2019年8月26日 大阪都構想の第25回法定協議会開催。嘉悦学園が算出した「大阪都構想の経済効果」について質疑

 大阪市を廃止して特別区に分割する大阪都構想について議論する第25回「大都市制度(特別区設置)協議会」(通称・法定協議会)が8月26日、大阪市役所で開催されました。昨年、大阪府市が学校法人嘉悦学園に業務委託した「大阪都構想の経済効果」について、法定協委員と経済効果を算出した嘉悦学園教授の質疑応答が行われました。
 嘉悦学園は大阪市を廃止して四つの特別区に分割することで「年1141億円、10年で約1兆円の財政効果がある」(財政効果とは財政コストの節約)とし、浮いた金を社会資本整備に投資することでさらに巨額の経済効果を生むと試算しています。自治体の規模を小さくするだけで財政コストが1000億円以上も下がるのかというのが、質疑の中心になりました。
 以下、議事録です。

今井豊会長(維新府議) 本日は前回の協議会において松井委員(大阪市長)から「コストを抑制すべきというならば、財政効果についても議論をし、把握しておくべき」というご意見がございました。その後、(法定協議会の)代表者会議でご協議いただいた結果、大都市制度の経済効果に関する調査結果を議事とし、受託者である嘉悦学園の出席を求め、調査結果の内容を聴取したうえで質疑応答などを行うこととなりましたので、そのように進めたいと思いますがこれでよろしいでしょうか。それでは嘉悦学園の皆様にご着席いただきます。それでは調査結果についてご説明をお願いいたしたいと思います。
跡田直澄(嘉悦大学付属経営経済研究所客員教授) 嘉悦大学の付属経済研究所で客員教授をしております。跡田でございます。私自身は20年ほど前には大阪大学に在籍しておりまして、その当時から大阪の福祉の問題に関心を持っておりまして、その関係もあって今回の経済効果の調査を嘉悦大学の方で引き受けたという経緯でございます。具体的な内容につきまして真鍋君と川瀬君の方から報告をさせていただきますが、今後の議論に客観的な数字として、あくまでも学術的に計算をいたしましたので、議論の参考にしていただければと思っております。
真鍋雅史(嘉悦大学付属経営経済研究所教授) 大阪と東京で格差が経済的な格差が拡大してきている現状があろうかと思います。70年代後半以降、東京と大阪の1人当たりGRP、格差は広がっている現状があろうかというふうに思います。様々な原因が考えられるところですが、我々は一つの要因が社会資本整備の遅れにあると考えているところです。前回の大阪万博の時は、(東京都と)それほど大きな差がなかったところが、近年、東京の社会資本整備が進む一方で必ずしも大阪の社会資本整備は進んでこなかったという実情があると思います。大阪の経済が残念ながら低迷していると、その背景には政策の失敗があったんだろうと、社会資本の整備が落ちてきたところに経済の低迷があったのではないか、なぜ政策が失敗したのかと言うと、失敗をさせるような制度になっているからではないか、というところで、この大都市制度というものが大阪経済の低迷の要因ではないかというのが我々の報告書の中の問題意識でございます。大阪の経済の成長のために連携などが現在も進められているところですが、大都市制度改革が求められており、その大都市制度改革が大阪経済にどのような影響を与えるかというものを、利用可能な既存のデータに基づいて計量経済学的な手法で提示したところでございます。本日はその中で特別区の効果について、ご説明をさせていただきたいというふうに思います。
 我々の報告書では大きく分けて二つの分析をさせていただいてまして、一つが政策効果分析、もう一つがマクロ経済計量モデルというもので分析をしてございます。
 (政策分析効果では)基礎自治行政の財政効率化効果ということで、特別区制度が行われますと特別区が基礎自治事務と担うとなっておりますので特別区の事務についてどのような財政効率化効果が発現するのかということについて試算をしているところです。問題意識についてですけれども、大阪市の現状の規模というものが基礎自治事務を行うには大きすぎるのではないかと、この基礎自治体の規模を見直すことで財政効率化を図ることが可能であるということを分析しています。試算については非常にオーソドックスな計算で、1人当たりの行政費用が人口とともに減少しながら、ある程度の人口になると増加に転じるということがこれまでの地方財政学の研究で一般的になっておりまして、いわゆるU字型の1人当たり歳出ということでございますけれども、そのような現象が見られますので、その点について計算をしてお示しをしているところです。背景にある理論としては、いわゆる補完性の原理と規模の経済性というものがありますので、簡単に説明したいと思います。
 まず、自治体の事務の規模で二つの相反する考え方がありまして、一つは補完性の原理ということで小さい自治体の方がより効率になるという考え方です。いわゆるニア・イズ・ベターという言い方をさせたり、U字で言うと右から左に進んでいく考え方ですけれども、例えば、学校運営ですべての学校に同じものを同じようにやるのではなく、学校、学校の特色に応じてやっていったら、それが今、小学校は280ぐらいあると思いますけれども、すべてを1人の教育長が担当してやるよりは、仮に一つの小学校に1人の教育長、責任ある方が判断できる状況であれば、効率的な財政運営がされると思いますので、一つの学校で問題が起きた時に小さな自治体であればその現場を教育長に見ていただいてご判断いただけると思いますけれども、大阪の場合は何か問題があった場合は担当の係長なりが写真を撮って、資料を作って、説明して判断していただくということになりますので、やはり機動性でるとかですね、小さなことではありますけれどそういうのがあるんだろうと思います。災害地対応についても、昨年、地震で全校一斉に休校にしていますけれども、特別区であればそれぞれの災害対策本部長が適切に判断して適切な運営ができるんだろうということですので、人口規模が大きくなりすぎると同一住民サービス水準の下での必要な政策が行われなくなる可能性があるというのが補完性の原理です。一方で、小さければ小さいほどいいかと言うとそうもいきませんで、規模の経済性というものがありますから、例えば、どれだけ大きくても首長は1名ですので首長の人件費であるとか、あるいは議会経費、あるいは役所の施設なども大きければ大きいほど1人当たりの費用は小さくなるというのがありますので、この規模の経済性と補完性の原理の間で、どのあたりに最適な点があるかというのがみていただければいい点です。
(若干省略)
 我々の今回の分析では最適規模はだいたい50万人ぐらいになってまして、これは過去の先行研究と比べても同様の結果が得られています。それをもとに、大阪市の実際の予算のうち、今回の特別区は中核市並みということですので、その仕訳けられた数値、実績値がございましたので、その基礎自治の分と中核市の事務の分を実績値として計算しまして、特別区になった場合の人口と面積が示されていますのでそこから理論値の計算をしまして、その差を計算しています。1年間でこの差の財政効率化効果額(効率化の総額)が1141億円から1104億円ぐらい、おおむね1000億円強の効果が年間で得られると。10年で考えますと1兆円ぐらいの財政効率化効果が見込めるとしております。
 この効果はどのように特別区で発現されていくのかは、第1段階と2段階を考えてまして、大阪市全体で実施されている同一住民サービス水準を少しでも(特別区になれば)効率的に実施していくというのが第1段階で、そういう効果が発現されていくだろうと考えています。第2段階はそれぞれの特別区で選挙が行われて、民主主義のプロセスを経てより住民満足度が高まるように同一費用でサービスを選択していくことが考えられますので、住民満足度が高まるような状況になりつつ、その費用についてもより効率的に実施されていくと考えています。その効果というのは民主主義のプロセスの中でどのように発現されていくかということですけれども、一つは他の中核市との比較や改革競争が考えられると思います。
 特別区における二重行政解消による効果は、問題意識としては、特別区においては広域と基礎の役割分担が明確になって二重行政が解消し、効率的な財政運営が可能となると考えています。これについては二重行政の案件は非常にたくさんあるわけなんですけども、その中で事例として分析可能なデータが得られた病院と大学について、統合による規模拡大の効果になるわけですが、コスト削減効果を計測しています。病院については、人件費を病床数と医業収益とで回帰しまして、現状の病床数における人件費の理論値と、統合後の病床数における人件費の理論値との差額を効果額として計測しています。大学についても事務職員数を教員数と教員1人当たり独自収入で回帰しまして、現状の事務職員数の理論値と統合後の事務職員数の理論値との差額を効果額として計測しています。シミュレーションの結果は、病院については年間1.5億円から4億円程度、大学については2.7億円から2.4億円程度のコスト削減が可能となる可能性があるとういうことでございます。
 特別区における二重行政解消ということで、特別区なると役割分担が明確になりますので、広域は広域、基礎は基礎で、それぞれ与えられている役割についてやっていくことになりますので、府と、広域と基礎とで協議を行うというのはあまり大きくは考えられないことですけれども、参考して説明します。現行く制度においては、二重行政解消を進めるためには、府市間の協議が合意に至らなければならないわけですけれども、過去の連携協議の成果として、資料がございましたので、どの程度の割合で合意に至っているのかを数値化しています。首長の方向性が一致している期間の実現可能性は57.7%で、一致していても6割に満たない程度しか実現できない。首長の方向性が一致していない期間の実現可能性は10%程度しか実現可能性がないということですので、現行制度に比べれば政策の実現可能性が高まると考えております。
 特別区における府市連携よる効果ですが、特別区制度においては役割が明確になることで社会資本整備がより高い効果で期待できるというふうに考えてございます。既に決まっている事業は特別区の効果としてふさわしいかというのがありましたので、報告書作成当時でこれからなされていくだろうという3事業について産業連関分析を用いてその波及効果を計測しています。具体的には地下鉄の中央線延伸、JR桜島線延伸、JRなにわ筋線・新大阪連絡線について、事業総額が3550億円でしたので、これを産業連関表に建設部門に投入して工期を10年と想定したうえで、生産誘発額を計測しております。シミュレーションの結果は、特別区になると意思決定のスピードも遅れなく実現できるということですので、この三つの事業について取り上げても4867億円の経済効果があると考えております。
 現行制度との比較で意思決定のスピードですが、現行制度においては府市が協調する必要があり、社会資本整備を進めるためには合意に至るまで協議、調整する期間が一定期間以上、必要になるということでございます。淀川左岸線等についても非常に長い時間をかけて議論がなされてきていると認識しています。過去に二重行政解消を実現した複数の案件について、首長の合意による協議開始からおおむね協議が合意して議会提案に向けた案が決定されるまでの期間を、これも大阪府市統合本部会議の資料にございましたので、そこから算出しまして、平均を取ったら488日でございましたので、おおむね1年4カ月遅れるというようなことにしてございます。また、首長間で方向性が一致しない場合、協議そのものに着手できない場合は、10年以上遅れるケースもあると思います。ですので、現行制度と比べれば意思決定のスピードについても高まると考えているところでございます。
 続きまして、もう一つの大きな分析の柱でありますマクロ計量経済モデルによる経済効果をお示しします。マクロ計量経済モデルとは、現実の経済社会は様々な要因が密接に連関しあいながら構成していますので、それを経済変数の関連性を記述した連立方程式体系になっています。問題意識といたしましては、大都市制度改革の経済効果というのは、制度政部門の構造変化になりますので、財政構造の変化を通じて経済にどのような影響を与えるかというのを分析しています。中長期的に様々な効果が発現していくことであろうと考えていますので、マクロモデルについては需要型と供給型というのがあるんですけど、中長期の効果をとらえるのにふさわしいとされている供給型マクロ経済モデルを用いて効果を計測しています。大都市制度改革によって財政効率化効果が発生し、そのことで社会資本整備が変化をすると。その変化が生産に影響を与えて、これらが民間の投資等々に影響を与えて、それがさらに生産に影響を及ぼすというような相互に連関する波及効果をとらえてございます。
 続きまして、冒頭に申し上げましたように、社会資本の量が不足しているところがございますけれども、同時に質の面についても制度改革によって向上しうるだろうということで、シミュレーションをするにあたって社会資本の経済効果を計算してございます。大阪の社会資本は二重行政ないしは二元行政などのため、東京と比べて低い効果しか持ってこなかった。仮に大都市制度改革で効果的な社会資本整備が可能となれば、経済効果は大きくなるだろうというふうに考えています。これも非常に一般的な考え方ですけれども、生産関数というものを推定しまして1単位の社会資本の増加が生産を何単位増加させるかという限界生産力を東京と大阪とで計測をして比べてございます。その結果は、限界生産力、社会資本が1単位増えた時の生産に与える効果というものが、大阪が0.196であるのに東京は0.399で、大阪の社会資本の限界生産力は東京の約半分というような状況になってございます。これは同じ100億円の投資をしても東京の方が効果的ということになっております。この社会資本の量の差とともに質の差が東京と大阪の格差を拡大させてきたのではないかと考えているところでございます。
 なぜこのような限界生産力に差が出てきているのかについては、少し定性的な議論になりますけれども、二元行政に起因するものとして、分かりやすいものは二重行政ないしは二重投資というもので、同じ目的のものを二つ作ってしまいますと効果が半分になるということになります。このような二重投資の例は、様々取り上げられていますので皆さまもご承知のことと思います。もう一つはいわゆる「府市合わせ」ということで、府については大阪市が政令市であることもあって、本来ならば大阪市内に投資をした方が効果的であったにもかかわらず府市合わせのような状況の中で大阪市域外に投資をしてしまう。結果として大阪市域内に投資をした方が効果的だったものがそうではなくなってしまう。あるいは、市については市域内で最適化をしてしまいますので、もう少し広域のことを考えていただいておれば大きな効果が出たにもかかわらず、市域内で最適化をしてしまうというような府市合わせによって限界生産力が低くなってしまうということです。そのため二重行政の解消であるとか、広域行政の市域内への積極的投資あるいは広域での最適化によって限界生産力は高まるというふうに考えています。もう一つは補完性の原理に起因するもので、社会資本整備においても地域特性を無視した画一的投資がなされてしまうとどうしても限界生産力は低くなってしまいます。きめ細かい投資によって同一住民サービス水準を効率的に実現できることになりますので、同一投資額の効果は高まる、限界生産力は高まっていくと考えております。
 限界生産力に注目をしながら、実際にシミュレーションをしております。現行制度を想定した基準ケースを置きまして、財政効率化の経済効果として、特別区制度に伴う財政効果額が1100億円程度あったのですけれども、その半分程度が仮に追加的な社会資本整備に行われたと仮定します。さらに、追加的な社会資本整備については東京と大阪の限界生産力の差がすべて埋められるというふうに仮定しまして、それぞれのケースと基準ケースとの差を経済効果ととらえて計測しています。
 限界生産力をそのままで、公的資本形成については想定の1%程度(の成長)にさらに年間500億円を積み増した結果の経済効果(実質域内総生産)は5033.4億円。限界生産力の東京との差が全部埋まるのかという議論もありますので、半分程度埋まった場合と全部埋まった場合をとりまして、その間ぐらいに効果が入ってくるだろうということですが、大きいケース(限界生産力が全部埋まった場合)で(経済効果は)1兆500億円程度、小さいケース(限界生産力に変化なし)でも5000億円程度の経済効果が考えられます。
まとめますと、政策効果分析については、基礎自治体の財政効率効果でおおむね1兆円(10年間の累積)、二重行政の解消はお示ししている事例では39億円から67億円程度、府市連携の経済効果についてもお示ししている事例では4867億円の効果が期待できます。マクロ計量経済モデルについても、実質域内総生産ベースでは5000億円~1兆500億円程度、波及効果を含めますと5500億円~1兆1500億円程度の効果が出てくるんではないかというふうに考えています。
 本日のポイントとしては、財政効率化効果については補完性の原理が発現されることによって財政効率化効果が発現するということで10年間で累計1.1兆円、政策の実現可能性と意思決定のスピードについては二重行政ないしは二元行政の解消によって製作の実現可能性が高まり意思決定スピードが速まる効果が期待できると考えております。経済効果につきましては、財政効率化効果の活用と限界生産力の向上によって経済効果が発現し、10年間で5000億円~1.1兆円の効果が発現すると考えております。現行制度との比較でございますけれども、特別区制度については移行コストが発生するということでございますので、それについては意識しておりますけれどもそのコストを上回る効果が期待できるというふうに考えていますので、特別区制度への移行というのは経済効果としては非常に良いものであると考えております。いわゆる「バーチャル都構想」でも良いのではないかと言うような議論もありますけれども、この基礎の部分についてはバーチャル都構想では補完性の原理のメリットが享受できません。広域についても政策の実現可能性や意思決定のスピードはバーチャル都構想よりも特別区制度が上回ると考えていますので、その点でも効果が出て来ると考えています。
今井会長 ありがとうございました。質疑応答をお願いしたいと思います。それでは維新さん。

<大阪維新の会>

横山英幸委員(維新、大阪府議) (嘉悦学園の)経済効果報告書は昨年7月に公表され、昨年11月には副首都推進本部会議でご説明いただいたところです。昨年11月から経過した9カ月経過したので、今回の調査は学術的にどういうアプローチで行い、その結果からどういうことが分かったのかお伺いします。
真鍋教授 今、ご説明させていただいた通りですが、特別区設置の経済効果について、大きく政策効果とマクロ計量経済モデルの二つデータで結果をお示ししています。いずれもオーソドックスな分析手法を用いることを心掛けておりまして、その結果として財政効果としては10年間で約1兆円ぐらい、経済効果にしても5000億円から1兆円ぐらいの効果が10年で発現すると考えているところです。
(若干省略)
横山委員 特別区設置のコストと経済効果の関係について確認します。特別区設置には庁舎整備やシステム改修などが必要になります。現在の素案ではイニシャルコストとして約560億円が必要とのことです。一部では、ランニングコストも含めてコストは、これはおそらく15年分のランニングコストだと思いますが、1500億円と言う会派もございます。我々はそれらは投資だと考えていますが、一部の会派からは特別区設置はコストがかかるだけでそれを上回る効果がないという声が上がっています。今回の経済効果の算出を通して、特別区の設置に伴うコストは、コストを上回る(経済効果のある)投資であり、制度改革を行う意義はあると考えていますが、経済の専門家の皆さんはどのように考えておられますか。
真鍋教授 一般論としては改革や政策は予算が発生することでありますので、費用以上のいい効果が見込めるかが判断のポイントになってくるんだろうと思います。我々の学術的な計算からいたしますと、財政的にも十分に費用を上回る効果が期待できると思います。その効果というのは経済効果として、広く国民市民にも行き渡るものであると考えています。
横山委員 皆様、本当に今日はご出席いただいてありがとうございました。縷々ご質問してまいりましたが、コストを大きく上回る財政効率化効果が、特別区設置後、少なくとも10~15年で発生すること、財政効率化効果の一部を社会資本整備に回すことで大阪の成長にさらなる税収増を生み出すこと、これらにより財政シミュレーションは上振れすることが確認できました。今後の法定協議会の議論におきましては、コスト面だけをとらえたいびつな議論に終始することなく、大阪都構想がこうした大きなリターンを生み出すことを前提として、どのようにすれば大阪の将来にとってこのリターンが最大になしうるかといった前向きな議論をお願いしたいと思います。
今井会長 次に自民さんお願いします。

<自民党>
川嶋広稔委員(自民、大阪市議) 財政効率化効果の件ですけれども、算出に関しては最適人口規模、いわゆるU字カーブ理論で算出されたモデルを踏まえて、歳出関数のモデルを仮定をして、四つの特別区と現在の大阪市との比較のシミュレーションが行われております。この比較にあたってシミュレーションの中身を見させていただいたんですが、このもっとも重要なシミュレーションにおいて、大阪市の歳出額は実績値ということで6615億円は大阪市の予算のベースで算出をされ、比較をするために四つの特別区の歳出額、こちらは理論値ですけれども約5474億円については全国市町村の決算ベースで算出されております。これはどちらも平成28年度のものですけれども、その結果、1141億円という効果が出ております。これやはり、決算ベースに合わせるべきだろうと、平成28年度の予算になっておりますけれども決算ベースに直す、予算と決算の乖離を是正しなくてはいけなんじゃないかと思います。決算ベースに合わさせていただきますと、大阪市の歳出は実績値が決算で6108億円でございますので、5474億円を引きますと634億円、これが決算に是正をした時に出てくるんですね。507億円ぐらい効果額が減少しているということをまず一つ目に指摘させていただきます。
 大阪市の実績値、また予算ベースに戻しますけれども、6615億円についてはこの中身を見ますと、大阪府に移管される事務が含まれております。大学、病院、消防、下水道、合計でおおむね1091億円ございます。歳出額、6615億円から本来、府に移管されて特別区には行かないということで、この事務分1091億円を引きますと、さらに四つの特別区の歳出額の理論値5474億円を引きますと、50億円しか出てこないんです。1141億円というものとあまりにも乖離していると感じております。これも二つ目に指摘をさせていただきます。
 先ほどの予算、決算と府移管事務の問題というものを是正をしなければいけないと思うんです。平成28年の数字でさきほどもお示ししましたけれども、大阪市の歳出額を決算ベースに直しますと、予算額6615億円が6108億円と決算の数字になりますので、(効果額は)507億円となります。で、大阪府の方に移管される事務についてですけれども、先ほどは1091億円と申しましたがあれは予算ベースでございますので決算ベースにすると1079億円になるんです。この(大阪市の)決算額の6108億円から、府移管事務を引きますと5029億円という数字になります。ここで5029億円という大阪市の歳出額から、理論値で出てきております四つの特別区の歳出額5474億円を引きますと、マイナス445億円となるわけです。この置き方であったり、データの扱い方で、やはり予算、決算の乖離、大阪府に移管する事務の問題も含めてきちんと合わせていくと、実は効果が逆にマイナス445億円になるのではないかと思っております。この点、お考えというか、もう一度この試算を、シミュレーションを適正にやっていただいた方がいいのかなと思っているんですけれども、この点どのようなお考えてございますか。
真鍋教授 まずこの報告書を出した後に様々な議論を市会、府会でやっていただいておりまして、川嶋先生におかれましても非常に厳しい、かつ専門性に基づいた質疑をされおられることについては非常に敬意を持って拝見してきたところでございます。是非、直接的にご批判いただければと思っておりましたので、昨年の副首都推進本部会議に是非ご出席いただきたかったところなのですけど、その際は残念ながら来ていただけませんでした。今回こうして直接にご批判いただけるのはうれしく思っております。
 ご指摘は大きく分けて二つのポイントがあろうと思います。一つは予算、決算の問題と、もう一つは府に移管する事務の問題、我々もそれぞれ報告書作成の時点でそういう問題については問題意識を持って議論、検討をしてきたところです。予算、決算につきましては、報告書を作成するにあたってU字カーブというものについては、理論値については、平成28年度決算を使って分析しておるところで、それについてはやはり決算値を使いたいと考えたところですけれども、当時、入手できたものが平成28年度の予算額が仕訳けられていて、我々としては利用可能であったということですので、そのような経緯で平成28年度予算額をまずは持ってきたと。それでじゃあ予算、決算の乖離があった28年度予算額を使っていいのかどうかは我々も検討したんですが、平成28年度の決算額については、平成26年の決算で1兆7000億円程度、平成27年の決算で1兆6900億円程度、平成28年の決算が1兆5800億円程度で、ここ5年ぐらいの決算を比べても平成28年の決算が少し外れていて、平成28年の予算額の方がむしろここ数年の決算額の平均に近い数字であろうと考えたところですので、今回は平成28年度の予算で分析をしても大きな問題はないだろうと判断してございます。平成30年度の予算でも1兆7700億円程度、決算でも1兆7186億円程度ですから、我々が用いている予算額より大きいものになっていますので、この点については幅を持って評価する必要があると思いますけれども、大きな問題にはならないと考えています。
 2点目ですが、特別区に継承されない事務というものがありまして、これについてもご指摘の通りそのようなものについてどういうふうにすべきか我々の方でも検討していっているところです。確かに特別区に継承されないためそれは省いた方がいいのかという議論もあったんですが、今回の効果を計算するにあたって極力、中立性、恣意性に配慮したい、あんまりデータを修正しない形で分析をお示しするのがいいだろうと考えています。もちろん総務省の統計上は分かれているんですけど、細かいところまで見ていきますと、ここはどうなる、これはどうなると細かい議論いなって、その一つ一つに恣意性があるんじゃないかと疑いを持たれかねませんので、まずは中核市並み、中核市の事務としてそろえてお示しするのが最善だろうと判断してお示ししているところです。委員ご指摘のようにそのような問題があるのも我々としては認識しているところですが、そうであればですね、あの、これも非常に大阪市会の議論の質の高さで我々も敬意を持っているところでございますけれども、公明の会派さんがですね大学病院、消防、下水道を除いた場合の理論値の計算をされていまして、その理論値と、抜いた実績値を比較して計算するのは一つの考え方でありえると思っていますけれども、今回、お示ししていただいているものは、理論値の方には4事務(大学、病院、消防、下水)が含まれていて、実績値の方は抜いて引き算する形になりますので、理論値の方が大きくなっているわけですから、やるとしてもそれは引いて、公明会派が計算されているようなやり方で計算すべきなんだろうと思います。いずれにしましてもそういう意味では、我々の結果については、少しバイアスを持っている可能性はもちろんありますので、幅を持って解釈する必要はあると思いますけれども、過度にデータを修正しないのが最善であると考えておりますし、幅を持って考えても十分な財政効果が出てくると考えています。
川嶋委員 一つは予算、決算の数字の取り方についてもやっぱりいろんな数字がありますので、もうちょっといろんなシミュレーションをするべきだど思いますし、府移管事務につきましては本来、市町村の理論値の方には1700ほどの市町村全部入ってますけれども、こちらについてもある程度、精査するべきだと思います。やはり市民にとって非常に重要な数字でありますので、この点だけは指摘をさせていただきたいと思います。
 次もう一つ、約1000億円の財政効率化が出てきますけれども、実は平成30年の予算を見るといったいどこで1000億円出てくるのか、現実的には困難ではないかと思っています。
 私たちは(嘉悦学園の報告書には)課題が多いと思っておりますので、本協議会としてはやはりこの報告書を受け入れるべきではないと考えております。この報告書を今後、この場で議論をするということであれば、やはり報告書の検証と、もう少しきちっとしたうえでないと議論はできないと思っております。
今井会長 次、公明さん。

<公明党>
肥後洋一朗(公明、大阪府議) 特別区設置により経済効果が発生するかどうかについて、府民市民の皆さんの理解が深まるように、改めて府民市民の目線に立ち返ってお尋ねしてまいります。報告書の47ページでは特別区の財政効率化効果の算定方法に関して、特別区の歳出額、つまり全国の他の市町村の歳出データからはじき出した理論値と比較する大阪市の実績値は、特別区で想定されている事務と整合的でなければならないと記載されています。一方、昨年、我が党が指摘しておりますように、この大阪市の実績値の中には下水や消防、大学といった特別区設置後には大阪府で実施される事務が入っていることが分かっております。また全国の他の市町村の歳出データからはじき出した理論値についても、大阪府に移管される下水や消防、大学などの歳出額が含まれているとのことでありました。そこでお伺いします。財政効率化効果の算出に当たり、大阪府に移管される事務のうち少なくとも、下水、消防、大学の歳出額を除外して算出することも物理的には不可能ではなかったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、大阪府に移管される事務を除外しなかった理由として、昨年11月の副首都推進本部会議では他の市町村歳出データから下水、消防、大学といったデータを除外するのは簡単ではない、なるべく恣意性を排除するためデータのサンプルセレクションを控えたとの説明があったとお伺いしておりますが、一定の前提条件の下で算出された数値であることについて府民市民に正確な理解がなされるよう、報告書の中に特別区で想定されている事務と一部整合していないものがあるということを、報告書の注釈などに明記した方が良かったのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
真鍋教授 公明会派は、大学や、病院もだったと思いますけれども、消防、下水を除いた場合の計算を議会の方で提示をされて議論されているということで、このような定量的な経済分析に基づいた議論がなされる議会に対しては強く敬意を抱いているところです。一方で、細分化されたデータというものは、自治体ごとの細かい状況や定義が完全に統一されているかどうか等いくつかの問題がありまして、細かい分析にはそれはそれで失われるものがあるというふうに認識しています。さらにデータに過度な修正を加えることは、一つ一つに恣意性が疑われることになり、また非常に細かい修正をいくつもいくつも繰り返しますと再検証も難しくなってしまう可能性がありますので、我々としては今回は極力オーソドックスな方法でお示しすることが最善であると判断して、今回、お示ししているような財政効率化効果を計測しました。2番目にご指摘のように、より恣意性の少ない方法が最善であるとしてこのような方法を選択しているところでございますけれども、そのようなアプローチが必ずしも一般に十分に分かりやすかったかという点については、少し問題があったかもしれないと認識しています。ただ一般に、データを利用するにあたっては制度と完全に一致するというのは不可能であるというのは、いわば普通のことでありまして、今回の計算でも例えば人件費の部分については按分という形で推計をしておったりしますので、学術的観点からは完全に制度と一致しているという方が非常に稀ということもありますので、学術的観点からは報告書作成の段階でそのような措置(?)が必要という認識には至らなかったということです。
肥後委員 どのように統計データを処理するかは先生方のご判断ということかもしれませんが、我が党が試算した通りできる限り特別区が想定されている事務と整合を取る形での試算も可能だったように思います。報告書で記されている効果額について、一定の前提条件置いたうえで算出された理論上、生み出される可能性のある数値ということだと思いますが、前提条件次第で増減する可能性もあり、今後、経済効果の広報が行われる場合には、府民市民の正確な理解に資するように丁寧な説明を心掛けていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。昨年の議論を振り返りますと、経済効果の実現可能性、つまり年間約1100億円もの財政効率化効果を具体的にどのように実現するのかが論点の一つだったと思います。昨年11月の副首都推進本部会議で事業者のみなさんは、ある一定規模の人口以上になるとU字カーブが右肩上がりに、上昇に転じることを原因として、人口が大きくなるときめ細やかなサービスであるとか、それぞれの地域に応じた財政需要をとらえにくくなってくる、全体的に一律に本当はいらない人に対してもそういう財政需要があると勝手に認識して財政をつけていくという趣旨の説明をされております。これは現在の大阪市の予算編成について無駄な予算付けを行ってきたと言っておられるのではなくて、あくまでU字カーブの一般的説明を行われたものと思いますが、やはり府民市民の皆さんからすれば、具体的にどうすれば年間1000億円もの財政効率化効果を捻出できるのか、疑問に思われている方もいらっしゃると思います。そこでお伺いいたします。特別区は財政効率化効果をどうすれば捻出できるのか具体的にご教示お願いします。
真鍋教授 財政効率化効果額の内訳と言いますか、これについてこの金額、これについてこの金額と具体的に申し上げるというのは非常に難しいところでございます。と言うのは、非常に小さな所に様々な財政需要とのズレが出てくるんだろうと思いますので、それを理論的に申し上げれば補完性の原理という形でご説明をしているところでございます。敢えて申し上げれば、大阪市会の先生方はもちろん大阪市長、大阪市職員におかれても現在は十二分にお仕事をしていただいていると思いますけれども、その中で現在は広域と基礎と両面を、さらに大阪市も大きいですからさらに地元地域の課題を解決されようとしておられると思いますけれども、特別区になると小さくなりますし、また役割も明確になりますので、より地域住民の小さな声を拾っていただいて、そういうことの積み重ねが民主主義のプロセスを経て補完性の原理の発現ということで財政効率化効果が生まれてくると考えております。そのような積み重ねが財政効率化効果の実現につながっていくと考えております。
肥後委員 報告書に記されている経済効果は、統計的に分析した結果、算出された理論上生み出される可能性のある数値ということだと思いますが、本当に特別区設置によって経済効果が発生するということを府民市民の皆さんが肌感覚で理解しようと思えば、効果額がどのように捻出されるか具体的なイメージを持って理解されることが必要だと思います。特別区設置により経済効果が生じるかどうかは、住民サービスの維持や設置コストとともに、府民市民の大きな関心事の一つだと思います。この報告書に示されておりますように、特別区設置により自動的、確実に効果額が捻出されるのかどうか、分かりやすく具体的に説明できる必要があるのではないかと指摘して質問を終わります。
今井会長 次に共産さんお願いします。

<共産党>
山中智子委員(共産、大阪市議) この報告書で謳われています特別区にすると年1100億円もの効率化効果を得られる可能性があると、この点についてついてですけれども、その根拠として報告書は、人口が増えるにつれて1人当たりの歳出額は減少し、50万人程度が最小で、今度は逆に人口が増えると1人当たり歳出は増えていく、そういうU字カーブということが言われているわけです。
大阪府の一般市や中核市を人口1人当たりの歳出ということで並べてみると、人口28万人の茨木市とか35万人の高槻市、37万人の吹田市当たりが最小かなという感じで、39万人の豊中市で少し増えて、40万人の枚方市でまたちょっと減って、50万人の東大阪市は増大するということになって、言われている「50万人が底」とは一概には言えないのではないかと思いますし、東京都の特別区を比べてみますと、50万人台までが減少していって60万人台では若干増大して、70万人台になると減少して、91万人の世田谷区ではさらに減少するということになっています。ですから50万人をボトムとしてU字カーブを描くというふうにはなっていないのではないかと思います。それに今日、提出いただいた表を見ましても、これはU字というよりL字ではないかと思いますがいかがでしょうか。
真鍋教授 統計分析としては一応、50万人が今回、我々が最適人口として、Uの一番下という形にしていますけれども、計量経済学の分析でもUの右側のサンプルが十分にないと線が引けませんので、というか線は引けるんですが計量経済学的には意味がないということになりますので、全国市町村でこのUを描いて、その統計的結果から係数が出てきて、その係数に基づいた結果が50万人程度ということですので、我々の結果としては約50万人程度が平均的には一番効率的になるだろうと考えます。で、図を見るとですね、ご指摘のようにL字になるんじゃないかというような、あるいは大きくすればしていくほど規模の経済性が発揮していくじゃないかというような図に見えなくもないんですが、L字というのはやはりありえなくて、もし、大きければ大きいほど効率化していくということあれば、基礎自治体はいらなくて国が全部の事務をやれば一番効率的というふうになるわけですね。おそらくそれはないだろうし、例えば人口10人の村が一番効率的かというとそうじゃないと思いますので、1億2000万人と10人なら10人のその間のどこかにやはり最適なところがあるんだろう、それがU字を統計的に線を引いた時に係数から計算される数字が50万人ということで、これは過去の先行研究とも同様の結果が出ておりますので、平均的な傾向としてはその辺りに最適な人口規模があるというのは間違いのないところだろうと考えております。
山中委員 そういうふうにおっしゃいますけれども、U字には見えませんし、この問題はおっしゃるよりはもっと複雑にいろんな研究があるようですね。適正規模なんかないって指摘もありますし、いろんなものがあると思います。今言われたように、50万人を超える自治体はそんなにたくさんないとおっしゃったように、50万人以上、70万、80万となると相当な大都市部になっていこうと思います。ですからそこは一般的に言って、地方に比べて大都市部で1人当たりの歳出額が増大するのは理解できます。昼間流入人口の対策もありますし、物価も高いですし、人件費も高いですからね。ですから東京都千代田区など昼間人口が大きすぎて、ここなんかは1人当たり歳出をはじくのに、夜間人口だけで除していいのかということになろうかと思います。U字の傾向があるよという研究でもそれは大都市化に伴う支出増だというふうにしているわけですよね。この報告書がわりと依拠しておられる中井研究もそういうふうに言っておられます。そうであれば、ここ大阪において四つの特別区にしたとしても大都市でなくなるわけではないです。物価が下がるわけでも人件費が下がるわけでもないですから、1人当たり歳出が減少するということにはならないと思いますがいかがでしょうか。
真鍋教授 ご指摘のようにいわゆる大都市化の効果はもちろん一定あるんだろうと思いますけれども、50万人規模の自治体であっても、今回お示していますように、東大阪であるとか豊中であるとかですね、まあ一定もちろん大都市であるというコスト増もありますけども、そこまで大きな違いも本当にあるのかというのは中々難しいことなんだろうと思います。いずれにしましても補完性の原理というのは理論としてありえるわけで、より住民に近いところで、様々な住民の声を小さくきめ細やかに拾っていただくことで効率化をしていくというのは十分あり得ることだと思います。ただ我々としては、50万人ぐらいが最適規模であるというのはこれまでの研究とも大きく齟齬がないところですので、大阪市を特別区に分割しても一定効果が出てくるものだというふうに考えています。
山中委員 やはり地方と都市部を一緒くたにして適正規模を論じるということは無理があると思います。実態を見ないといけないと思いまして、事務局に特別区素案に沿って平成28年度の決算ベースで、皆さん(嘉悦学園)がやっておられるように扶助費と公債費を除いて1人当たりの歳出を出していただきました。つまり平成28年度の決算を特別区素案の考え方に基づいて、府に移管される事務事業は除く、逆に府から移管される約42億円を加えて、そして扶助費、公債費を除けば、歳出額は四つの特別区合計で5111億4100万円となります。本来ならこれが報告書48ページの表6-1-4で比較すべき大阪市実績ということになるわけで、効率化の結果の理論値として示されている5474億円よりもこちらの方が360億円低い、少ないということになります。1人当たりの歳出は19万円となり、理論値のどの特別区よりも少ないということになります。これはつまり、(嘉悦学園の)報告書があてはめた数値は、予算と決算の数字の取り違いもありますし、府に移管する事務事業にかかる歳出額等で計算上の誤りがあるということだと思います。と同時にこのことは、相次ぐ巨大開発の失敗の下で、歳出削減に努めてこざるを得なかったこの間の大阪市の厳しい財政状況を示すもので、これ以上、財政効率化の余地はないと思いますがいかがでしょうか。
真鍋教授 この件につきましても川嶋委員にもご説明させていただいたところですけれども、予算と決算については、利用可能なものが平成28年度の予算ベースであったこと。それから平成28年度の予算額については、ここ数年の大阪市の決算額から大きく乖離するものではなく、むしろ28年度の決算額の方が下振れをしているということですので、平均的な姿をとらえるには平成28年度の予算額を用いた方がいいだろうとことです。それから府に移管される事務についてはこれもご説明させていただいている通り、もしこういう形でやるのであれば、公明党会派が試算されてるような理論値からもそれを取り除いた形で引き算をするのが正しいと思いますけれども、我々としては過度にデータに修正を加えることが信頼性、恣意性を疑われるというようなことになるだろうと思っていますので、幅を持って解釈する必要はあるけれども、両方ともそれを含んだ形でお示しするのが有為だろうという判断に基づいて、あのー、お示しをしているところです。
山中委員 実態から出発しないといけないわけでして、実態の中から府にいくもの、府からくるものという数値の取り方で考えるべきだと思います。大阪市の場合は確かになかなか削りようのない公債費、扶助費は大きいですけれども、それらを除いたものを見ても、人件費なども給与水準を見ても政令市中、最低ですし、府内の全自治体を見ても低い方から5番目ということで、削るものはないということだと思います。ですから現実から出発すれば、結局、特別区にすれば、この報告書ではコストは考慮されていませんけれども、初期コストは別にしても、330人もの職員増やシステム運用費などの増もあって、逆にスケールメリットという点ではマイナスになると言わざるを得ません。いずれにしても、大阪市を廃止して特別区に分割することは言われているような経済効果が生まれるどころかコスト増になり、従って住民サービスの低下等々、市民にとって良いことは一つもないと申し上げておきます。

今井会長 ただいまの各会派の質疑の内容も踏まえまして、ご質問があればと思います。
川嶋委員 このU字カーブの右側のサンプルは十分になったというお話もありました。1700ぐらいの市町村のデータでU字カーブを作られている中で、特に右側の方がサンプル少ないと思うんです。その中で理論値的な関数を求めてらっしゃるんですけど、財政効率化効果額っていうのが、その70万人の時のU字カーブの点、大阪市との実績の差で財政効率化効果が出ていると思うんですね。これでいくと、大阪市の平成28年を計算すると1人28万4000円ぐらい、福岡が31万4000円、名古屋が27万4000円、横浜が24万4000円ぐらいなんですね。これら政令指定都市っていうものが全部分割した方が効率的なんかってこの理論値見てると感じるんですけど、そういう議論はそんなにないって思ってるんですけど、これサンプル数の少なさも含めてこのU字カーブを使うのは現実的でないと思うんですがいかがですか。
真鍋教授 政令市の問題についてはそもそも一般論として適正規模がどうであるかは一概に申し上げにくい部分があるのかもしれないですけど、少なくともこれまでのU字の研究からすると50万人ぐらいに最適規模があるというのは、過去の研究でも揺るぎにくいところですので、そういう議論からすると一般的には政令市というのはどこも規模が大きすぎるんだろうというふうには考えているところです。大阪についても横浜市に次いで2番目に大きいところでございますから、そこから特別区に分割していくことで補完性の原理の効果が発現していくというのは間違いないだろうなと考えております。
跡田客員教授 一般的に話をさせていただきたいんですが、都市というものも一つの生物と同じように小さいものからだんだんだんだん大きく成長していくというのはごく当たり前の話でございまして、それは果てしなく大きくなるかもしれないわけです。ただ、どこがベストな状態なのかという時に、今あるデータからするとこういうデータがありまして、これをどう解釈するかというのが統計学のお話です。ここには面積というファクターをあまり説明してないわけですが、面積と人口とで説明をした結果として、50万人規模が一番ベストですと、最低線になるんですということが出てますので、この絵を見ただけで、その3次元空間のもう1本の軸を見ないで議論すると非常に誤った結論を導きます。それからもう一つは、U字カーブというのは企業の経営をなさった方ならお分かりになると思いますけど、規模の経済性が働く点はある一定点までありますけど、そこを超えると必ず非効率なところが生まれてきてU字カーブになります。平均費用曲線というのは。これは不変の事実でございまして、それと同じことが自治体のコストにも表れているという基本的な考え方からこのU字の理論が出ているということを、少しお考えいただければと思います。
川嶋委員 このU字のもともとの中井先生の文献、1988年のあの文献を見ていると、もともとは地方交付税制度の基準財政需要額を分析されている研究だと思うんですね。地方交付税制度の基準財政需要額での研究になるので当然、人口、面積っていうのが基準財政需要額を求める時の単位として入ってきますので、その基準財政需要額の計算式にかなり相関関係があるのではないかと思うんです。そうなるはずなんです。その中井先生の本にも、研究の中でも、最適の50万人の逓減していくとこに関しては、規模の経済性があるので効率化していくだろうということで、これが平成の大合併も含めて市町村合併の時の一つの大きな根拠になったと思うんですね。その適正規模を超えて右の逓増部分に関しては、中井先生の論文にもあるように都市化による効果と書かれておりますし、都市化による道路の維持管理、ごみ処理などの行政需要の増大、都市なので物価が高いということと、それとやっぱり政令市ということで法令に基づく行政権限が拡大するという中で、このU字カーブの逓増部分が出るというふうに書かれておられるので、決して行政が非効率というわけではないと思うんですね。もともと地方交付税制度で大阪市も交付団体ですので、多くは交付団体ですので、基本的には制度の中での運用でございますので、この中井先生の論文にある通りであって、(大阪市を特別区に)分割したから、50万人にしたから、本当に真の意味での効率化になるということではないと思いますがいかがでしょう?
真鍋教授 我々のU字の出発点はまさに中井先生がやられた研究、蓄積がありまして、それに基づいて、その後、様々な研究がなされていてですね、基準財政需要だけではなく、いわゆる一般の歳出であるとか、細かく事務ごとにやられている研究もあって、それは研究が様々蓄積されてきているということです。ですので、必ずしも基準財政需要にかかわらず歳出額でも同じようなU字の傾向があると。ご指摘のように50万人を超えた(U字カーブの)右側をどう解釈するかというのは、もちろん都市化による効果は一定あるんだろうと思いますけど、やはり補完性の原理というものは、権限を持っている人が小さい単位であることによって費用が下がっていくのは企業の研究でも一般的な議論でありますので、そのような効果は必ず発現すると思います。
川嶋委員 企業と違うところは、政令指定都市は府県の権限も当然、大都市特例事務としてありますので、法律に基づいての権限の増大部分が費用の増大になってると思います。基準財政需要額が計算されてますし、歳出と基準財政需要額は関連性が当然出て来る話ですので、基準財政需要額を計算して足らん部分が地方交付税でもらえる、交付されるということを考えると、そこに非常に考えとかないといけないと思うんです。地方交付税制度の基準財政需要額には補正係数っていうのがあって、その中には段階補正とか密度補正、耐用補正とかあって、U字カーブの逓減の部分で言うと段階補正の規模の経済性、スケールメリットで逓減していきますよってありますけれども、やはり都市化の効果って中井先生の研究にも書いてある通りで、耐用補正の特に普通耐用補正で都市化の度合いによるもの、これが中井先生が一番おっしゃっているとこですけれども、企業と違って自治体ですんで、地方公共団体ですので、地方交付税制度っていうものをしっかり認識したうえで分析をするべきではないかと思っております。この辺をなかなか市民の皆様、メディアの皆様にもなかなかご理解いただけないんですけれども、この点を我々、行政にかかわっている者が間違えて判断するとえらいことになるなって思ってますんで、何度も言いますがU字カーブについては逓増部分についてはサンプル数も十分にないということも含めると、やはり分割して効率化になりますよというのはちょっと違うんじゃないかなと申し上げます。
真鍋教授 交付税制度を含めて補正係数等々、制度の細かい部分も含めて検討しなければならないというのはその通りだと思いますけれども、我々が今回分析しているのは、より大事なのは、それぞれの自治体市町村で独自にやられている住民サービスがあって、基準財政需要はあくまで基準財政需要ですから、大阪市についても非常に高度な住民サービスを提供しているのいうのは一方であって、それが非効率で悪いと言っているのではなくて、そういうのが全国市町村でそれぞれである中で、ですから我々、基準財政需要ではなくて実際の歳出額で右から左に行く部分があるんだろうというのが我々のお示ししているところでございますので、そういった効果は発現するものだろうというのが我々としては考えてお示しをしているところでございます。
松井一郎委員(維新、大阪市長) 自民党の財政効果の資料の中で府に移管される事務、大学、病院、消防、下水これら合わせて1091億円、この部分が実績値の中に含まれているのはおかしいという理論だと思います。この部分が実績値に含まれているから、引き算すれば嘉悦大学さんの資料では1141億円あるけども、その分は府に移管されるんだから引くべきで、財政効果は50億円しかないじゃないかという資料を配られましたけれども、この形でいくと大阪市の予算ベースの中に府への移管事務、大学、病院、消防、下水、これと同様の事業を大阪市町村の決算ベースの中からも除外しないと計算式としてはおかしいと思うんですが、いかがですか。
真鍋教授 ご認識の通りで、実績値から引くというのは一つの考え方としてあるんだろうと思いますが、そうであれば理論値の方から引き算をした理論値を計算しないといけないと考えておりまして、それは公明会派がお示ししていただいているところだと思います。繰り返しになりますが、我々としては過度にデータ修正を加えない方がいいという判断で、今お示ししている効果額が計算した結果でございますので、我々としてはそちらの効果額でご判断いただくのがよりいいだろうと判断しているところでございますけれども、実績値の方から引くんであれば、理論値の方からも引いていただかないといけないというのが基本的な考え方です。
松井委員 この(自民党から)出された資料そのものが都合よくデータ修正されているというものになりますね。
真鍋教授 あの、申し上げにくいんですけど、我々としてはこういう計算はフェアではない計算になってるんじゃないかと考えます。
川嶋委員 そしたら、市町村の方からも引いたものをシミュレーションし直すべきだと思います。1700の市町村の中で病院、大学を持ってるとこってかなり少ないと思うんですね。下水でも周辺市町村見たら、この大阪でも分かるんですけれども、多くは大阪府と各市町村……我々としてはこの数字が分からないので、数字が引けないので、引けるんだったら引いたんですけど、そういうご指摘をいただくんだったらシミュレーションやり直していただく方がいいかと思います。
真鍋教授 ご指摘の点は良く分かるんですけども、統計上、例えば大学の費用であるとか、病院の費用だとかってのは出てますので引こうと思えば引けるんですけども、例えば公立大学を設置しない市町村が果たして大学に対する事務を一切行っていないかと言うと、例えば市町村内に私立大学があってそれに産業施策として支援をしているとか様々な例があるわけですね。機械的に引き算をすると他の所は触らなくていいのかというのと、非常に細かい議論になっていろいろと修正していかなくてはならないという問題に突き当たるわけです。ですので、細かいところまでやっていくとそれはそれで恣意性のないフェアなやり方なのかと考えないといけないと思っていますので、そういう意味では特別区は中核市並みということですので、そこで揃えてお示しするのが最善であると判断して今回お示ししているところですので、我々としては今お示ししている数字が一番、蓋然性の高い結果であると認識しています。
横山委員 おそらく自民党さんの論点は、府に移管する事務ともう一つは決算額と予算額の違いがあったと思います。(嘉悦学園の)ご答弁の中では、(平成28年度は)例年と比べて予算額が決算額と似ていたという説明がありましたが、確か府議会で市議会で議論になったと思うんですが、予算と決算の部分で押しなべてというか平均した場合、予算と決算の乖離はどうなっているのか確か資料が配布されていたと認識しています。例えばここ数年の予算と決算の乖離の部分ご説明いただけないでしょうか。
松井芳和部長(副首都推進局、副首都企画推進担当) データの話なので私の方から答えさせていただきます。今回、この議論ありましたんで、事務局として改めて過去の予算決算を確認させていただいております。平成28年度決算額ですが、直近10年間で見たところ、決算額は最小、1兆5819億円ということでした。で、決算額の平均、平成20年から28年で1兆6712億円ですんで、それと比べても平成28年度決算額は小さいということです。平成28年度の当初予算額、今回の分析に使った予算額の方は1兆6509億円ということで、先ほど申しました平成20年度から28年度の平均1兆6712億円におおむね近い数値かと考えております。なぜか平成28年度だけは直近10年間で当初予算と決算の差がかなり大きくて690億円ございます。この直近10年の間ではやや特殊なケースだったのではないかと思っております。
横山委員 おそらく予算と決算の摘出において恣意性があったというご指摘だと思うんですが、では決算を取った場合ですね、直近じゃなくて押しなべてという決算を取った場合でも、効果額は上がるという認識でよろしいでしょうか。
真鍋教授 計算をしてみないと分からないところでございますけれども、我々として平成28年度予算の1兆6500億円を出発点にして仕訳けられたものを使って計算をしていますので、例えば平成30年の決算の1兆7186億円をベースにしますと効果額は上振れする可能性もあると考えています。
横山委員 ですので論点は二つあって、予算と決算の抽出の恣意性があるか、でも決算を取ったらさらに効果額が飛躍的に伸びる場合もあると、さらにですね(大阪府への)移管事務に関しては、それを所管していない自治体も様々な産業施策等で関連している事業がありまして、恣意的に一方的に抽出するのはこれこそ恣意性が上がる話でございます。ですので、今回の事業者の算出は非常に的確でさらに上振れする可能性があるもので、私からしたらまだ抑えているようなものでございまして、残念ながら自民党さんご提出のこの資料に関してはどれも適切ではないと思っております。
藤田暁委員(維新、大阪市議) 先ほど来、議論になっている予算ベースの方から1091億円引くんだったら5474億円から一般市町村の消防とか下水も引くべきという議論は、おそらく川嶋議員はもうベテランの先生で尊敬する先生なので知らなったはずはないんで、こういう議論はもう止めていただきたいと思うんですけれども、今日は嘉悦学園さんに質問する機会ということですので1点だけお伺いしたいと思っております。
 一つはU字カーブなんですが、右側に行くほどに本来であれば1人当たり歳出が上がるはずなんだけれどもそうは見えないという議論がありまして、統計学的な見地をいったん横に置いて、普通に見ればU字に見えないと言われているんですが、私これ実は実際にこう、先生方は経済の専門家で僕らは政治家として見た時に、人口が増えていくごとに同じサービス水準で人口が増えいけばたぶん費用ってのは上がってくるんだろうというのは感覚的に良く分かるんですが、そうはならないというのは例えば大阪市であれば270万あって、50万の市町村が児童相談所を一つ持っていたとしたら、本来なら270万人なら5カ所または6カ所ぐらい児童相談所が必要なところ今まで1カ所しか置いてこなかったとかいう金額の上振れというよりはサービスの低下を招いている部分もあって、この金額だけを見てても議論がかみ合わないんじゃないかというのが1点です。この認識についてどう思われるかまず1点確認したいのと、次、2点目なんですが混雑効果というところが議論になってます。自治体がどんどん大きくなっていくと効率効果が出るっていうのは誰も疑ってなくて、本当に大きくなり過ぎると費用が掛かりすぎるのかというところに皆さん議論が集中されてるんですけれども、僕も政治家として実際に自分の選挙区を預からせていただいて思うのが、例えば公園一つとっても地域によって使われている方が全然違うと。一つの公園は児童、園児、生徒たくさんいて遊具もたくさんある、別の地域の公園ではほとんど園児や遊具を違う子供たちがいないのにそこにも雲梯とか設置されていて、どちらかを言うとそこは高齢者の方がのんびりする場所となっているんで雲梯とかどけてベンチを設置した方がいいんじゃないかと思うことがたくさんあるんですけれど、やっぱり雲梯が設置されててペンキの塗り直しも定期的にされてる。そういう費用が非常に、無駄とは言えないですけど、効率よく税金が使われていないんじゃないかと思っていて、こういう細かいところがどんどん最適化されていくと費用が浮いてくるというイメージなんじゃないのかなと、これを混雑効果の対象ととらえているんですけど、このイメージがあっているかどうかこの2点を確認したいと思います。
真鍋教授 まずサービス水準の問題についてですけれども、今回は歳出額でやってましてそれぞれ市町村の独自のサービスも含めて分析をしているところですので、特殊なサービス水準があるかとか今回の分析には含まれていなくて、一般的な平均的な傾向としてこういう傾向にあるという中で最適規模が約50万人であるとお示ししているところです。混雑効果の説明についても基本的にはそのような考え方で我々も考えているところで、冒頭には画一的にサービスが提供されると、地域の実情にそぐわない部分が大きければ大きいほど出て来るということですので、特別区に分割していくことで例えばですけど、より近いところに課題がある場所がありますから、公園一つとってもこの北区の市役所から見に行くよりはより近いところからぱっと見に行って判断することができると、そういう小さなことの積み重ねが効率化につながっていくんだろうと思います。
守島正(維新、大阪市議) これまでの議論すごい理解しやすくて、規模の経済学的に一定のところがきたら限界生産性が下がって平均費用曲線がS字になるというのはたぶんみんなの理解だと思います。僕自身も総務省の全国自治体調査調べで一定の自治体になればU字カーブを描いて、どこかに平均費用の最低があるというのは認識してると思うんでL字だとは思っていません。とは言いつつ、歳出規模だけで見てしまうと都市需要をどういうふうに見るんだって点も一定理解できますし、嘉悦(学園)さんが言うようにじゃあ市町村が都市というか広域的事務、ここで府に移管されているような広域的事務に支出してないかというとその点を仕訳けするのは非常に難しいので、恣意的なデータでないデータとしてはこればベストという理由も、どちらの言い分も結構分かったりするのが今聞いてた範囲の話かなと思ってるんですね。じゃあどこにそのベストがあるのかというところで、川嶋さんが言ったように基準財政需要額ってそれなりに補正の積み上げもある中では、実際の歳出と基準財政需要額の差を見てそこの乖離が大きい部分ってやはりお金を出し過ぎじゃないかなと。その乖離で一番効率的にやれてる自治体っていうのは規模がどこかなっていう点でも、僕は最適自治体っていう点でいうと考えれるのかなって思ってるんですけど、歳出ベースで完全に見てこうだっていうところに対して、他会派の先生方がそれは違うんじゃないかというのも一定理解するとなると、その点はあると仮定しても、他のアプローチっていうのも大事なんじゃないかと思ってまして、その点に関しての検討ってしたことあるんでしょうか。
真鍋教授 試算にあたっては様々なアプローチが考えられるわけで、我々の方でもいくつか検討してこの移管の事務を含めて検討してきているところです。統計的な分析ですからバイアスが全くない結果というのはあり得ないので、どうしても情報バイアスもありますし、下方バイアスもあります。これまでの統計分析を用いた我々の研究の蓄積の結果として、よりバイアスが、今回の結果も上にぶれる部分もありますし、下にぶれる部分もありますので、幅を持って見ていただきたいと考えておりますけれども、なるべく真ん中になるようなやり方でお示しするのが一番最適だろうという判断に基づいて今回のやり方をお示しをして、今回の結果をお示ししているところです。
紀田馨(維新、大阪府議) 自民党さんの資料なんですけどね、府移管事務のところ、これそのまま数字で引き算されてるんですけど、嘉悦学園さんの資料によるとこの部分も額は少ないですけど二重行政解消による効果ということで減るということですよね?
真鍋教授 府移管事務については広域行政として取り組まれていく中で、効率化効果は一定発現していくものだろうと思います。ただ、その計算を、二重行政のところで計算しているところですが、それは足し合わせていいかどうかというと、ちょっと単純な問題ではないですけれども、お示しはしています。
紀田委員 であれば(自民党会派提出の)こちらの資料って二重に間違ってると思うんですよね、そのまま数字減らしている点で間違っているし、減らす4特別区の歳出額のところから大学、病院とかそのまま抜いてるって点で二重におかしいと思うんです。これ数字を、都構想やっても大して財政効果がないですよって結論ありきで作られている気がするんですけど。川嶋先生に直接お聞きするのは今日はNGなんですよね? ではそれはできないのですが、指摘をさせてほしいと思うんです。
 嘉悦学園の資料でこれまで議論されてなかったんですけど、政策が首長が反対向いてたら10%しか実現しなっかたのが、維新誕生以来ということになると思うんですけど60%超えて実現していると。万博なんかもその大きな成果かなあと思うですけども、こっちの方が大阪の成長にとってすごい大きな効果があると思うわけなんです。この効果ってのは、こちらのシミュレーションで遅れなしって形で100%そのままするってなってますけど、本来、これ無かったって点で言えばめちゃくちゃ大きな効果をもたらしていると思うんです。この点いかがお考えですか?
真鍋教授 今回の分析は特に特別区の財政効率化効果に着目してお示ししているところですが、もちろん今、大阪市が担っている広域の、政令市の事務と府の広域の事務とが合わさることによって効率化効果は一定出て来る、さらにそれがお示ししているように実現可能性または意思決定のスピードも速まって出て来るというのはその通りなんだと思います。今回の報告書ではその点について具体的試算をしているわけではありませんけれども、効果は出て来ると思います。
紀田委員 そういう意味では上振れっていうのはものすごくあると思うわけなんです。そもそも財政効果のシミュレーションは、大阪都構想やったらコスト以上の効果があるのかどうかって点を理解して判断の材料にしようってもんですので、いたずらに精密にどんどん積み木細工を細かくしていくことにそんな大きな意味はないと思うんです。大きな方向性としてこれをやることで大阪の成長が加速されるってことが納得できるだけの、学術的に確立された手法で示されているのであればそれで十分だと思うんです。学問的に非常に一般的な手法で、全く恣意的な嘘といいますか奇をてらうところがなくて、一般論だけで計算されて、ここまでの効果が出てると思うんですけど、それでよろしいですよね?
真鍋教授 我々としてはなるべく恣意性のない形でバイアスの中間になる形でお示ししているところです。
川嶋委員 私たちが示させていただいたのは、一般市町村から大学、病院、消防とか引けるんなら我々も引いたんですけど、引けませんのでやっぱりこれはシミュレーションをもう一度するべきかなあと思います。U字に関しては地方交付税制度を理解したうえで議論するべきかと思ってまして、それと、U字カーブのあの線って言うのは必ずあの線の上にいくのか、統計学的に信頼区間、95%取った場合はもっと幅があると思うんですね、基本的にその幅におそらくほとんど入ると思うんですね、だから本当にピタッとその線に100%いくかといったら違うと思うんですがいかがですか?
真鍋教授 府に移管事務の点ついては我々としてはそれを除外して計算することによる失われる問題があると思いますので、我々としてはこの結果が真ん中の計算だと判断してお示しをしています。信頼区間の問題については、確実に1円も変わらずこの金額が出るというものではなく幅を持ってご評価をいただくものであろうとは思いますけれども、それがゼロになるとかいうようなことではないと思っています。
川嶋委員 社会科学的な分析なので一定の条件を置かなければいけないのは分かるんですけど、実際に社会で起きていることですので、いろんな要因があると思うんで、今回、制度だけに絞ってると思うんで、社会科学的っていうたら絞らざるを得ないんですけど、それが出るどうかって統計学的にいうと信頼区間も含めてかなり幅があるんだろうと思ってます。もう一つは大学の話ですけど、(除外するのは)恣意性がってことですけど、政策的にっていうと政策コストですけど、大学は明らかに事務の費用ですので逆に政策的なところを引く方が恣意的であって、他の市町村の大学の経費等は引いてやるっていうことは表に出ている決算額を見てやれば判断すればいい、作業としては可能かなと思っています。
山中委員 U字の問題で50万人のボトムから上がっていく時には都市化もあるだろうとおっしゃいましたけども、都市化がどのぐらい効果として占めて、都市化以外の部分がどのぐらいと考えておれるのかというのが1点と、私は中井研究を見てもやっぱり都市化の部分が大きいと思うですね。昼間人口への対応だとか、都市化の部分だろうと思ってまして、それでも人口が大きくなった時に都市化以外のことでも歳出が増えていくというのは、説明にあったのはこの時に補完性の原理を上げておられますけれども、つまり平たく言うと(歳出の)どれを削るかということになるんだろうと思います。そうすると、合併の時と同じような時期から効果が発生するとおっしゃいましたが、合併の時は規模の経済性、スケールメリットでっていうのは分かるんですが、どれを削るかっていうのは議論もいるし、住民もいるし、議会もあるしという中で、5年や10年で効果が出るというのはにわかには信じがたいと思うのですが、いかがでしょうか?
真鍋教授 まず1点目の混雑効果、都市化の効果がどれぐらいかというのは、イメージ的にとらえることはできないんですけれども、これまでの地方財政でも企業の研究でも大きくなると非効率になるのは非常に良く知られている理論ですので、例えば、中小企業が全部一緒になれば効率的になるかというとそうではなくて中小企業でも効率的に運営されている面があると、逆に大きくなるとかえって非効率になるというのは至る所で観察されている現象でありますので、基本的には分割していくことで効果が出ていくということでございます。2番目の発現時期ですが、これも我々の分析から出ている内容ではないので確定的にお答えはしにくいのですが、今回の特別区制度の大事なところはそれぞれの特別区で公選区長がいて議会があるというのが大事なところでありまして、民主主義のプロセスを経て、議会の中で与党もあり野党もあって議会の議論を通じてこういう効果が出て来ると。これは合併の場合も一つの統一された議会ができて、民主主義のプロセスを経て効果が出て来るものだろうと考えますので、その点については同じような時間のイメージで効果が発現していくと考えるのはおかしいことではないだろうと思います。
山中委員 都市化を非効率とおっしゃるんだけれども、都市化の昼間流入人口への対応とかを非効率というふうにおっしゃるとおかしいのではないかと思います。企業の場合も大企業になっていけば社会的責任ていうのも出て来るわけで、それが非効率というのは違うんじゃないかと。私がお聞きしたいのは、大都市であるが故に果たさなければならない部分と、おっしゃっているようにその民主的な議論の末にサービスが最適化されることで生まれるであろう効果が、どのぐらいの割合だとお考えなのかなってことです。
真鍋教授 都市化が非効率だと申し上げているのではなくて、大きいことによる非効率さというのが今回のU字でお示ししていると、だから分割することで効果が出てくるというのが今回のお示ししている効果です。
山中委員 割ったところで大阪の場合、都市でなくなるわけじゃないので、お金はその部分では浮いてこないんじゃないですかと、そこが知りたかったんです。
真鍋教授 もちろん都市化によるサービスも提供されているところだと思いますが、全国の市町村でそれぞれの自治体の状況に応じたサービスと提供されているわけですから、もちろん(大都会は)物価等々が高いという面もあるんでしょうけれども、このU字の上にきている部分がすべて都市化の影響ではないんだろうと思います。
吉村洋文委員(維新、大阪府知事) 今回示されている財政効率化効果、事例として出している二重行政解消効果、府市連携効果、マクロ経済の効果が出てますけども、これ以外のプラスの効果ってあるんじゃないかと思ってます。知事、市長をやってて実体験として感じるところがあります。いわゆるグラビティ効果はこの報告書からは対象外にしていると書いてありますので、これなぜ外したのか聞きたいのが一つと、グラビティ効果って分かりにくいのでいわゆる民間資本のひきつけ効果ってあると思うんです。例えば府市一体で、今まで負の遺産だった夢洲のエリアに万博やIRが見込まれてくると、民間が動き出すわけです。京阪(電鉄)だって動き出してますし、近鉄だって動き出している。マンションだって動き出している。民間が動き出す効果があるんじゃないか、民間の資本をひきつける効果が大都市制度改革にあるんじゃないかと実体験として思うんですけど、そことグランドビティ効果が同じかどうかは僕は専門じゃないから分からないんだけど、グラビティ効果ってのは何なのかっていうのと、それから、この大都市制度改革に金額が示せないとしてもそういった効果があるんじゃないかっていうのは専門家の立場からご指摘いただきたいと思います。
真鍋教授 今回の委託事業の趣旨が経済効果を定量的にお示しするのが趣旨になりますので、利用可能なデータがあってそれに基づいて試算できる範囲に絞らざるを得ないというのが実情です。例えば大学とか病院についてはコストの削減について試算をしているところですけれども、あるいは研究所等々、シナジー効果というのは生まれうると考えているところですが、なかなか定量的にお示しするのがかなわなかったので、分析が定量的にお示することができたものについてお示ししていると、そういう意味では効果については上振れしていく部分も当然あり得るだろうと思います。
跡田客員教授 グラビティモデルとは、引力モデルというか誘因モデルというもので、今の大阪府市の問題で言えば、大阪府市が効率的な社会資本整備を進めることで民間資本がそれを是として、東京に逃げた会社が戻ってくるというようなイメージです。これはグラビティの大きさが、社会資本の蓄積が大きくなっていけば、ひきつける力が強くなるというそういうモデルを作って別途分析しないといけないと。これは都市経済学の方では昔から使われているお話なんですけれども、今回の大阪府市の場合は次のステップとしてはそういうことが意味があるんじゃないかと思って最後に書き足しておいたというところでございます。
吉村委員 金額では示しにくいけどもそういう効果があるということでいいですね。
今井会長 時間がまいりましたので質疑はここで終了します。