礎自治業務を提供する一番最適な組織体っていうのがどうなのかというのが今回の報告書だと思っています。報告書でもありますけども、僕はU字カーブっていうのはそうだろうなと思います。というのも、極論を言うと、1人の村があった時にそこに基礎自治行政を1人のためにやるのは当然コストは大きくなる。それがどんどん増えてくれば効率化になる。そしてそれが過度に人口が増加してくれば、今度は住民1人1人のサービス当たりの歳出が拡大する。その理論から言うと、最も効率的な組織体というのがあるはずだと、それが何なのかと言えば、この報告書の算出によれば約50万人だろうという結果が出ているわけです。その50万人を最適人口規模とすれば、首長は常に、僕もそうですが、最小のコストで最大の効果を上げる努力をし続けなくてはなりません。住民サービスをからめるとややこしくなるけれども、組織体としてどうなのかと考えた時に最適規模がある。それは50万人。そしてそのいわゆる今の大阪市の基礎自治業務の実績値と特別区の、今は存在しないので理論値になりますが、理論値との差額がまさに効果額。僕はその通りだなと思います。仮に僕が4人生まれて4人が特別区を担っていけば、この1000億円という効果は生まれると認識しています。だから僕はこれは現実性があるというふうに思っています。この報告書の算出の中身はですね、そもそもU字カーブがおかしいじゃないか、算定がおかしいじゃないかって言うんであれば、この報告書を作った人を呼べばいいじゃないですか。何で呼ばないんですか。意味が分からないです。それを呼んで、ここはこうおかしいじゃないかって議論をすればいいじゃないですか。それは自民会派からしたらおかしいって立場になるし、維新会派からそうだって議論があるかもしれない。賛成反対の議論があるかもしれない、それをオープンな場でやることが大事なんじゃないですか。それをやらない理由は全く分かりません。僕はできると思っています。
前田議員 まさかそんな回答が返ってくるなんて思ってませんでした。市長は専門家呼べばいいじゃないですかって言いましたけど、市民の人が「1000億円どうやってなくすんですか」っていうことを電話かけてくるとするじゃないですか、そしたら「そんなの専門家に聞いてください」って言ってるのと同じになっちゃいますよ。市長は記者会見の中でも自分自身の言葉で実現可能性があるって言われた。U字カーブも理解してますけれども、現実的に将来、特別区長が頑張って削減するっていうことなんですよね。そうすると、ある一定の予算の中で、市長は「行政サービス前からやってなかったじゃないか」っておっしゃいましたけど、今やっているものを特別区になっても維持していくんですよね? 独自サービスの維持が特別区素案の大前提ですよね。これ切っていいんですか? 切ってもいいなら特別区素案に行政サービスの維持なんて書いちゃだめですよ。行政サービスの維持が前提になっているから特別区長は縛られちゃうんです。切り取ることができないわけでしょう。それが特別区素案に書かれているわけです、担保しないといけないわけです。だけど大阪市のどの予算からも1000億円が出てこない。特別区長が最適化を図ってちょっとぐらいのお金は出てくるかもしれません。でもまさか1000億円ものお金を出していかないといけないということを、現実的に特別区長がどうやってやるかを示すのが市の責任じゃないですか。市民から聞かれたら「専門家に聞いてください」じゃないですよ。市が責任を持って、これがこういうふうになるから1000億円が将来的に出てくるんだということを実際に予算をからめながら説明すべきだと思います。自治体の規模だけ変えたら特別区長が勝手に努力して勝手に最適規模になって行くんで、ってそれって根拠じゃないですよね。専門家の言っていることを繰り返し言っているだけです。
 市として実現可能性があるという立場に立っているのであれば、それを実際に市として説明しないといけないし、市民から聞かれた時に「専門家に聞いてください」と言うんじゃなくて、市が「こうだ」というものをしっかりと示さないとこの報告書は意味にないものになってしまうと思います。現在もホームページに載せていますが、少なくとも行政の方の回答では理論的に可能性があるものに過ぎないわけですよね。行政として保障する性質のものでもないんですよね。少なくともそれを(ホームページに)書いておかないといけないんじゃないですか。行政は保障できませんって。保障もできないし、実現できるかどうかも理論的には一応、可能性としてはいけるんですけど……ってことを明記してください。そうじゃないと今の大阪市の見解の状態とホームページに記載されている内容に乖離があります。市民が誤認しても仕方ない。そこをきっちりやっていただきたい。
 (報告書の)根幹の部分のチェック、検証を大阪市の副首都推進局の担当がやってきたということで報告書が出てるんです。だけどいろいろ聞いても検証の過程もよく分からないし、実際にチェックしたかどうかも分からない。説明を聞いても通り一辺倒の回答しかない。そこをもう少しきっちりと行政のチェックをしていただいた結果を示していただきたいと思います。

<共産党>
山中智子議員 この間も何回か同じことを市長に質問させていただいています。この議論はもう6年ですか、7年ですかね、幾度となく質疑をさせていただいて、住民投票も否決で終わっていますし、もう議論の中でも大阪都構想は百害あって一利なしだということは立証済みだと考えています。改めて申し上げますが、特別区はとにかくコストがかかりすぎて住民サービスは削らざるを得なくなりますし、広域を一元化しても都市機能の拡充、広域インフラの整備にはつながらないということもるる申し上げてきました。市民の間でも都構想反対という声が多数である状況は変わりません。議会もはっきりと多数が反対ということになっています。にもかかわらず、未だにこう議論をずっと引っ張られて今日もこうして長時間議論をしています。もううんざりだっていうふうに理事者の皆さんの顔が見えたりしてるんですけれども、もう本当にこんなことしている場合じゃないと思うわけです。
 今年は6月18日の大阪北部地震に続いて、9月4日には台風21号で大変な被害を被りました。関空も大ごとでしたけれども、咲州や夢洲の防潮堤や護岸が一部倒壊して未だに修復もままならない状況です。あるいは樹木は8000本近く倒れて未だに公園や道路に倒れたままですし、被害を受けて休館しているいくつかのプールなどは再開の目途も立っていません。民間のお家もブルーシートがむしろ徐々に増えている状況ですし、屋根だとか窓だとかいったいいつになったら修理に来てもらえるのか分からないという人がたくさんおられます。復旧は大仕事ですしさらに今後、この21号に匹敵するような、それ以上の強い台風が毎年のようにやって来る可能性もあると言われています。南海トラフの巨大地震も遠からず起きるわけで、とにかく何をおいても災害に強い街づくりに全力を上げなければならない時だと思います。地域では今回の大きな災害を受けて、改めて要援護者の方をはじめとして、自分たちの地域の住民の命をどうしたら守ることができるのか、避難どうするのか、安否確認どうするのかと必死で考える中で、やっぱり顔に見える地域コミュニティづくりが大事だねっていう動きが始まっています。地域でそうやって活動されている人たちと困っている人たちをつなげるという仕事は、やはり地域任せではなくて行政がしっかり担わなくてはならないと思います。やるべきことは本当に多い。こんな不毛な制度いじりの議論に、時間と税金と職員や市民の皆さんのエネルギーを使っている場合ではないと思います。何度もお聞きしますが、市長、もういいんじゃないですか? もうきっぱりと打ち止めにして、市民の命、安全・安心を守るためにこそ注力されるべきではないでしょうか。
吉村市長 防災対策については私も今回、台風21号、大阪北部地震とありまして、大阪市における防災体制の評価、安心な街づくりが非常に重要だというのは感じています。特に台風21号で、第二室戸台風を超える潮位を記録したという……きちんとした整備をしてなかったらもっと大きな被害が大阪市に起きていたかもしれないと、防潮扉をすべてシャットダウンして夢洲も浸水被害がないという状況でしたけれども、非常に大きな被害を受けて、それについての復旧はベストを尽くしていきたいと思います。それから市長として思ったのは、大阪市において壊滅的な打撃を受けないためにどうするのか、僕はやはり大阪市の強みを考えると水害、水だと思っています。南海トラフ級の地震が発生した時に、まあ防潮堤の整備は大阪府と一緒にやってますけども、大阪市が壊滅的な打撃を受けるとしたら水だと思います。ここについての危機意識、どうしていくかは、もう既にやっていることではあるんですが、さらに強化しないといけない。台風21号を受けてそれぞれの部局でそれぞれの課題を抽出してどういう体制であるべきかはまさに今、会議体を設けて、僕自身も会議体のトップとして入って進めていってますので、これはしっかり進めていかなきゃいけない。想像すればやはり水害、これが大阪市の壊滅的な打撃を受ける一番大きなものだと認識しています。
 防災対策についてはやっていきますが、この大都市制度改革について当然これはあきらめません。大阪をですね、一地方都市で終わらせないという、今は東京が引っ張っていますけれども、大阪というエリアは日本を引っ張る大都市であるべきだと、一地方都市で終わらせない、日本を引っ張る都市にしていくというのが大阪の役割だと思いますし、そうした土台を作っていくのが必要だと思います。そのためには大阪府、大阪市が別々にやっているようじゃなかなかこれは実現できないと思います。広域行政については大阪市、大阪府が一つの司令塔の下で強力な体制で日本を引っ張っていけるような都市にしていく、そのための装置が必要だと思っています。それから住民サービスについても、できるだけ住民の皆さんに近いところで予算編成権を持った住民に選ばれた者が実行していくのが重要だろうと思っています。そういうことを掲げて僕自身は市長選挙を戦い、市長して選ばれました。翌日の新聞に都構想再挑戦へということが……まさに実質的にそういったことを争点として市民のみなさんに通ったわけですから、しっかりした議論を経たうえでこの大都市制度改革について大阪の未来のために進めたいと思います。
山中議員 相変わらずだなあと思いました。これまでいろいろ議論させていただいて、結局、特別区がどうなるかってことはこの制度設計でいくとどうでもよくって、知事や市長のやりたいことはただただ広域の一元化だということも申し上げてきました。広域の一元化と言ったところで大阪市の皆さん方が広域的だとレッテルを張った大阪市の事務事業、港湾等々の事務事業を府に移管するというだけで、権限も個々の事業の予算も増えるわけでもないのにここに熱中している。ともかく図体だけでも大きな行政府を作りたいということだとしか考えられません。
 ところで、1000万円もの税金を投じて委託した嘉悦学園のレポートですが、これも広域の一元化のことについて「これまでの大阪では広域的な社会資本整備を大阪府と大阪市それぞれ実施してきたゆえに、効果的に行われていない可能性がある」、こういうふうに言われています。副首都推進局も常々、この広域の一元化で大阪の都市機能の向上を迅速、強力かつ効果的に進めることができるとオウム返しのようにおっしゃっています。改めてお聞きしますけれども、広域的とレッテルを張った428の大阪市の事務事業を大阪府に移管すると、これでどうして広域インフラなどの整備が強力に進められるんでしょうか。
副首都推進局 水野課長 特別区素案では大阪府に広域機能を一元化し、副首都大阪の都市機能の向上を強力に進め、大阪の成長を実現すること、また基礎自治機能を充実し成長の果実をもとにした豊かな住民生活を目指した制度設計としております。委員(山中議員)ご指摘の広域インフラの整備については、司令塔機能を一本化することで大阪府は広域的な視点の下、大阪の成長・発展、圏域の安全・安心に関する取り組みを迅速、強力かつ効果的に進めることができることとなると考えております。
山中議員 そのフレーズは本当によく聞くんですが、司令塔機能を一本化したらどうして広域インフラの整備が進むんですかって伺っているんですよ。何度も申し上げますけど、権限も予算も増えるわけではないでしょ。なぜ進むんですか?
副首都推進局 水野課長 繰り返しのご答弁となりますが、司令塔機能を一本化することで広域的な視点の下、成長・発展、圏域の安全・安心する取り組みを迅速に進めることができるということでございます。
山中議員 だからあの、お題目なんですよね。同じこと抽象的なことを繰り返しておられるだけです。この(嘉悦学園の)レポートと重ね合わせて考えると、例えば、私たちは必要性を認めませんけれども、ずっとミッシングリングと主張されていた淀川左岸線延伸部についても国直轄事業と高速道路の有料道路事業の合併施工ということで進められようとしていますね。府や市の事業ではない、もちろん地方負担はありますけれども府や市の事業ではないわけです。なにわ筋線にしても国交省が平成21年から23年度までの調査に基づいた需要予測やら概算建設費等を明らかにするなど国が主導的に進めてきたものです。もちろん3セク方式で中之島新線などの実績もありますから、大阪市も府と連携しながらJRや南海(電鉄)などとの調整に当たったということは言うまでもありませんけれども、いずれにしてもこれら進んでいく中で、府と市がバラバラだったわけでもなくって、しかも肝心なところは国に権限があるということで進んできているわけです。何回も申し上げますけども、これら広域インフラの整備促進と広域の一元化は関係ないということです。
 しかも、この(嘉悦学園の)レポートでも東京と比べてインフラ整備が遅れたというふうに言っていますけれども、これも何でなのかってことを全然抜きにしてこんなこと言うようなレポートはだめだと思いますね。東京の場合は1965年の時点で23区だけで夜間人口が889万人、昼間人口は1003万人と既に1000万人を突破してましたよね。電車の混み具合だって、大阪は御堂筋線ぐらいですけども、東京の場合は殺人的だと言われてたわけでしょ。ですから、鶏が先か卵が先かではないけれども、鉄道網の整備とかは喫緊の課題でやらざるを得なかったわけです。しかも人口が集中してますから採算ベースに乗るから進んでいった、国も肝煎りだったと思いますけども、それが大阪の場合はつるつる線(?)にしたって今里筋線にしたって採算が取れないとか何とか言って、運政審でオーソライズされたのになかなか補助採択されない、前に進まないということがあるわけです。これが東京と大阪の違いです。統治機構の違いでは全然ないと思います。それに、これも何回も申し上げますが、都市機能を富有させたら大阪が成長するというこういうロジックも皆さん使われますが、じゃあいったい今後どんなインフラ整備がいるんですか、どんなインフラ整備をしたら大阪が成長するんですかっていうことについては何も具体的なビジョンがない、そういう状況です。ですから結局、皆さん方がお題目のように繰り返される広域を一元化する、そしてインフラ整備を進める、それで大阪の経済を成長させるというこのロジックは完全に破綻していると思います。多数の人たちがこれを否定している。それをこの(嘉悦学園の)レポートは何の立証もせずに、鵜呑みして、それを前提にしたようなレポートを出すということで、このレポートについて言うとまさに大阪都構想を推進したい人たちの提灯持ちでしかないと思うんですけれどもいかがですか。
副首都推進局 橋本志津子課長(企画担当) 今回の調査は法定協議会等における大都市制度導入の効果を定量的に示すべきとの議論を受け、大阪府、大阪市の両議会で予算承認もいただき実施することとしたものであります。新たな大都市制度の導入により、将来発生すると見込まれる経済効果を算出するにあたり、経済学などの専門的知見が不可欠であることから公募型プロポーザルを行い専門家による選定委員会を経て選定した事業者に委託しております。算定手法につきましては、市町村データ等を基に推定した歳出関数やマクロ計量経済モデルの活用など学術的なアプローチから算出しており事業者の専門性に基づき理論的に生み出される可能性のある数字が示されたということと認識しております。
山中議員 提灯持ちであるともないともそれはお答えいただけないとは思いますけど、これは提灯持ちに貫かれたレポートだと申し上げたいし、少なくともこのレポートが本当に真摯な調査研究によるものなのかということはよくお考えいただきたいと思います。
 先ほどからも議論あります年1000億円の財政効率化効果についても伺いますが、このレポートは人口が増えるに連れて1人当たりの歳出は逓減していくけれども、人口50万人を境にそれ以後は逆に人口が増すごとに1人当たりの歳出は増えていくというU字になっていると言っているわけですね。レポートでも言われているようにこのU字カーブは1988年の「中井研究」というのを引用しているようですけれども、この中井研究っていうのはよくご存じの方によると「確かにこの研究は住民1人当たりの行政経費は自治体の人口が小さ過ぎても大き過ぎても高くなるとしている」と。しかし、この研究の中でもう一つ言われていることは「大規模人口自治体の行政経費が高くなる理由として、こうした自治体は大都市であり概して都市特有の出費があり、物価が高くかつ行政権限が広いことを挙げている」ということなんですね。物価が高いとか、都市特有の出費のせいでU字になる、そこでちょっと(住民1人当たりの行政経費が)上がる可能性はあるというふうに言っているようです。本当にU字なのかL字なのかはよく分からないけれども、1人当たりの歳出額が言われるほどは増えていかないんじゃないかと思いますけれども、中井研究というのはそういうものらしいです。
 学者の皆さんがこの嘉悦レポートを検討する中で、農村部もあるいは漁村部も山村部も何もかもいっしょくたにした市町村の全国のデータでU字カーブと言っていいのかというそういう問題意識で、都市の傾向を見るために、あるいは今度のレポートでもすごく比較されている東京都の状況を見るために、東京の特別区と東京の市、それから大阪の市について人口と1人当たりの歳出額を分布にした表です(※資料配布、立命館大学の村上弘教授が作成)。これを見ますと、レポートで言うU字ではなくてL字カーブですよね、都市でちゃんと比較をすると。人口が50万人を超えて増えていっても、1人当たりの歳出額は伸びていかないということをこれは示しているわけで、東京とか大阪の大都市では、都市部ではU字カーブは当てはまらないと読み取れると思います。ですからこのレポートで言われているように、大阪の特別区にこんな関数を当てはめるということがそもそも大間違いということになるのではありませんか?
副首都推進局 橋本課長 今回の調査における特別区、総合区の基礎自治機能の財政効率化効果につきましては、お示しの通り、人口と1人当たりの歳出の関係を表すU字型の歳出関数を用いられております。こうした手法については、先行研究が蓄積があり本報告書では現大阪経済法科大学教授の中井英雄氏、「現代財政負担の数量分析」が参考文献として挙げられております。他にも林正義・東京大学教授、吉村弘・北九州大学教授などの研究があることを確認しております。また本件の公募の際の選定委員から先行研究の基づくオーソドックスな手法である旨、お聞きしております。U字型の歳出関数の右肩上がりの部分に関する学術的な説明につきましては、受益者が多いほどきめ細かいサービスを行うのが難しく、同じサービスの質を維持するのに多くの人員を要したり、新たな施設が必要となったりすることにより供給コストがかさんでしまうこと、いわゆる混雑効果や、自治体規模の増大が市民選好の多様化により費用を増加させること、いわゆる地域の選好の異質性などが、先行研究により示されております。
山中議員 私がお聞きしたのは全部の市町村のことではなくて、都市部ではU字カーブは当てはまらないんじゃないかと申し上げているわけです。人口50万人の東大阪市は1人当たりの歳出40万円ですね。人口70数万人の大田区とか足立区、江戸川区、練馬区なんかは東大阪市と(1人当たりの歳出が)同等もしくはそれ以下です。人口80万人の堺市は同程度だし、驚くべきことに90万人の世田谷区にいたっては東大阪市よりさらに低くなっているわけです。UではなくてLではないですか。
副首都推進局 橋本課長 繰り返しになりますが、U字型の歳出関数の右肩上がりの部分に関する学術的な説明につきましては、今申し上げましたような混雑効果や、地域の選好の異質性という研究が先行研究によって示されておりまして、委員(山中議員)お示しのUではなくてLではないかということですけれども、今回のU字型の歳出関数を用いて特別区の財政効率化効果を算出していることについては一定妥当なものだと考えております。
山中議員 混雑効果とかいろいろおっしゃいましたけど、それは人口が60万人、70万人となっていけば大都市でもありますし、昼間人口にも対応しないといけないし、中核市になったり政令市になったりしていくわけですから、出費も増えると思いますよ。しかし、この表はそういうことを考慮してもU字どころかL字だということです。ですからL字カーブである以上は、人口が減っても即1人当たりの歳出が減るということはあり得ませんね。だから効率化効果の土台が崩れているということだと思います。あり得ない効率化効果について先日来、副首都推進局は何度も何度も、「いつその効果は発現するんですか」って質問に対しては、「制度移行後、一定の期間が経過すれば生み出される可能性のある数字が示された」って答弁しておられますが、改めてお聞きしますが、一定の期間というのはどのぐらいなんでしょうか。いつぐらいに効果が出るんですか?
副首都推進局 橋本課長 今回の経済効果の調査は、新たな大都市制度の導入により将来発生すると見込まれる経済効果の算出を委託したものであります。報告書におきましても効果発現の具体的な時期については明示されておりません。特別区素案におきましても、特別区の設置により区長が地域の実情や住民ニーズに応じて区内の施策全般をきめ細かくスピーディーに決定、展開するとしているところです。こうしたニア・イズ・ベターが実現し、報告書で示された効果が発現するには一定の期間の経過が必要と考えておりますが、その具体的な時期は想定しておりません。
山中議員 いったいいつになったら歳出が削減されるのか、10年先なのか、20年先なのか、ひょっとしたら100年先なのかさっぱり分からない。1000万円も払ってそんなレポートをもらったって仕方ないと思います。だいたい大阪市を廃止して四つの特別区に分割すると、その途端にと言うか、そのことによって、年間1100億円もの歳出が削減できると、そんなことあるはずかないと誰が考えても思うと思うんです。「施策の最適化の中でできる」というご答弁も何度もありますが、最適化と言ったら聞こえはいいかもしれませんけど、要するに住民サービスを低下させるということ以外に何もありません。で、これはやっちゃならんということになってるわけですよね。
 じゃあ何が減らせるのかということですが、このレポートでも「大阪市の歳出の中で他都市と比べて大きいのは、公債費と扶助費だ」となってます。平成30年度の予算でも、公債費と扶助費合わせて8500億円で、一般会計歳出予算の48%を占めています。ですからこのレポートでは、これらは人口を減らしてもあるいは効率化をしても制度を変えても簡単には減らせないので、公債費と扶助費は除くとしています。これももっともらしく聞こえるんだけれども、扶助費が多いということはそれに伴ってその仕事をする人も多い、人件費も多いわけですけれども、それについては全く減らすようなことはしていない。そういう中でいったい何でこの1100億円も生み出そうとしているのかということです。人件費とか行政施策経費を削減できるのかというと、無理ですよね。素案では逆に人は増やさなきゃいけないとなってます。人は増えるし、人件費の単価で言えば、今、大阪市の公務員の皆さん、職員の皆さんの給料は20政令市の中で最低ですし、去年のラスパイレス指数見ますと全国48の中核市のどこよりも低い。単価が中核市のどこよりも低いという中でこれ以上、人件費を減らすなんてことはできないわけです。何で減らすのかなあと。住民サービスも削るわけにはいかない、人件費も削るわけにはいかない、電気消して、クーラー消して、何もかも民間委託して、だったら特別区長も民間委託したらいいのかなって、そのぐらいしなきゃお金を減らすなんてできないと思います。
 私は先日の法定協議会でこのレポートは荒唐無稽だと申し上げました。特別区設置に伴うイニシャルコストやランニングコスト、これちゃんと素案にもコストは増える、かかるとなっているわけですけども、このレポートでは特別区設置に伴うコスト増についてはいっさい考慮されていませんけれども、これはなぜでしょうか?
副首都推進局 橋本課長 今回の報告書では特別区素案をもとに、政策効果分析として基礎自治行政の財政効率化効果など3分野の試算や、マクロ計量経済モデルによる経済効果を試算しており、法定協議会等での議論に資するよう特別区設置による経済効果を算出するという業務目的は果たしていると考えております。制度導入コストにつきましては、既に特別区素案、総合区素案において提示しているところでございます。
山中議員 不可解としか言いようがないと思います。特別区設置の効果をはじくのにコストを計算に入れないってどんな意味があるのかなあと、飛んでもないことだと言わなくてはなりません。このレポートは、「理論的には」「理論的には」っておっしゃっているけど、私は理論的にもおかしいと思いますし、しかも実現可能性はゼロといってもいいと思います。こういうのを世間では机上の空論とも言うでしょうし、絵に描いた餅とも言うんだと思います。ですので、こんな飛んでもないレポートに1000万円出したと、これ返してもらうべきだという声があるのは当然だと思いますし、ホームページからの削除もしたらいいし、シュレッダーにかけて、昔、思想調査をシュレッダーにかけたことがありましたが、これもシュレッダーにかけて、こんな不毛な議論は打ち止めにしたいと申し上げます。