2019年12月26日 大阪都構想の第31回法定協議会開催。大阪市廃止4分割など特別区設置協定書案の基本方針を起立採決

 大阪市を廃止して特別区に分割する大阪都構想の第31回「大都市制度(特別区設置)協議会」(通称、法定協議会)が12月26日、大阪府庁で開催されました。大阪市を廃止して四つの特別区に分割し、特別区の設置は2025年1月1日とすることや、大阪市から大阪府に移譲する事務、大阪府と特別区の財源配分など大阪都構想の骨格部分が、「特別区設置協定書案の基本的方向性」として、「起立採決」が行われ、維新、公明会派の委員の賛成で採決されました。自民、共産会派の委員は反対しました。以下、議事録。

今井豊会長(大阪維新の会、府議) 本協議会では9月に提案のあった各会派からの修正意見を踏まえ、その論点について委員間協議を重ね、私の方でとりまとめの方向性について総括をしながら進めてまいりました。本日はその内容を資料1「特別区設置協定書(案)の作成に向けた基本的方向性」として整理をさせていただいたので、この方向性を決定するにあたり、起立採決としたいと考えておりますのでよろしくお願いします。また、この基本的方向性に示している内容を特別区素案に反映したものを、資料2「特別区制度案」、資料3「特別区設置における財政シミュレーション」として配布しております。制度設計の詳細につきましてはこちらの参考にしていただければと思います。それではまず、事務局から資料説明をお願いしたいと思います。
副首都推進局 榎下朋浩部長(制度企画担当) 資料1「特別区設置協定書(案)の作成に向けた基本的方向性について」をご覧ください。表紙に記載の通り、本資料は協定書案の作成を始めるにあたり、本年9月以降の委員間協議での議論を踏まえ、協定書記載項目の方向性を確認するため整理したものでございます。
1ページでは特別区設置の日は「2025年(令和7年)1月1日」としております。次に「特別区の名称・区域等」について四つの特別区を設置することとし、各区の名称、区域、本庁舎の位置を表に記載しております。
 2ページでは、「特別区の議会の議員の定数等」について記しております。選挙区は各特別区として、議員定数は現行の大阪市会の定数として、各区の定数を表に記載してございます。議員報酬は減額後の現行報酬をベースにすることとしております。
 3ページでは(大阪府と特別区の)事務分担について記載しておりまして、基礎自治体の特別区と広域自治体の大阪府の役割分担を徹底することなどを記載しています。その3点目に特別区設置の際は大阪市が実施してきた特色ある住民サービスを維持することなどを記載しています。
 4ページは税源配分について、大阪府税となる市町村税と特別区税となる市町村税を記載しています。財政調整につきましては、大阪市が現在実施している住民サービスを適切に提供できるよう特別区と大阪府の事務分担に応じて税源を配分することなどを記載してございます。
 5ページの1行目から4行目にかけてでございますが、特別区への財源配分の充実につきまして、特別区設置から10年間は住民サービスをより安定的に提供できるよう特別区に対して追加的な財源配分を措置すること、また財政調整交付金の配分割合について市立高校移管の影響額を勘案することを記載し、その場合の3年平均の割合を記載しているところでございます。
 6ページは「財産・債務」について、特別区と大阪府が承継する住民サービスを適切に提供できるよう大阪市のすべての「財産・債務」の承継先を決定することとしております。財産の承継の4点目ですけれども、万博会場建設費の取り扱いについて、大阪市が負担することになっている会場建設費のうち特別区設置後に生じる額を基金として大阪府に承継することとしております。
 7ページでは組織体制につきまして、特別区と大阪府が機能をフルに発揮できる適切なサービス提供体制を構築することなどを記載してございます。「大阪府・特別区協議会」につきましては、特別区の考えがより反映される特別区重視の仕組みを構築することとしております。
 8ページは、地域自治区につきまして、現在の24区のコミュニティ、窓口サービスに配慮した仕組みとしまして、現在の行政区単位に地域自治区を設置し、地域自治区の事務所と地域協議会を置くこととしております。その2点目と3点目ですけれども、地域自治区の事務所の名称は「区役所」とすること、現行の窓口サービスを継続し住民の利便性を維持することと致しております。「町の名称」につきましては、特別区設置までの間に住民のご意見を踏まえまして大阪市長が定めることなどその取扱いを記載しています。
 9ページから10ページにかけては、協定書記載以外の確認事項といたしまして、委員間協議でのご議論を踏まえて整理しているものでございます。9ページでは、特別区設置に伴うコストにつきまして、庁舎整備、システム経費について記載しております。庁舎整備の2点目と3点目におきまして、執務室の不足が生じる特別区は現大阪市本庁舎を活用すること、また将来の庁舎整備にかかる財政措置などについて記載しております。児童相談所の設置については、すべての特別区に設置をし、組織体制の整備などを着実に進めることとしております。
 最後の10ページは、IR(カジノなど統合型リゾート)の収入金につきまして、大阪府、特別区で均等配分すること、また、特別区分は人口割を基本に各区に配分する仕組みとすることを記載しています。
 続きまして、資料2と資料3をご覧いただきたいと存じます。資料2「副首都・大阪にふさわしい大都市制度《特別区制度案》」、こちらにつきましては本協議会の協議を踏まえ議論のたたき台でありました特別区素案を修正しているものでございます。なお、試算等につきましては、一定条件の下、素案作成時点で把握可能な数値を用いて算定してございます。資料3の「特別区設置における財政シミュレーション」につきましては、第14回協議会でお示しした財政シミュレーション、これに使用する数値の時点は従前通りとしたうえで、特別区制度案における組織体制また設置コストなどの修正点を反映いたしまして、特別区設置の日を2025年1月1日として再試算をしているものです。
今井会長(維) 維新さん、自民さん、公明さん、共産さんの順で、各会派、概ね10分程度の持ち時間で意見開陳を行っていただきたいと思います。それでは維新さんからお願いします。
山下昌彦委員(大阪維新の会、市議) 大阪における府と市の二重行政の解消、最適な基礎自治体の確立により住民サービスの拡充を目指し、これまで徹底した議論を進めてまいりました。素案が示されて以降、とりわけ本年の統一地方選挙と知事、市長選挙を経て6月に法定協が再開されて以降、停滞していた制度の議論は大きく前進し、委員の建設的提案の下、よりバージョンアップされた協定書の方向性が取りまとめに至りました。大阪府と大阪市における巨大な役所の二重行政により、大阪はこれまで大きく成長の機会を逸してきました。市域を超えた経済圏をまるで分断するかのような自治体のインフラ整備や経済施策など、広域事業について方向性が統一されることはなく、関西経済圏の中心である大阪はその役割を果たすことができませんでした。
 また、本来であればその力強い経済成長の下、豊かな財源を住民に投資することができたにもかかわらず、成長の機会を逸し、大阪は市域を中心として長きにわたる停滞の憂き目に遭うことになります。さらに、巨大すぎる基礎自治体の下で発生していた補完性の原理の欠落、混雑コストなどにより非効率な税の投資が発生し、より福祉にあやかるべき住民生活は大きく棄損されることになりました。もし、過去、数十年にわたる議論の中で二重行政が解消されていたならば、もし、適正規模の自治体運営の下、最適な税の投資が実現していたならば、より確かな成長の下、より多くの住民に光を当てることができました。今の大阪は松井市長、吉村市長(?)の意思決定の一致によって、大きく成長過程にあります。広域行政にかかる意思決定が完全に一元化することができれば、また基礎自治体がより適正な規模での効率的、効果的な運営ができれば、大阪は世界に名だたる日本の副首都として大きくその価値を知らしめることができるのです。松井市長と吉村市長は日頃は綿密な意思決定の……あ、申し訳ない、松井市長と吉村知事は日頃の綿密な意思決定のすり合わせを通し、広域行政の決定を行われていますが、これは非常にまれな状況、人間関係のみによる話し合いでの解決には限界があります。過去の知事、市長の意見の不一致が何よりの証拠です。広域行政の決定権を持つ首長が府と市のそれぞれで存在する限りにおいて、将来的に必ず意思決定の不一致は発生し、それが大阪の成長を大きく棄損する二重行政発生のリスクとなります。この人間関係のみで成り立っている二重行政の解消を制度として担保することで、未来に向けて大阪の成長を確実なものにしていく必要があります。
 協議会においては、都構想の財政効率化効果、経済効果も議論されました。適正規模の基礎自治体になることで年間1000億円の財政効率化の効果や、またそれをもとに社会資本整備に投資をすることで、10年で1兆円を超える波及効果についても専門家の方々から報告を受けました。将来的にはこういった財源をもとにさらなる住民サービスの拡充を図ることができます。前回の住民投票後の知事、市長選挙、法定協議会の設置、そして本年の統一地方選挙、知事、市長選挙を経て、大阪都構想はもはや単なる政治闘争ではなく民意を踏まえて行政が実現を目指す行政課題へとステージを移しております。確かな制度に関する議論の下、行政から適切な広報により住民投票に力強く前に進んでいくべきだと考えております。法定協議会は実にこれまで31回の開催を重ね、本協議会で責務でもある協定書の取りまとめに大きく進みつつあります。協議会のみならず、市会、府議会での議論などを含めれば、制度設計に関する多くの議論が住民代表である知事、市長、各議会議員のもとで行われてきました。行政が作成した素案をたたき台に各会派からの修正意見、特に公明会派からの建設的な提案を加え、よりよい制度作りを目指す、同じ目標を持った委員同士が集中的に協議をすることで素案を練り、さらに住民サービスの維持向上を図れるものとなりました。こういった議論は住民が心から求めている本来の協議会の役割であり、住民投票にかけることになる基本的な方向性が今ここに取りまとめられたことを評価する次第であります。
 不作為は罪です。議論を重ねるとは実に聞こえのいい言葉ですが、議論を重ねるだけで時間を無駄に使い、結局、何も決めない政治が住民からどのように見られているのか、今、我々は真摯に考える時です。法定協議会は確かな制度設計の議論の下、2年半、計31回に及び実施されてきました。今に至っても、万が一、何も決めれないのであればそれは住民感覚から大きく乖離した政治の不作為に過ぎず、委員の責務を果たしているとは到底言えません。
 本日、この後、方向性が定まったならば、来年には住民投票が想定をされます。住民の皆様、お一人お一人が制度に関する正しい知識の下で、住民投票を迎えてもらうためにも、徹底した制度に関する広報が必要となります。協議会便りはもちろんのこと、あらゆる媒体を通じて積極的な情報発信を強く求めます。
 加えて前回、制度に関する正しい住民理解を損なうミスリード、いわゆるデマが多く広がりました。例えば都構想は、大阪府の赤字の解消のため、また府に財源を奪われるなどといった表現は都構想の目的をすり替え、特定のイメージを住民に植え付けたい安直なミスリードに過ぎません。更には、府市再編により、税金が上がる、敬老パスが無くなる、水道料金が上がるなどといった悪質なデマまで横行しました。こういった制度の理解を損なうミスリードについては、今から役所を上げ力強く対応いただくよう強く求めておきます。
 最後に決めるのは住民の皆様です。住民の皆様が来るべき住民投票の日にこの最大の行政課題について正しい制度の知識の下、自信を持って投票を行ってもらうことが何より重要です。引き続き、法定協議会、議会などの場においても、建設的議論の下、正しく制度の理解が深まるような議論が行われ、かつ、分かりやすい広報がされていることを強く望みます。なお、国との事前協議にあたって、意見を申し述べたいと思います。現在、東京・特別区の要望がかなって児童相談所の設置が特別区でも可能となる法改正が実現するなど、権限移譲が進んでいる状況です。これを踏まえ、他にも法改正によって特別区の自律的な運営により、より一層高められる事務であれば合わせて国と協議していただきたい旨を要望しておきます。
今井会長(維) 次に自民さんお願いします。
川嶋広稔委員(自民、市議) 特別区制度案に対する見解を申し上げます。見解表明につきましては、まず私から申し上げ、引き続き府議団幹事長の杉本委員からも見解を申し上げさせていただきます。(※資料配布)
 まず基本的な認識についてでありますが、大阪府とともに政令指定都市である大阪市が、大都市圏における広域行政の役割を担ってきたことで、大阪府と大阪市がツインエンジンとなってきたことで大阪の成長、発展を強力に推進してきたものと認識しております。ツインエンジンであったからこそ、府、市が互いに財源や人材など負担し合いながら大規模インフラの整備や産業や観光など様々な分野における施策を着実に実施し、成果を上げてこられたものと確信しています。また昨今では国とともに万博の招致やG20サミット大阪会議の開催に取り組むなど、大阪の発展に向けて経済界とも連携しながら大局に立って政策を推し進めることができています。こうしたことに鑑みますと、都道府県が政令指定都市と連携を強めることによる相乗効果は非常に高いものであると感じております。一方で大阪府と大阪市が広域行政を担っているため、二重行政を生み、厳密には二元行政と言うべきでありますが、大阪の発展を阻害してきたという意見もあり、こうした意見を受け、いわゆる都構想が示され今に至っているものと認識しています。そのような中で、これまで我々は是々非々の議論に臨んでまいりました。
 それでは、特別区素案の基本的方向性について、特別区制度案の内容に関して申し上げたいと思います。その中でいわゆる大阪都構想は一つ目として、広域一元化による大阪の成長、それと二つ目として公選の特別区長によるニア・イズ・ベターの実現をその理念として掲げ、薬に例えるところの効果、メリットが強調されていますが、特別区移行後の副作用、リスクについては示されておりません。
 まず広域一元化による大阪の成長についてですが、二重行政の解消による効率化効果や、成長による増収効果の具体な効果額がいつどのような形で発現するのか、協議会の場で何度も確認しましたが具体には示されることはありませんでした。ましてや、財政調整制度にも財政シミュレーションにも効果額は何ら反映されておりません。ちなみに大阪成長のエンジンが大阪府一つになることによるリスクが、先ほど(配布した)参考資料7に記載しているもの、こういうものが考えられると思っておりますが、この点は議論されておりません。
 次に公選区長の下でのニア・イズ・ベターの実現についてでありますが、住民サービスが本当に維持されるのか、財源面、職員数、防災、危機管理など様々な面から住民サービスが低下する、副作用、リスクを指摘してまいりました。まず財源面ですが参考資料1にあります通り、特別区設置に伴う庁舎等のコスト、また大阪市庁を分割することによる行政コスト、経常的な行政運営コスト、この増大にかかる財源などが特別区には手当されておりません。特に参考資料2のように、大阪市を分割することで行政コストが増大する点に対しては、地方交付税制度で保障されている基準財政需要額が満たされているのか、国の基準や、国の基準を上回る東京都基準と比較することでの検証が必要です。地方交付税制度的には参考資料3のようになるリスクがあることから、特別区固有の基準財政需要額を算定するとともに、財源が制度的に確保されるのかを示すようこちらも何度も要請しましたが、示されることはありませんでした。
 職員数については近隣中核市をベースに大阪市の特性を若干考慮しただけの職員数であり、現在の住民サービスを本当に支えることができるのか極めて疑問であり、参考資料5のようなリスクがあることから人事室意見を踏まえた様々な角度からの検証をお願いしましたが、何ら顧みられませんでした。
 また、参考資料11にもあるような合同庁舎案の問題、また参考資料8にあるように地域自治区事務所が現在の区役所機能を担えるものではなく、これらは特に災害対策の面から脆弱な組織となることなど、住民サービスの低下など多くのリスクの存在を指摘致しました。以上のように、特別区案の制度設計が正しいと主張されていますが、私たちが指摘した副作用、リスクについて明確な説明をいただくには至らなかったことは誠に残念であります。
 最後に、この協議会における私たちの責務は、示されたメリットの具体性の検証、特別区制度案に潜む副作用、リスクについて客観的な事実に基づき検証することにあり、そのうえでしっかりと政治家としての判断をすることにあります。そして住民投票が行われる際に市民が正しく判断できるようそのリスクも含めた判断材料をつまびらかに提示することにあります。配布資料にその他、詳細にわたり理由を述べております。メリットが効果額として具体的に示されていないこと、そして住民サービスが低下するなどの副作用、リスクが相当高いことから、特別区制度案は大阪府民、大阪市民の双方にとって利益とならないものであると考え、反対であると申し上げます。
杉本太平委員(自民、府議) 広域行政を担う大阪府議会選出の委員という立場からも見解を述べさせていただきます。これまで大阪府も大阪市とともにツインエンジンで大阪の成長発展を推進してきました。一方で、別々の自治体であるがゆえの府市連携の弱さや施策判断の違い、合わせて府市おのおののバブル期の無責任な公共事業とバブル崩壊後の消極的な公共投資が相まって、府市合わせ(不幸せ)と揶揄された事業もありました。そのような歴史的経過を経て現在私たちは、吉村知事、松井市長、府議会、市議会と協調して万博やG20誘致、都市機能の充実など大阪の成長発展に取り組んでおります。
 さて、知事、市長の入れ替えダブル選挙以降、私たちは反対ありきの批判や追及から一転、広域行政を一元化し無駄な二重行政を根絶つ特別区設置の目的や、広域行政を一本化することによる大阪府庁の組織体制強化には賛同し、是々非々の立場で真摯な議論に努めてまいりました。しかしながら本協議会では、財政調整制度に潜む住民サービス低下リスクや間借り庁舎による災害リスクなど住民目線に立って行ってきた市議会選出(委員)の質疑提案にはまともな回答がありませんでした。これでは大阪市が無くなった後もそこに住む方への住民リスクが払しょくできません。また現大阪市の住民サービス維持のため新たに大阪府に200億円の負担が発生することにより、大阪市以外の市町村住民サービス維持との整合性が取れなくなりました。合わせて人口や産業が集積し、大阪の成長を牽引してきた大阪市が無くなることで都市機能を高める投資が分散され、大阪全体の衰退にもつながりかねないとの危惧は残ったままです。よって私たちは広域行政の一元化や二重行政を解消する目的には賛同するものの、大阪市民に大きなリスクを負わせることは明白であると考え、今回の協定書作成に向けた基本的方向性については反対することを表明します。
 最後に、我々は百利あって一害なしとバラ色だけを伝えるのではなく、百害あって一利なしと全否定するのでもなく、メリットとデメリットについて正しい情報をきっちり府民市民にお伝えすることで(来年)11月の住民投票に向けて大阪市民の皆様にご判断いただけるよう努めることをお伝えし、意見開陳を終わります。
今井会長(維) 次に公明さんお願いします。
肥後洋一朗委員(公明、府議) 我が党は第24回法定協議会において選挙で示された民意を重く受け止め、特別区設置に賛成の立場から住民目線で協定書づくりに取り組むことを表明し、住民の皆さんの視点に立ったよりよい制度案づくりのため建設的、積極的な議論を展開してきました。当初、議論のたたき台として示された特別区の制度案が、特別区の設置により住民サービスが低下するのではないか、膨大な初期コストで住民負担が増すのではないかといった点などで課題があり、住民サービスの低下や特別区財政の安定性などに対する様々な懸念を払拭していく必要がありました。我が党としては特別区の制度案をより良いものにするために、一つ目に特別区設置に伴い住民サービスを低下させないこと、二つ目に設置コストをできるだけ最小限に抑えること、三つ目に現在の区役所機能を維持し窓口サービスを低下させないこと、四つ目にすべての特別区に児童相談所を設置すること、という四つの改善点を主張し、これらが反映した制度案に改められるよう第26回法定協議会では具体的な改善案を提示して修正を求めました。このように今年6月に法定協議会が再開されて以降、7回わたり法定協議会が開催され我が党の修正提案を踏まえた委員間での建設的な議論が行われた結果、我が党の修正提案に沿った形で制度案が修正されることになり、特別区の制度案をより良いものに前進させることができました。
 重要課題である住民サービスの維持については、塾代助成事業や子供医療費助成事業、新婚子育て世帯に対する分譲住宅購入融資利子補給制度、敬老優待パスなど大阪市が独自に実施してきた住民サービスを維持し、特別区設置移行時にしっかり継続していくことが重要でございます。このため特別区設置協定書において「維持するよう努める」といった努力義務ではなく「維持すること」と住民サービスを確実に承継していくことを明記すべきであると求めました。その結果、協定書には特別区設置の際は「大阪市が実施してきた特色ある住民サービスの内容や水準を維持する」と明記していく方針に改められました。また、特別区になれば現在の区役所が遠くなるのではないかとの不安の声が、住民の皆さんから聞かれる中で、現在の区役所機能を継続させ保険、子育て、生活支援などの現在の窓口サービスを低下させないことが重要です。この点についても特別区が設置されても現在の24区単位で地域自治区が設置され、地域自治区事務所で現行の窓口サービスを継続させ、住民の利便性を維持することが確認されました。そのうえで、地域自治区の名称について、市民の窓口として慣れ親しんでいる現在の区役所という名称を特別区設置後も引き続き使用すべきとの我が党の提案が受け入れられ、文字通り今の区役所が特別区設置後も維持されることに改められました。
 さらに重要なのは特別区財源の充実です。特別区移行時、移行後、実際に住民サービス低下させないためには、適正な事務執行を支える十分な財源の確保が必要です。素案においても事務分担に応じて財源が配分される仕組みとされていますが、将来、特別区において住民サービスを安定的に維持していくためには、素案を超える財源配分が望ましいと要望をしました。そうした我が党の要望を踏まえ、委員間で協議した結果、特別区設置から10年間は各年度37億円、それ以降も各年度17億円の追加的な財源配分が措置されることが盛り込まれることとなり、特別区における安定的な住民サービスの提供に向けて、大きな前進であると考えます。
 設置コストについても、これまで以上に改善が図られました。これまでの特別区素案では、特別区設置時のイニシャルコストで最大563億円、このうち庁舎整備経費で361億円と試算が示されていましたが、将来の住民サービスの充実のためには新たな住民負担となる庁舎設置コストは最小限に抑える必要があると考えており、我が党からは設置コスト削減のために既存庁舎の利活用状況の再精査などを主張し、協議の結果、既存庁舎を活用してもなお執務室の不足が生じる特別区については、今の中之島庁舎を活用することとされました。その結果、本日示された特別区制度案では、庁舎整備経費は315億円削減され46億円とすることができ、庁舎整備経費を含むイニシャルコストは322億円削減され、241億円にまで抑えることができました。特別区の庁舎整備についてはこのように特別区設置時には新たな庁舎建設は行わない方向となりましたが、これは将来的な庁舎のあり方について特別区設置後の特別区長や区議会の判断を縛るものではないことも確認されました。将来的な庁舎のあり方については、住民の利便性や街づくりの観点のみならず、危機管理の面などからも最終的には特別区自らが判断すべき事項と考えます。このため我が党からは将来、特別区の判断で新たな庁舎整備が行われることになった場合に、各特別区の財政負担の平準化についても検討を求めました。そして協議の結果、最初の庁舎整備については財政調整交付金の特別交付税により財源措置が施されることが新たに盛り込まれました。
 最後に児童相談所の設置です。児童相談所における児童虐待相談件数が過去最高を更新し続ける中、児童虐待防止対策の強化は喫緊の課題です。児童福祉法の改正により児童福祉士等の配置基準が見直され、さらなる専門職員の確保も不可欠となっています。このような中、組織体制を十分検討し、すべての特別区に児童相談所が1年でも早く実現することが必要であることを主張しました。これに対し松井市長からは市として4カ所体制を目指すとの整備方針が示されました。法定協議会ではそれを踏まえ、特別区が設置された場合における児童相談所の運営方法や組織体制のあり方が示され、しっかりとした体制と具体的な整備スケジュールを構築することができました。
 以上の通り、我が党が当初懸念していた住民サービスの維持や特別区財政の安定性といった点については、我が党の主張が通った形で制度案にしっかりと反映できました。これにより、特別区における住民サービスの維持、充実に向けた十分な行財政基盤を確保することができたと考えております。現代、我が国において東京の大都市圏としての成長と発展が結果として東京一極集中を加速させています。今、大阪の将来を考える時、関西大都市圏としての成長を視野に入れ、その推進と発展を支えながら大阪の特色や特質性を活かした将来ビジョンと戦略が必要となってきます。2025年、大阪関西万博はまさにその契機であり、この機会に大阪、関西が新たなイノベーションを創造し、世界的都市圏と肩を並べられるようになるためにも大阪がさらに発展し、日本を牽引していくことが求められています。その第一歩が今行っている大都市制度改革の議論であります。大阪の行政機構の再編の議論であり、大阪百年の計を形作る議論です。そしてこれは私たちだけでなく、子供たちや孫たち、将来世代の市民の皆さんの生活にも大きく影響を及ぼす議論でもあります。特別区設置に向けた議論は、法定協議会や議会でも続いていくことになりますが、公明党としては今後も特別区設置に賛成の立場から建設的、積極的な議論を展開し、将来の大阪のあり方を形作る議論に責任を持ってコミットするとともに、府民、市民の生活がより良いものになるように、しっかりと住民目線の議論を行っていきたいと考えております。
 以上から、協定書案作成に向けた基本的方向性については賛成の立場を表明し、我が党の意見表明とします。
今井会長(維) 次に共産さんお願いします。
山中智子委員(共産、市議) この間、前回まで30回にわたる法定協議会での議論を通じて、大阪市廃止・分割、いわゆる都構想なるものが時代錯誤の代物であり、いかに市民にとって有害無益なものであるかがよりはっきりしたと思います。そもそも都構想とは、ただただ大阪市を廃止して市の持つ財源、権限を府に取り上げるものに他ならない、ここにこそ本質があります。かつて橋下徹氏は知事を辞職して市長選挙に出馬する際、「大阪市をぶっ潰す」と繰り返したことに象徴されていますが、この間の議論でまさに特別区や特別区民がどうなるかなどはどうでもよく、大阪市をつぶすことが全てだということが一層はっきりしたということです。改めてではありますが、国から地方へ、府県から基礎自治体への地方分権、権限移譲は大きな流れであり、当然、全国の基礎自治体が権限の獲得、拡充を目指して、今や政令市は20市に及ぶとともに、中核市も全国58市に達しているのは申し上げるまでもありません。こういう中で、こともあろうに人口規模で全国第2の政令市を取り潰すなどということは、地方分権の流れに逆行する最悪の地方自治破壊の暴挙と言わざるを得ません。
 すなわち、広域的というレッテルを貼って、大阪城や大阪城天守閣、天王寺動物園、鶴見緑地、長居競技場、博物館、美術館など貴重な財産とともに、消防や水道や下水道などといった基礎自治体本来の業務までも含む428もの事務事業を府に移管して、組織としては巨大な大大阪府が出来上がります。しかし、個々の事業の権限や予算が増えるわけではありませんから、充実するわけでもなく、なんら府民にとってプラスにはなりません。それどころか、大阪府内全体の広域行政に責任を負うべき大阪府が、大阪市域のみに限定される消防、水道、下水道などの基礎自治体の事務事業まで担うという非常にいびつな体制ができあがるということです。もとより、このような制度いじりで、大阪の成長や活性化が図られるものではなく、ましてや府と市が並立しているうえに発展しないなどというのは全く根拠がありません。そんなことを言えば、横浜も名古屋も京都市も神戸も潰さなくてはならないという理屈になってしまいます。
 一方、大阪市を無くして四つに分割して設置される特別区たるや、平均67万人と堺市を除く府内のどの自治体よりも大きな基礎自治体であるにもかかわらず、市町村の基幹税目である固定資産税や法人市民税等を府に持っていかれるとともに、地方交付税すら直接あたらないなど極めて自主財源が乏しいうえに、自ら水道、下水道などの事業を運営することもできなければ、消防組織も持てないというまさに一般市にも満たない半人前の自治体に成り下がるということです。そのうえ、330人の職員増や住基ネット等のシステムの改修、そしてその運用経費の増など、市民にとって全く無駄な費用が発生するわけで、勢い住民サービスは削らざるを得なくなるというわけです。まさに踏んだり蹴ったりで、例え大阪府から毎年20億円、10年間、補填されたとしても、コスト増の穴埋めさえできないし、ましてや、いくら「住民サービスの水準を維持する」などと協定書に書いたとしても特別区としてはない袖は振れないということになってしまいます。
 加えて、なすべき庁舎建設も行わず、各区役所などに職員を詰め込んだうえ、なお入りきれない職員は中之島庁舎に配置し、三つの特別区の職員を同居させる間借りの合同庁舎などというに至っては、もはや何をか言わんやだと申し上げたいです。災害時どうするのか、日常業務ができるのか、こういうこともありますし、住民はいったいどこへ行けば目的が果たせるのか右往左往しなくてはなりません。何より地方自治体の職員は住民とともにあるべきなのに、その自治体に住んでもいなければ通勤もしない、その自治体に足を踏み入れることもなく暮らしている、そんなことで地域の問題点や住民の願いや思いが分かるはずがないと思います。そのうえ、特別区議会議員の定数も現行市会定数の83にとどめるという始末で、中核市や東京特別区の3分の1以下なわけですから、区民の声を区政に反映しづらくなるということに他なりません。結局、住民サービスを維持できなくなることといい、自前の庁舎を持てないことといい、二元代表制の下、一方の区民代表である議員の定数が少なすぎることといい、ニア・イズ・ベターは看板倒れどころか地方自治体の体すらなしていないと言わなくてはなりません。なお、東京特別区が「せめて一般市に」と長年、運動し続けていることを想起すべきと申し上げておきます。
 最後に大阪都構想、すなわち大阪市を廃止し四つの特別区に分割することは、まさに百害あって一利なしです。仮に住民投票が実施されたとしても、党派を超えた幅広い多数の市民の皆さんと力を合わせきっぱりと否決して、文字通りピリオドを打つために全力を挙げることを表明して方向性への「反対」と致します。
今井会長(維) それでは採決に移りたいと思います。特別区設置協定書作案の作成に向けた基本的方向性にご賛同の方は、ご起立願います。

※維新、公明会派の委員が起立。

今井会長(維) 起立多数であります。協定書案の作成に向けた基本的方向性が決定されましたので、事務局にはこれに基づき協定書案を作成するとともに、国との事前協議を始めていただくようお願いしておきます。それでは本日の予定は終了となります。ご意見、ご質問ございませんか。
山田正和委員(公明、市議) 協定書に明記されないその他の項目もございます。例えば住所表記など市民生活に密着するような項目など、また年を明けてからの協議会で引き続き議論していくことも大切かと思いますので、検討願いたいと思います。
今井会長(維) 只今、公明会派から年明け以降も引き続き協議を求める旨のご発言がありました。私としても前回の協議会で申し上げましたが、今後も協定書案に対する協議をはじめ、特別区設置までの工程表などもお示ししたいと思います。そして協議を重ねていきたいと思います。委員の皆様におかれましては、引き続きご協力お願いしたいと思いますのでよろしくお願いします。